レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏 レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。さて、平成レトロ特集が組まれる際に必ず登場するのが1999年に日本で発売された電子ペットのファービーです。こちらは98年に米タイガー・エレクトロニクス社が発売し、日本ではトミー(現タカラトミー)が販売ライセンスを取得し大ヒットしました。

令和では絶滅危惧種!? 電子ペット、ファービー 令和では絶滅危惧種!? 電子ペット、ファービー

米タイガー・エレクトロニクス社が世界的にヒットさせた、ファービー。ソニーのアイボをはじめ今も続くインタラクティブペットの流れをつくった功績は大。その後、ファービー2などいろいろなバージョンが発売され、今なお根強いファンコミュニティが存在する 米タイガー・エレクトロニクス社が世界的にヒットさせた、ファービー。ソニーのアイボをはじめ今も続くインタラクティブペットの流れをつくった功績は大。その後、ファービー2などいろいろなバージョンが発売され、今なお根強いファンコミュニティが存在する

そして、タイガー・エレクトロニクス社にはファービー以外にもクールなアイテムがあったのをご存じでしょうか? それが95年にタカラ(現タカラトミー)から発売された「ライツアウト」です。

こちらは5×5マスに自照式ボタンが並び、ボタンを押すと周辺のマスのライトが反転。その法則でボタンを押していき、最終的にすべてを消灯(ライツアウト)させるパズルゲームです。

ほぼ単一ゲームしか遊べないのに本体はゲームボーイポケットぐらい大きく、ミニテトリンなどのキーチェーンゲームがブームとなる時代には受け入れづらいスペックでした。

しかし、未来感のある洗練された銀のボディにイエローとパープルのボタンというアメリカンなデザインは秀逸で、筆者もおもちゃの「ハローマック」のチラシでライツアウトを見て欲しくて仕方がありませんでした。

次世代パズル ライツアウト 次世代パズル ライツアウト

初代ライツアウト。本体上下の端が波状なところが、なんとなく昭和のシーサイドリゾート風 初代ライツアウト。本体上下の端が波状なところが、なんとなく昭和のシーサイドリゾート風

スケルトンブーム時に発売された新ライツアウト。ボタンの発光ギミックが2色となってゲーム性アップ! スケルトンブーム時に発売された新ライツアウト。ボタンの発光ギミックが2色となってゲーム性アップ!

実際に電源を入れると、昭和のLSIゲームのように太い電子音が鳴ります。そして暗い中でもボタンが光るため、フロアが暗いクラブカルチャーとの相性は抜群。おそらく当時も夜の街などで、ファッション感覚で遊ばれていたのでしょう。

遊べるゲームはほぼ単一ですが、ルールは単純ながら奥が深く、飽きずにのめり込める逸品です。

次世代の電子マルバツゲームの3OX(スリーオックス) 次世代の電子マルバツゲームの3OX(スリーオックス)

ファービーと同じく関連書籍も発売され、さらに後にはスケルトン仕様になったライツアウトの続編が発売。ほかにも「3OX(スリーオックス)」というマルバツゲーム的な近縁種が発売されるなど、単なる〝一発屋〟ではない展開を見せました。

ディスプレーで遊ぶデジタルゲーム全盛期に発売されたアメリカンなライツアウト。一周回った今こそ買い時なので、ぜひ見つけ出してクラブで自慢しましょう。

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山下メロ

山下メロやました・めろ

1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。

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