山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。さて、12月1日は「着信メロディの日」だったそうです。着信メロディとは、携帯電話に電話がかかってきたときに演奏される着信音のことで、後にCDなどの録音物の一部がそのまま流れる「着うた」や1曲全部を聴ける「着うたフル」などに進化しました。
今回は、そんな着メロ文化を掘り返していきます。
スマートフォンが普及した現代では、端末標準の着信音を使い続ける人が増えています。一方、機能の制限されたガラケーでは、個性を出すために〝人と違う着信音〟を選ぶことが重要でした。
しかし、初期のガラケーでオリジナル着信音を利用するには、自分で音源を入力するしかありません。その入力方法を書いた〝着メロ本〟が多数出版されていたのです。
着メロ本の中身は、パソコン雑誌『マイコンBASICマガジン』の投稿プログラムのコーナーのように数字が羅列されているだけ。この数字どおりに端末のボタンを押すことで、曲が再生できるという仕組みです。しかも機種やメーカーごとに入力方法が異なり、数パターンを並列して掲載されていました。
そんなプログラマーのような作業をしなくてはならないほど、ガラケーで個性を出すことは大変だったんですね。
ほかにはCDシングルに、その曲の着メロ入力方法が特典としてついたり、着メロの完成例を聴きながら入力できる着メロCDも発売されたりしました。さらにプレステには『着信メロディだもん』という入力支援ソフトが登場し、続編まで出たほどです。
最初は単音だった着メロも「4和音」「16和音」と同時発音数が増え、それがケータイのステータスになる時代がありました。そうなると入力するのは大変で、iモードからは着メロをダウンロードする時代になったのです。
また、ネットを使わずとも、携帯電話に差し込むだけで本体にデータが入る「着メロの素」という商品までありました。
年末年始の帰省では実家に眠るガラケーを掘り起こし、懐かしの着メロを一聴することをオススメします。
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。