レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏 レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。

さて以前、演歌歌手の天童よしみさんの人形キーホルダーが1998年(平成10年)に女子高生に人気となったことを紹介しましたが、同じ98年にベテラン女優と若者向けの商品のコラボがヒットしたのはご存じでしょうか。

その商品とは、96年11月23日にバンダイから発売され、翌97年に大人気となった携帯する電子ペット玩具「たまごっち」です。

人気となった後にさまざまな公式コラボレーション商品が発売され、その中で、もはやダジャレが先にあったとしか思えないのが98年5月に発売された「玉緒っち(たまおっち)」。中村玉緒さんとのコラボ商品です。

マネジャーとしてデジタルアクトレス「玉緒っち」を育てる携帯ゲーム。「おけいこ」は女優らしい踊りや芝居だけでなく、ボケやツッコミも。バラエティで人気だった玉緒さんならでは マネジャーとしてデジタルアクトレス「玉緒っち」を育てる携帯ゲーム。「おけいこ」は女優らしい踊りや芝居だけでなく、ボケやツッコミも。バラエティで人気だった玉緒さんならでは

こっちはオリジナル こっちはオリジナル

玉緒さんは昭和に活躍したベテラン女優といったイメージでしたが、50代となる90年代中盤に明石家さんまさんのバラエティ番組から火がついて人気のテレビタレントといった立ち位置になりました。そして本業である女優業も多忙になり、マロニーのCM出演などでお茶の間でもおなじみの顔となったのです。

若年層からの支持も強かったため「玉緒っち」は単なるダジャレの枠にとどまらない、人気者同士のコラボ商品でした。むしろダジャレになっていることは奇跡といえるでしょう。

すでにたまごっち人気が一度翳りを見せていた時期ではありましたが、関連書籍『玉緒っちマネージャー手帳』が出版されるほどでした。

ほかにも、中村玉緒さんの人形マスコット付き携帯電話ストラップが発売され、シニア層に向けた商品ではなく、常に時代の最先端グッズを発売したのが印象的です。

2000年代になると同じ事務所で、当時人気絶頂だった演歌歌手・氷川きよしさんとTAMAO&KIYOSHI名義でデュエット曲『ラブリィ』をリリースするなど、精力的に活動されていました。

氷川きよしさんとのユニットTAMAO&KIYOSHI『ラブリィ』のカセットテープ。作詞・阿木燿子、作曲・宇崎竜童のゴールデンコンビ。当時は共に長良プロダクション所属 氷川きよしさんとのユニットTAMAO&KIYOSHI『ラブリィ』のカセットテープ。作詞・阿木燿子、作曲・宇崎竜童のゴールデンコンビ。当時は共に長良プロダクション所属

最近でもマツケンサンバがリバイバルして70代の松平健さんがZ世代にウケていますが、ベテラン俳優や歌手が突然若年層から注目される現象は平成にもあったのです。

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山下メロ

山下メロやました・めろ

1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。

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