ボクシング挑戦から女芸人として本格復帰、今の心境を「真面目になった」と自ら語るしずちゃんが明かしてくれた

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

第29回のゲストで歌手の山川豊さんからご紹介いただいたのは芸人で南海キャンディーズの山崎静代さん。

ボクシングでオリンピックを目指すまでとなり注目されたしずちゃんだが、怪我もあって断念し、昨秋から芸人として本格復帰。その経緯は第13回のゲストで出ていただいた相方の山ちゃん(山里亮太)も語っていたところ…というわけで、本人の心境はーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―本当にガチで皆さんに御紹介いただき、友達の輪を繋いでいる対談連載でして…。

しず 私を山川豊さんが紹介してくださったんですか? うわ~!

―意外でした?(笑)

しず あ、でもボクシングのジムが一緒だったので、見てもらったこともあったし。BSの番組でも一緒にドライブデート的なロケをしたりとか…全く信じられない感じではないですけど。宣伝のためとかそういうのもなく、本当のガチなんですよね。

―もちろん! なんのしがらみもなく。

しず へ~。ふふふふ(笑)。嬉しいですね。なんか、お世話になってたので。

―その含み笑いはなんなんでしょう(苦笑)…ちょっと照れてます?

しず いや、なんか嬉しいです。面白いですね、そういう繋がっていくのが本当に。もっと前ってなったら私、全然知らない方だったりするのに、私までこうきてくれたのが…。

―そうなんです、ほんと意外な流れで。山川さんもしずちゃんを気にかけていて、ボクシングを一生懸命頑張っていたのを見てたけど、膝に爆弾抱えて辛かったんだろうなという話もされてました。

しず 山川さんにミット持ってもらったのは1回だけなんですけど。私が専属で見てもらってたトレーナーの梅津(正彦)さんと仲良くて、同じ現場の横でトレーニングしてることがよくあったから。たぶん泣きじゃくってる姿も…私はもういっぱいいっぱいで周りは見えてなかったんですけど。横で気にしてくださってたんだろうなと思います。

―演歌界でも兄貴分的な方ですし。やっぱり放っておけないところがあったんでしょうね。

しず う~ん…ふふふ(笑)。

―実は、もう半年以上前ですけど、相方の山ちゃん(山里亮太)にもこの『語っていいとも!』に出ていただいてるんですよ。

しず へ~! 知らなかったです。山ちゃんは誰からの…。

―『おはスタ』でずっと共演されてた声優の山寺(宏一)さんが飲み友達でもあるということで…。

しず あっ、そうですね、私も出てました。それで山ちゃんは誰に…。

―そこから『アウト×デラックス』繋がりで、やはり飲み友達という大鶴義丹さんに。

しず え、大鶴義丹さんとも! あ、そうなんですか。知らなかった。

「女を口説いてる所を見られたくない? えー!」

―(笑)その山里さんに出ていただいた時に、しずちゃんがボクサーを引退して、また一緒にやるって話もしてたんで。今回、こうして出てもらえるのも不思議な縁だなと。

しず コンビはあまりないですかね。ふふふふ(笑)。

―その縁でいうと、それこそデビューして人気出た直後から『週刊プレイボーイ』本誌でも連載を結構長いことやってもらってたんですよね。「南海キャンディーズの2時間だけのトリオ」という。

しず やってましたね。対談のやつですよね。

―ふたりが毎回ゲストにアイドルを迎えて。そういう縁もあるので、週プレのほんとのお友達という感じで(笑)。あんまり覚えてないですか?

しず 覚えてます、覚えてます! いつもカワイい女のコが相手で、本当に山ちゃんがすっごい楽しみにしてましたね。仕事としてじゃなくというか(笑)。

―本人もそう言ってました。仕事じゃなく、これきっかけで「毎回どうにかして落とせないか」と本気で考えてたみたいな(笑)。

しず 企画的にも落とそうとする設定になってはいるんですけど、「やっぱ、こいつガチやな」みたいな(笑)。あわよくば感は出てましたね、ふふふ(笑)。

でも自分が逆の立場で毎回、美少年とかイケメンきてたら、確かにテンション上がるなって思いますけど。

―でも相手がアイドルではね。隣で「こいつウザいな」とか冷めた目で見てたんですか?

しず 正直、そうですね、はははは(笑)。別にそのゲストに来る方自体も面白いし、いいんですけど。ただ、山ちゃんのテンションの上がりっぷりを見てると、引いてしまう感じはあって。そこにちょっと付き合ってる感はありましたねぇ。

―(笑)。山ちゃん的には、しずちゃんが他の仕事でたまたま取材に参加できない時は「よっしゃ!」みたいな。いつも横にいる邪魔な奴がおらんぐらいな感じで、ますますテンション上がってたそうですけど(笑)

しず あぁ、私なしでその女のコとふたりのほうが? でも、そもそも別にそんな邪魔してないですけどね(笑)。そんな中入っていかないし…。それでもやっぱり相方に女を口説いてる所を見られたくないみたいなことなんですかね? えー! 何それ!

