ほぼ毎日シュウマイを食べ続け、日本シュウマイ協会を作るに至ったシュウマイ潤氏 ほぼ毎日シュウマイを食べ続け、日本シュウマイ協会を作るに至ったシュウマイ潤氏

連載【日本シュウマイ協会会長・シュウマイ潤の『みんなが知らない、シュウマイの実力』】第12回

シュウマイも餃子やラーメンなどのようにメジャーを目指したいが、メジャーは苦労が多いらしい......。シュウマイ研究家のシュウマイ潤が、シュウマイの今のポジションの良さを分析します。

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シュウマイは"マイナー"である――。この事実があるからこそ、私は誰も注目していないことに価値を見出し、約10年前から一人全国のシュウマイを食べ歩いてきました。

そして食べるごとに、シュウマイがメジャーになりうるポテンシャルを持っていることが分かり、同時に、もっとメジャーな存在になってほしいという思いも強まり、シュウマイの普及につながる活動を始めました。そして『一般社団法人日本シュウマイ協会』という団体を作り、2月26日(包むの日)を「シュウマイの日」として、シュウマイを盛り上げるべくイベントなどを企画しています。

その努力の甲斐あって、シュウマイも多少はメジャーになったかどうかは定かではありませんが、協会の活動も3年目を迎えるなか、心境の変化が起こりました。

シュウマイは"マイナー"のままでいいのではないか――。

豊洲市場の人気町中華「やじ満」のシュウマイ。マイナーと言われるシュウマイだが、メジャーな店の隠れた名品として知られている 豊洲市場の人気町中華「やじ満」のシュウマイ。マイナーと言われるシュウマイだが、メジャーな店の隠れた名品として知られている

実は、私が過去2回出演したテレビ番組『マツコの知らない世界』の収録中、マツコ・デラックスさんから「あんた、シュウマイはこのマイナーなポジションが"おいしい"のよ」と、再三言われました。テレビカメラが回っていない時に話すところにマツコさんの本音を感じましたが、その時はあまり深く考えませんでした。

しかし時を経て、改めてその"おいしさ"の真意が理解できるようになった気がします。

東京・五反田の地元に愛される町中華「梅林(めいりん)」のシュウマイ。ここは焼きそばが有名だが、シュウマイも知る人ぞ知る名品 東京・五反田の地元に愛される町中華「梅林(めいりん)」のシュウマイ。ここは焼きそばが有名だが、シュウマイも知る人ぞ知る名品

その要因は、大きく3つ挙げられます。第一に、マイナーは存在自体が喜びにつながる。

餃子やラーメンなどメジャーな食の研究は、ある意味、広い地域や店舗で出会うことができ、そのなかから名品を探すことが楽しさだったりしますが、マイナーは存在自体が希少なので、出会い自体が嬉しい。私もこの希少性自体が、シュウマイに関心を持ち始めたきっかけとも言えます。

しかも、有名な町中華の隠れ人気メニューがシュウマイだったり、中華料理が提供されなさそうな居酒屋で発見したりと、明らかになさそうな場所で遭遇する"運命の出会い"があるのも、マイナーだからこその醍醐味だと思います。

第二に、マイナーは共感を呼びやすい。

私はこの法則を、プロレスや格闘技ファンに例えています。というのも、今でこそ新日本プロレスやDDT、RIZIN、K-1などは、メジャーなエンターテインメントとして広い世代に普及していますが、10?20年前は一部のマニアの趣味でした。

ただ、そういうマニアな人たちと巡り会えると、年齢や肩書きを超えて、好きなレスラーや格闘技選手、思い出の試合などで、時を忘れて盛り上がることが出来ます。

そして、この共感がシュウマイでも起こります。実はシュウマイのファンだったけど、それを共感する相手が身近に存在せず、その相手と巡り会えたことで、それまで溜めていたシュウマイ愛を共有できる。マイナーなため出会い自体が希少なので、メジャーな料理のファン以上に、強固な関係性ができやすいと感じます。

最後に、マイナーは応援したくなる。

シュウマイに限らず、マイナーな存在を「かわいそう」と思い、応援したくなる方は世に一定数存在します。そして最近分かったのが、メジャーな側にいる人ほど、マイナーなモノを応援する傾向が強いこと。

私もシュウマイ研究のおかげで、先のマツコさんはじめ、さまざまな著名人たちと知り合うことが出来ましたが、彼らはマイナーであるシュウマイに強い関心を示し、応援を公言してくれているように感じます。

横浜の野毛や新橋にある「いしはら」の海鮮シュウマイ。貝専門店という、まずシュウマイを期待しなさそうなジャンルの店での遭遇も、マイナーだからこその驚きと喜びがある 横浜の野毛や新橋にある「いしはら」の海鮮シュウマイ。貝専門店という、まずシュウマイを期待しなさそうなジャンルの店での遭遇も、マイナーだからこその驚きと喜びがある

また一方で、メジャーにはマイナーにはない苦労があることも分かってきました。

シュウマイ研究を突き詰めていくと、餃子やラーメンなど既にメジャーな業界で活躍されている方々とも接する機会も増えてきました。そして皆さんの情報を聞いていると、メジャーはマイナーにはない苦労が色々あるのだと感じます。

その理由はさまざまですが、表現によっては妙な憶測を呼びそうなので......敢えてひとつ挙げるとすれば、メジャーなジャンルの食には当然ながらメーカー、飲食店、専門家など、関係者が数多く存在し、その考えかたや取り組みかたも多様で、そのなかでの立ち位置が、結構大変なように見えます。

悲しいかなシュウマイは、立ち位置を悩むほどの数も多様性もなく、むしろマーケット自体が小さいので、みんなでなんとかしよう!という機運が強い気がします。これもまた、マイナーの良さかも知れません。

と、シュウマイのメジャー化は必要ないような結論になってしまいましたが......そんなわけはなく、よく比較される餃子とは、冷凍やチルド商品のマーケットで2~3倍の開きがあるという分析結果があるそうです。追いつくにはまだまだ時間がかかりますが、追いつこうという諦めない姿勢もまた、応援しようという機運を作ると思うので、ほどよいメジャーを保っていきたいものです。

■【イベント情報】『2月26日はシュウマイの日!』記念企画 

●一年で最もシュウマイを盛り上げた人、コトを表彰 
「シュウマイオブザイヤー」「ベストシュウマニスト」表彰式 

●シュウマイを食べてシュウマイを盛り上げよう! 
「おいシュウマイパーティ」開催 
上記、どちらも2月21日(金)に新宿中村屋8F グランナで実施 

●フォロー&タグ付け+コメントでシュウマイグッズが当たる! シュウマイSNSキャンペーン 
公式X【@ syumai_kyokai】 
公式Instagram【@ syumai.kyokai/】 

●シュウマイの日を記念した特別企画も計画中! 
詳細は「シュウマイの日」オフィシャルサイトにて

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