山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
平成に進化したものといえばセルフィー、自撮り文化です。現在は、腕を伸ばしてスマホの画面を確認しながら撮影することが一般化していますが、この自撮り文化は平成を通して進化してきたといえるでしょう。
かつて偉人が肖像画を描かせたことなど、自分の姿を記録することは昔からありました。写真が誕生すると、カメラを固定する三脚とセルフタイマー、遠隔でシャッターを切れるリモートレリーズで自分を撮影することができるようになりました。
そして、平成レトロブームとして繰り返しメディアで紹介されているのが「写ルンです」など、レンズ付きフィルムの再流行です。これは昭和末期に誕生し、主に平成前半に若者の間でも流行。当時の学生は、腕を伸ばして自分側にレンズを向けて自撮りしたものです。
結果を見ながら撮れないので、経験と勘に頼った撮影でした。現像してみるとピントがボケていたり、富士山など入れたい背景が入ってなかったりと大変でしたが、それでも思い出が残せることが重要だったのです。
そのようにセルフィーに向かないレンズ付きフィルムですが、お助けアイテムも登場しました。セルフタイマー機能を外付けする三脚「とっちゃ郎」。これにより腕の長さより離れた広い画角での撮影ができますが、先にファインダーで画角を調整しておかなければなりません。
そこで活躍するのが本体の前面をほぼミラーにして自分の姿や表情を見ながら撮影できる「カメレオ君」。こちらはポンプ式レリーズによって遠隔でシャッターが切れます。ただ、手軽さが売りのカメラにわざわざこれらをつける人は少なかったような......。
90年代後半にはプリクラで自分を撮影するようになるのですが、あくまで機械のある場所でしか撮れません。そのため、どこでも撮れるレンズ付きフィルムの流行は、デジカメやカメラ付き携帯電話の普及まで続きました。この先の自撮り文化は次の機会に!
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。