―ムカつきますか?

しず ムカつきます(笑)。けど、結局その中でも「このコいいな、合いそうやな」って思ったら私、連絡交換したりして。仲良くなったコもいるんですよね。

「コンビにとってもマイナスになったらイヤやなと」

―えっ、それは山ちゃんのためにでもなく、自分のプライベートで?

しず はい。まぁ少ないですけど、女同士やから交換しやすいし。で、「ちょっと、ご飯いこうよ」みたいなことになって。たぶん、山ちゃんは連絡交換もしてないと思うんで。したいけど、全部私に持ってかれるみたいなとこもあったかもしれないです。

―実は、しずちゃんのほうがゲットしてたと。それはだいぶ地団駄踏みますね(笑)。まぁそんなコンビのズレも微笑ましいわけですが。そのボクシング辞めて芸人復帰する際のやりとりも話をしてもらって。山ちゃんがツイッターで「おかえりなさい」みたいなメッセージをアップしたという。

しず そうですね。なんか、辞めるっていうのを記者発表することになって、でもそれよりもっと早い段階で決めていたので、まず先に言わなアカンやろって思ったのは、やっぱり山ちゃんやったので。最初はメールで「辞めるけどまだ言わないでね、発表するまでは」って。で、その時は「わかった」って。

それから何ヵ月か後に記者発表して、終わったら山ちゃんがツイッターで「おかえりなさい」って、ふたりのメール以外でも上げてて。それがニュースみたいになって、ちょっとした山ちゃんの優しさみたいな…好感度上がったんですよね。

―当然それ以前に知ってたけど、みたいな(笑)。

しず ふたりのメールだけでよかったのに、あえてみんなに見えるように(笑)。

―ははは(笑)。こいつ、優しさアピリやがったなって下心を感じた?

しず そうなんです(笑)。あ、さすがやなって思いました、はははは。

―ちなみに山ちゃんが言うには、辞める報告を自分にしてくるのも相当、しずちゃんは怖がってたんじゃないかと…。

しず う~ん…そうですねぇ。完全100%じゃないけど、まだやる可能性もあるかなっていうのを残しつつ、悩んでる状態では言えないですけど。でも辞める決意をほぼ固めていた時には、全然すぐ言おうとは思いましたね。

―ボクシングに本腰入れるってなった時に、山ちゃんがすごい厳しいことも言って。「そっちやるんだったら何かのメリットを持って帰ってこい」みたいなことも突きつけたとか。だから、戻るってなったら、自分に対して恐れもあったのでは?という話で。

しず あー、まぁそうですね。当初はもちろん反対してたから…それで次、リオ目指してやるって私は言ってきたけど、やっぱり途中で辞めますってなって。コンビにとってもマイナスになったらイヤやなとかいうのはありましたし。

山ちゃんも応援してくれるようになって、お守りくれたこともあったんですよね。だから申し訳ないというか、そんな気持ちはありましたね。

―そういう自分を許して、また一緒にやってくれるかなっていう不安も? どう受け入れてくれるかなとか。

しず まぁどう反応するかなっていうのはやっぱり思ったけど。でも辞めることは自分で決めたので、もうどうしようもないなって。それは言うしかないと思って。

「心が落ちるのがやばいなとか思い始めて…」

―そういう意味では、山ちゃんのリアクションにはホッとしたというか、何か肩の荷が下りた思いも?

しず そうですね、うん…。「ボクシングやる」って言ったら最終的に応援してくれたし、辞めるって言ったら「じゃあこっちで頑張ろう」って、なんかどっちでも私の決断を受け入れてくれるのは有難いって。そういう応援してくれるんやなって思いましたね。

―待っててくれた愛情も感じますよね。一方で、芸人をまたメインでやることに対する不安みたいなのは自分の中でどうでした?

しず 全く辞めていたわけではないんですけど、ボクシングのほうが世間的にもイメージが強くなってたし、比重がどんどん大きくなっていってたんで。やっぱり二足のわらじっていうのが、なんか、こっちがアカン時はこっちを言い訳にしてとか…悪い意味で、そうできる状況が、片方なしになったら、もうなんの言い訳もできない怖さはあったんですよ。

だから、発表した後とか、やたらと世間の声を気にし過ぎたりして。「もう、こっちに戻ってきても無理やぞ」みたいな、やっぱり叩いてる人も多いし。最初はそんなんばっか見てしまって、心が落ちるのがやばいなとか思い始めて…しばらくあったんですけど。

それがなんやろう、この間、舞台やって、そん時って稽古から本番終わるまで、結構、毎日そればっかりになるんで。良くも悪くも、あんまりTVとかネットとか見る時間がなくなるんですね。バラエティの人間として、もっと見なアカンってのもあるけど、意外とそれで世間とちょっと離れちゃう感覚があって。最近、ちょっとマシに…。

―情報をシャットアウトする感じになって落ち着いた?

