神戸製鋼によるデータ改ざんなど、有名企業が次々と問題を起こしている。だが、日本には大儲けはなくとも社員を大切にしながら、誠実に商売を続ける会社が多数ある! ここでは、そんな優良企業の「ホワイト秘話」を公開しよう!
第1回は大阪府吹田市で見つけた上一(かみいち)木材。
同社は、木材販売を中心に建築工事、大工職人向けに金物・電動工具ショップも運営している。
会社を支えるのは乗上委泰(のりかみ・よりやす)社長が振る舞う“昼メシ”だ。同社の昼時はにぎやか。17人の従業員全員が事務所の食堂で大家族のように食卓を囲む。
ある日の献立はカキフライ、ポテサラ、生野菜、漬物など。煮物やみそ汁などのダシはすべて昆布から取る。白菜やたくあんなど、漬物はすべて社長の手作りだ。この「社食」の存在は外部にも知れ渡り、食卓には頻繁に取引先の社員が加わる。
乗上社長はもともと板前だったが、父の会社を引き継ぐ形で木材会社の社長に転身。数年後に業績が低迷したが、乗上社長は「従業員にも生活がある。切れない」とリストラしないことを決断した。
しかし、業績回復のためには給与は下げなければならない。そこで乗上社長は全従業員にこう頭を下げた。
「給料を15%ほど下げさせてほしい。その代わりに、明日から私が毎日昼メシを作る!」
以後10年、乗上社長は、営業日は必ず昼食を作る。
「食卓を囲んで同じ釜のメシを食べるので、互いに親近感が湧き、上も下も関係なく本音で話し合える。だから、ウチでは会議がほぼない。また、食材は大工さんや施主さんからのいただきものがほとんど。社食のおかげで、従業員やお客さまと温かい関係が築けています」
業績はすでに黒字化し、今期には給与も賞与も下げる前の水準に戻すメドがついたとのこと。しかし、乗上社長はこう宣言した。
「これからも昼メシを作り続けていきます」
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(取材・文/週プレNews編集部)