山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、先日から東京国立博物館でハローキティ50周年を記念した「Hello Kitty展―わたしが変わるとキティも変わる―」が開催中なのをご存じでしょうか。誕生50年を経た今もなお衰えることなく人気が続いているキャラクターだけあって、連日の盛況ぶりが話題となっています。
そんなハローキティが現在のように活動の幅を広げたキッカケは、平成時代にありました。今回は変化し始めた90年代中頃のハローキティを振り返ります。
90年代初頭までのハローキティは、ほとんどが原色を使ったデザインで、まだまだ幼児向けという印象がありました。そんな中、90年代中期になり、歌手の華原朋美さんが「私はキティラーである」と宣言します。
当時は安室奈美恵さんのフォロワーをアムラーと呼ぶのをはじめ、シノラーやカハラーなどいろいろな〇〇ラーが生まれていました。大人だけどキティを集め、囲まれて暮らしているというライフスタイルを華原さんがメディアで発信したことは、若者がキティグッズに注目するきっかけになったことでしょう。
それに呼応するように同じ頃、これまでの原色路線でないピンクやライトブルーといった淡い色使いのキティが誕生し始めます。
そのうちのひとつがいわゆる「カオシリーズ」。ピンクの千鳥格子の中にキティの顔だけがあり、向かって右側の耳についていたリボンが花になっているのが定番でした。そこから花付きキティが増えていきます。
カオシリーズや花をつけたキティの商品は、子供向けで定番の文具やオシャレグッズに限らずパソコンの周辺機器にコードレス電話機、さらにはアイストレーにホットサンドメーカーなど家電や調理器具まで展開。若者も使いたくなる雰囲気の生活雑貨が増えていった印象がありました。
近年は平成レトロブームの中で、新しく「カオハナシリーズ」として新アイテムが出ていますので、ぜひ探してみましょう。
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。