ほぼ毎日シュウマイを食べ続け、日本シュウマイ協会を作るに至ったシュウマイ潤氏 ほぼ毎日シュウマイを食べ続け、日本シュウマイ協会を作るに至ったシュウマイ潤氏

連載【日本シュウマイ協会会長・シュウマイ潤の『みんなが知らない、シュウマイの実力』】第7回

かつての冷凍シュウマイというと、"お弁当の副菜的なおかず"ぐらいの存在感でしたが、近年、各メーカーは主役級の冷凍シュウマイを続々と販売しています。その各社特徴をシュウマイ研究家のシュウマイ潤が教えます。

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これまで飲食店のシュウマイを中心に紹介しながら、シュウマイの知られざる価値を伝えてきましたが、今回は家庭でのシュウマイについて。

もちろんその価値は高く、むしろ歴史的には家庭での浸透によって、日本におけるシュウマイの認知度は向上してきたといえます。一方で、その家庭での認知度の向上が、現在のシュウマイのマイナーな地位に定着してしまった要因とも......。悲しいことです。

家庭で食べるシュウマイは、大きく分けて「冷凍」「冷蔵(チルド)」「手づくり」に分けられます。今回は、なかでも近年大きな変化を遂げた「冷凍」。

よく飲食店では、「この店のシュウマイは冷凍だ!」というと、否定的な印象を持たれるかもしれませんが、シュウマイを冷凍で保存すること自体、決して悪いことではありませんし、良きシュウマイを出す飲食店でも、冷凍で保存しているところは少なくありません。

むしろ、冷凍シュウマイがあるからこそ、飲食店はもちろん、家庭でもシュウマイが普及したと言っても過言ではありません。

冷凍シュウマイが日本で普及しはじめたのは、1950年代以降というのが定説です。この頃は、家庭に冷蔵冷凍機器が普及していない時代。当初は学校給食の加工品として取り入れられたのが始まりといわれています。

ちなみに、この時のシュウマイにグリンピースが乗っていたことが、後の「なぜシュウマイにグリンピースが乗っているのか?」論争の答えに繋がるのですが、それはまた別の機会に。

その後、家庭での冷凍冷蔵機器の普及に伴い、一般家庭にも広がっていきました。

初期の家庭用冷凍シュウマイは、重さ15g前後の小ぶりで、肉感はそれほど強くないものが主流。また、冷凍食品自体が学校や職場に持っていくお弁当のおかずとして重宝された経緯もあり、主菜ではなく副菜としてのイメージが強くなったようです。

「冷凍シュウマイの逆襲!!」の狼煙を上げた、味の素冷凍食品の『ザ★®シュウマイ』(パッケージは2021年当時のモノ) 「冷凍シュウマイの逆襲!!」の狼煙を上げた、味の素冷凍食品の『ザ★®シュウマイ』(パッケージは2021年当時のモノ)

そのイメージを一新したのが、今日の冷凍シュウマイ業界のシンボルとなっている、主役系おかずシュウマイの雄である『ザ★®シュウマイ』(味の素冷凍食品)です。

おそらく多くの方が、あの有名俳優さんが、白飯とともに湯気が湧き出る熱々のシュウマイをかきこむテレビCMを見たことがあると思います。

そして、それまでの冷凍食品のパッケージとしてはありえない、ビビッドかつクールなパッケージ。何より、そのシュウマイ自体が、豚肉のがっちりとした食感、ジューシーな旨味、30gに迫る大ぶりサイズなど、これまでの脇役感を一掃する食べ応えと満足感を持っていました。

『ザ★®シュウマイ』は、発売当初はなかなか受け入れられなかったものの、結果、大ヒット商品となりました。2024年6月現在の「日経POS情報」の冷凍惣菜全体のランキングでも5位に入り、ベスト10では唯一シュウマイとしてランクインしています(ちなみに1位は同社のギョーザ12個入り)。

実はこの主役系とも言えるシュウマイ、現在は競合他社も発売しています。まず、スーパーなどで買える大手冷凍食品メーカーの主な商品を紹介しておくと、

●「あら挽き肉しゅうまい」(マルハニチロ) 
●「国産豚の四川焼売」(日本ハム) 
●「たれつき肉焼売」(イートアンドホールディングス/大阪王将) 

があり、「あら挽き肉しゅうまい」と「国産豚の四川焼売」は有名中華料理店が監修。「たれつき肉焼売」は、大阪らしい甘めのしっかりとした味付けが特徴です。

大手コンビニエンスストアの下記シュウマイも、現在は主役系が主流。シンプルな豚肉シュウマイながら、大ぶりで食べ応えたっぷりのスタイルを提供しています。

●「肉焼売6個入」(セブンプレミアム) 
●「ジューシー肉焼売」(ローソンオリジナル) 
●「お肉の旨み味わう 国産豚の大焼売」(ファミリーマート) 

一方で、従来の脇役的な小ぶりシュウマイはもう必要ないかというと、そんなことはありません。現在は、海老シュウマイが脇役系の主軸で、以下のふたつが代表的な商品と言えます。

●「プリプリのエビシューマイ」(味の素冷凍食品) 
●「甘えびシューマイ」(ニチレイフーズ) 

どちらも主役系が現れる前から人気のロングセラー商品で、「プリプリのエビシューマイ」は、前出のランキングで12位にランキングされています。

脇役シュウマイの最大の魅力は、アレンジに向いていること。ベースが控え目な味付けな分、つけだれを変えた「味変」も楽しめ、揚げたり焼いたりすると、むしろその食感や食べ応えが増し、異なる魅力を味わえます。その幅広い対応力も、改めて注目してほしいところです。

残念ながら、最近は主役級が普及し始めたことで、冷凍シュウマイの注目度は少し落ち着いてしまった感が強いですが、従来の脇役的シュウマイも含めて、そのポテンシャルはまだまだ残されていて、食卓をおいしくバラエティ豊かに彩ってくれます。

スーパーやコンビニの冷凍シュウマイコーナーに注目すれば、その幅広さがわかり、実際に食べれば、その実力が分かるはずです。ぜひ、注目してみてください!

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