山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
平成の時代にインターネットの普及とともに、パソコンも一般家庭に普及しました。パソコン=ネクラの趣味といったイメージが根強かったところに、それを払拭するためNECのパソコンのアニメーションCMキャラ「バザールでござーる」(1991年~)が活躍。
しかし、それはバザールだけではありません。その後に登場した重要なキャラが富士通の「タッチおじさん」です。
タッチおじさんは〝アホの坂田〟として知られた故・坂田利夫さんが声を担当。「パソコンをはじめたいけど、少しはずかしい」というお父さんの心理をコミカルに描いたアニメCMでした。
これは富士通がまだFM TOWNSという独自設計のパソコンを販売していた1994年に登場。Windows 95旋風が起こる前年のことでした。
サラリーマンの業務にパソコンが必須となりつつあった時代。パソコンに興味のあるお父さんに店頭で触ってもらおうというのが、まさに有名な「来て見て、さわって富士通のお店」というキメのフレーズに表れています。
タッチおじさんといっても、スマホのようにパソコンをタッチ操作するわけではなく、店頭でパソコンに触ってみてほしいという意味のタッチなのです。
バザールが少しシュール路線のアニメCMながらも、ポップな色使いと動物キャラだったのに対し、タッチおじさんは、ハゲ頭につながり眉毛、鼻毛のようなチョビヒゲといったキモカワイイ路線でした。
その後のトロール人形やダンシングベイビー、さらには『こびとづかん』にまでつながるキモカワブームの先駆けだったともいえるでしょう。
そしてバザール同様、高級だったパソコンを買ってもらうため、たくさんのタッチおじさんグッズが作られました。マウスなどのパソコン周辺機器は定番で、ほかにも数多くのグッズが存在します。
実家が富士通のパソコンだった方は、お父さんのパソコンデスクを探してみましょう。何か見つかるかもしれません。
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。