しず 舞台だけの日々に追われて、それがアカンとこもあると思うんですけど。ちょっと前まで、TVのこの箱の中でどう映ったらいい? どう見られたらいい?とか気にし過ぎてて。すごい苦しいなって思ったりもしたんですよ。

それも大事ですけど、すごく小ちゃいことにこだわり過ぎてて、自分を狭い世界に閉じ込める感じがしたから。そんな時に舞台やって、ちょっと離れたことによって、なんか「ええやん」って思えて。

―目の前のやるべきことに集中して、無駄なことを考える暇もなかったのがよかった…余計な雑音を入れずにね。

しず ちょっと神経質に世間の声とか変に考え過ぎて落ち込むんやったら、そんなん考えんほうがいいし、見んほうがよかったのに。舞台で毎日一喜一憂するっていうか、そういう日々を送っていたら、ちょっと余裕も出て「そんなんはええやろ」って思えるようになってきましたね。

―でもそれこそ山ちゃんが「これからはまた女芸人っていう肩書きだけになるわけだから、残りの人生戦っていきますって覚悟みたいなのもあるんじゃないか」って、イイ風に言ってましたが(笑)。

しず う~ん、ふふふふふ(笑)。そうですねぇ、覚悟…まぁボクシング辞めることで、また始まるっていう気持ちでしたね。とは言いつつ、しばらくは仕事が減っていってた状態で、急に入ってくるわけでもなかったので。すごく気持ちも不安定で。

でも今はまた芸人として、あと舞台とか役者もまたやりたいし。絵も描き始めてるんですけど、そういうこともボクシングやってる最中は全然なかったので、やっていきたいなとか。

「真面目になったんですよ、私…ふふふ」

―新たに、いろんな意欲が湧いてきてると!

しず 私、元々ハングリーさが全然なくて。のんびりしてるんですね。だから山ちゃんがそれに腹立ってたと思うんですけど(笑)。ボクシングやることによって、そのハングリーさを掴(つか)めたのかっていったらそこまでじゃないけど、でもそういうものが必要とかはわかってきたし。

やっぱりトレーナーにめっちゃ言ってもらって、ただのド素人がオリンピック目指すっていうのがどんだけやらなあかんことかっていうのを知れたんで。芸人の仕事に戻った時に、前の自分がいかに何も考えてなかったかも感じるようになって。前よりも真面目になったっていうか(笑)。

でも、真面目になったからこそ、めっちゃ緊張するようにもなって。前って、あんまり緊張しなかったんですけど、今、みんな当たり前のようにポーンって出て行くところを、ちょっとしたことで「私、どうしよう」とか、すごい緊張しやすくなってて。

―いろんなことをナーバスに考えすぎるように。真面目になったがゆえに?

しず 真面目になったんですよ、私(笑)…ふふふ。

―確かにふてぶてしいというか、プレッシャーって何?くらいのイメージでしたよね。

しず 割とプレッシャーに強かったかもしれないですね。

―それが今は、山ちゃんから覚悟とか突きつけられたら「そういうのやめて~!」みたいな?

しず あははは(笑)。「覚悟決めたんやね」って言われちゃうと…ちょっとあれですね、ふふふふ。相当やるんやなみたいな風に思われたら、なんかね(笑)。

―そういう厳しいところに向き合いたくない、楽なほうに逃げてしまう自分もいたんでしょうが。それもボクシングに挑戦して強くなった?

しず そうですね。今日もこのあとやる舞台が即興コントなんですけど。これがもう、今のところ一番緊張する仕事なんですよ。本当に「1回逃げようかな」って1時間おきぐらいに考えるんですけど。でも、成功するかしないかはやってみないとわからないし、それだけプレッシャーのかかることは、やっぱりやったほうがいいんやろうなってすごい思いますね。

●この続きは次週、9月18日(日)12時に配信予定!

(撮影/塔下智士)

●山崎静代1979年、2月4日生まれ。大阪府出身。2003年に山里亮太と南海キャンディーズを結成。翌2004年にM-1グランプリで準優勝しブレイク。 2006年には映画『フラガール』に出演し日本アカデミー賞・新人賞を獲得、役者としても注目され、『世界!弾丸トラベラー』『スクール革命!』など、ピンでのレギュラー番組を持つように。ボクシングでは2009年にC級ライセンスを取得、ロンドン五輪を目指すが及ばず、リオ五輪も志半ばで昨年10月に引退表明。再び、お笑いの世界へ本格復帰する。