山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、今では当たり前となっているパソコン(以下、PC)も平成の初め頃は、今でいう〝陰キャ〟の趣味といった扱いでした。その後インターネットの普及もあって一般家庭に浸透。しかし、スマホが標準化すると、今度はPCを所有しない家も増え、まさにPCは平成を象徴する文化だと思います。
暗い趣味のような扱いだったPCのイメージを変えたのはAppleのiMacやネットだけではありません。平成初期にPCのイメージを転換したのは一匹のサルでした。
NECのPC「PC-9800」シリーズは1980年代から国民機として長らく日本市場で大きなシェアを持っていましたが、家庭での用途が伝わりにくく、本体価格が30万~40万円と高額で、まだ一般的ではありませんでした。
その頃にPCのイメージを大きく変えたのが1991年から始まったNECのCM。サルのキャラクターを使った「バザールでござーる」です。当時、「ポリンキー」や「ドンタコス」など多くのCMで注目されていたCMプランナーの佐藤雅彦さんが手がけており、ポップなキャラに明るい配色、耳に残るフレーズで人気となりました。
家電量販店のPCコーナーには販促品として明るい黄色のPOPやバザール人形が置かれ、無機質な機械が並ぶ売り場が華やかに変わっていったのです。
まだPC本体は高額でしたが、その分購入特典として豪華なノベルティグッズをプレゼント。明らかに暗かったイメージのPCを、売り場や関連アイテムから変革したのです。
バザールは平成を通して人気だったため、数えきれないほどのグッズが誕生しました。PCに必要なマウスにマウスパッド、CDファイルケースなどが定番で、ほかにも食器に文具、リュックや貯金箱、果てはビアサーバーなど、グッズになってないものを探したほうが早そうなほどです。
自宅のどこかにグッズが眠ってないか探してみましょう。
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。