「介護現場でのロボット活用は十分にありえる」とふたりの意見は一致するが…

労働環境が苛酷なわりに給料が安いため、人材難が問題となる介護職。

そんな中、給料が上がらない理由について“ホリエモン”こと堀江貴文氏がつぶやいた「誰でもできる仕事だから、単価は残念ながらなかなか上がらない」「ロボットに代わって、多くの仕事はなくなるよ」というツイートが物議をかもした。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた!なんかヘンだよね」で、堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、この問題について語った前編に続き、その結論は…!

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ホリ あと、現場の介護職の人たちが中抜きの対象になっちゃってる。つまり、社会福祉法人が儲(もう)けてたりする。やっぱり構造的に給料は上がらない仕事なんだよ。

ひろ あんまりハッピーな話じゃないですね。

ホリ 本当は介護職や社会福祉法人の規制をなくして、自由化するのがベスト。で、介護のバウチャー制度を導入すべき。バウチャー制度ってのは、公的サービス用の引換券を配って、利用者に自由に選んでもらうっていう仕組みなんだけど、介護バウチャーを配れば競争原理が働いて、稼げる人はたくさん稼げるようになる。それこそ、さっき言ったような富裕層の介護サービスとかね。

ひろ いい方法なんでしょうけど、堀江さんのツイッターでの絡(から)まれ具合を見ていると、もっとすごい反発が起きそうですけどね。

ホリ まあ、稼ぐ人が増える代わりに、ダメなやつの給料はもっと下がるからね。でも、いくら俺に反発されても「誰でもできる仕事でもコツコツやってれば給料が上がる」とかそんな都合のいい話があるわけないよ。

ひろ ただ、給料は上がらないものの介護の仕事が完全になくなるのは考えにくいので、食いっぱぐれることはないとは思いますけどね。とはいえ、給料は低いままなので、学生がやるバイトみたいな存在になる気がします。若者が社会勉強として、本業ではなく一時的にやる仕事とかになるかもですね。

ホリ それじゃあ、何も考えてないやつしかやらなくなるよ。

ひろ また炎上しますよ(笑)。だから、なるべく人力に頼らないで機械なりに置き換えていくほうが現実的でいいと思いますけどね。

いくらツイッターで騒いで俺に絡んでも…

ホリ ソフトバンクがやってる『ペッパー』みたいな人間に近いロボットじゃなくても、センサーとかアプリレベルでの進化は十分考えられるわけだし。

ひろ 全自動は無理でも、例えばスカイプで看護資格のある人と常時接続して、いつでも話せるようにするとかはありですよね。そんで、何かあったら近所にいる介護福祉士の人に行ってもらうとか。この方法なら施設を一切持たないで、低コストで介護サービスを行なえるでしょうし。

ホリ そうそう。そういう広義の意味でのロボットの活用は十分にありえるんだよね。

ひろ “ロボット”というと、人型を想像して批判しますけど、広義の意味ですからね。そして、そこに「AI」という言葉が絡むとさらに「仕事が奪われる!」って騒ぐ人まで出てくる。

ホリ 単純思考な人が多いんだよ。まあ、いくらツイッターで騒いで俺に絡んでも、介護士の給料はなかなか上がらないのが現実だから、しょうがないんだけどね。

ひろ 現実の問題や構造の欠陥に気づかない人が多いんですよ。ただ文句を言ってるだけでは、待遇は良くならないですよね。

ホリ そう。もっときちんと考えないと、ヘンな言いがかりだけで終わってしまうよね。

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『本音で生きる』(SB新書)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき)1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)