山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。さて、新年が明けまして2024年となりました。今年は辰年なので、年賀状や店頭の装飾などに龍のモチーフが登場しています。
そこで、自分になじみ深かった物を思い出しました。それは、平成初期におけるヤンキー文化。当時は改造学生服に刺繍される龍を頂点に、龍アイテムがあふれ返っていました。今回は、ヤンキー御用達の龍にまつわるアイテムを紹介します。
昭和のイメージが強いツッパリ文化ですが、実は平成になってからも雑誌『ティーンズロード』が創刊されるほどブームは続いていました。
当時は「ベンクーガー」や「キングダッシュ」「マックスラガー」など、さまざまな改造学生服ブランドがあり、それを扱うカジュアルショップなどが町ごとにあった時代です。そこでカタログをもらって、少ないお小遣いから何を買おうかと考えていました。
短ランやボンタンなどの改造学生服は目立つこともあり、〝〇〇狩り〟などの標的になりやすい側面があります。そのため、気合いの入ってないシャバ僧は改造裏ボタンやエチケットブラシなど隠せる小物に走りがちでした。そして、まず選ぶのは龍のイラストが入ったもの。
今にしてみれば子供だましと思えるクオリティですが、当時は合成樹脂でコーティングされた改造裏ボタンやエチケットブラシをハイブランド品かのようにありがたがって使っていたのです。
サイフや小物入れ、コンパクトミラー、エチケットブラシとコームなど数え上げればキリがないほどにドラゴンだらけの世界でした。
裏地に刺繍するほどの度胸がない人が手軽にドラゴンをまとえる制服の首元につける襟カラーのドラゴンバージョンもあります。これらはすべて黒地に金や赤などのメタリック塗装が多く、派手なものばかりでした。
今やヤンキー御用達のカジュアルショップは減少し、これらのアイテムは希少なものとなっています。なので、実家の押し入れから発見された際には必ず保護してください。夜露紫紅!
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。