
山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、いよいよ大阪・関西万博が始まります。そんな時期ゆえ、ここで平成の初めに開催された大阪での国際博覧会を振り返りましょう。
平成が始まった1989年前後の日本は、博覧会ブームともいうべき状況でした。数が多すぎて紹介できないほど全国各地で地方博が開催されたのです。その時期の国際博覧会が、90年(平成2年)4月から大阪の鶴見緑地で開催された「国際花と緑の博覧会」(以下、花博)です。
花博の開催時期はまさにバブル絶頂期。企業からの寄付額や総来場者数で特別博覧会の史上最高を記録するなど、花博は好景気を受けたビッグイベントでした。
マスコットキャラクター、花ずきんちゃんの認可品には証紙、認可番号がプリントされている。認可品の立体フィギュア
マスコットキャラクターはチューリップっぽい頭部がかわいい花の妖精「花ずきんちゃん」。これは87年に手塚治虫さんが審査委員長を務めた一般公募で決まりました。
ほかにも横浜博のブルアちゃん、アジア太平洋博の太平くんと洋子ちゃん、瀬戸大橋博の桃太郎など多くの博覧会キャラクターをデザインした手塚さんが「花ずきんちゃん」の立体化を手がけています。
花博は景気の良さもあり、これまでの国際博とは比較にならないほど多くの関連グッズが製作・販売されました。各パビリオン、シンボルマークだけのグッズもありましたが、花ずきんちゃんのグッズが多く存在します。
各パビリオンのキーホルダーたち。開幕2日目に事故が起きてしまったジャスコのアドベンチャークルーズ
国際博覧会はライセンス管理も厳重なのか、正式に許諾を受けているものには証紙が貼られ、本体にも管理番号のようなものがプリントされていました。しかし、認可されなかったのか、ライセンス料を節約するためなのか、証紙も番号もない商品が存在します。
そんな非ライセンス商品に限っても、それまでの博覧会をしのぐ数が作られました。非ライセンスの場合、花ずきんちゃんはもちろんのこと、「花博」などのワードも使えないため、「花の街 ふたりの大阪」や「OSAKA'90」など苦し紛れの商品だらけで苦労を感じます。
こちらは未認可の勝手グッズ。もはやキタキツネ!? 「好っきゃねん!OSAKA'90」ということで、1990 年の大阪としか言ってません
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。