レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏 レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。

さて、平成レトロのデザインにおいて、私がリバイバルしてほしいと感じているのが3次元のコンピューターグラフィックス(3DCG)です。

中でもテレビ番組において3DCGキャラクターが重要な役割を果たしたのが、1993(平成5)年に放送開始し、今も特番が続く『COUNT DOWN TV』です。シングルCDのランキングを100位まで紹介する、当時としては特殊な番組で、深夜放送ながらも大人気でした。

もともとは92年に始まったゴールデン枠の番組『突然バラエティー速報!!COUNT DOWN100』が原点で、司会は人気絶頂の山田邦子さんと渡辺正行さんが担当。このときから100位までのランキング紹介、ゲストの歌唱コーナーもあり、後にあまり音楽番組に出演しなくなるビーイング系のアーティストも登場していました。

『COUNT DOWN TV』のストラップ&キーチェーン。こちらはゲーセンのプライズ品。野球帽のアビー君 『COUNT DOWN TV』のストラップ&キーチェーン。こちらはゲーセンのプライズ品。野球帽のアビー君

女性アシスタントキャラのイクちゃん 女性アシスタントキャラのイクちゃん

メガネの菊池君 メガネの菊池君

その後、100位ランキングの全紹介はさすがにマニアックすぎたのか約半年で番組は終了。しかし100位ランキングを前面に押し出し、『COUNT DOWN TV』と改名して深夜枠で復活します。

司会もタレントさんから3DCGキャラクターに変更してリニューアルしました。腕をグルグル回す「カウントダウン」のコールなどは継承され、むしろゴールデンタイムのとき以上に人気となったのです。

『ランク王国』のラルフ。日本語ラップが定着し出した時期で「チェーケラゥ!」が紹介のかけ声。決して「チェケラッチョ」ではない 『ランク王国』のラルフ。日本語ラップが定着し出した時期で「チェーケラゥ!」が紹介のかけ声。決して「チェケラッチョ」ではない

また95年からは『ランク王国』という、これまたランキング番組がスタート。『COUNT DOWN TV』オンエアの直後に放送され、こちらもアナウンサーと共にラルフという3DCGキャラクターが司会進行する類似点もありました。写真集や漫画、映画など、音楽に限らないランキング紹介は、かつての『はなきんデータランド』に近かったと言えるでしょう。

平成の若者たちを寝不足にしていたふたつのランキング番組。毎週のように深夜に見ていたのは、新時代を感じさせる3DCGのキャラクターだったのです。

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山下メロ

山下メロやました・めろ

1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。

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