フェイスブックは“意味ある報道”をカンボジア市民から切り離してしまったと語るモーリー氏

『週刊プレイボーイ』本誌で「モーリー・ロバートソンの挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが、前編記事に続きロシア介入疑惑もあるフェイスブックについて語る!

今年6月、全世界の月間ユーザー数が20億人を突破したフェイスブック。今や国境を超えたインフラともいえるこのSNSが、実は独裁者や差別主義者たちにとって“都合のいいツール”になっていた!?

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フェイスブックはカンボジアでもやらかしています。同社は今年秋から、カンボジアを含むマーケットの小さな6ヵ国でニュースフィードを2分割するテストを実施。普通の友達の書き込みと、メディアや企業からの投稿が分けて表示されることになりました。すると、その結果、カンボジアの反政府系メディアの記事が市民にリーチしづらくなってしまったのです。

一見するとフェイクニュース対策と思えるかもしれませんが、よりによってこれを現在のカンボジアで運用してしまうことは実に乱暴です。フェイスブックのニュースフィードはここ数年、カンボジアの民主化に向けた動き、さらに市民ジャーナリズムの流通プラットフォームとして機能してきたからです。

カンボジアでは昨今、フン・セン独裁政権が言論弾圧を強化しており、反体制系新聞の廃刊や民主化を求めるラジオ支局の閉鎖が相次いでいます。11月には政権と対立する最大野党、カンボジア救国党も解党に追い込まれました。そんな最悪のタイミングで、フェイスブックは“意味ある報道”を市民から切り離してしまったのです。米本社にとっては「ビジネス上の小さなテスト」なのでしょうが…。

同社のマーク・ザッカーバーグCEOは近年、13億人の大市場の開放を求めて熱心に“中国詣で”を繰り返しています。しかし、あれほど(良くも悪くも)自由な言論空間を中国政府がそのまま許すことはありえない。仮に解禁されたとしても、AIや顔認証を使った世界トップクラスの人民監視態勢を敷く中国政府は、フェイスブックに適度な制限をかけた上で、有効な監視システムとして利用することになるでしょう。

それでもザッカーバーグCEOは中国にすり寄るのでしょうか。ただでさえ、最近はロシアだけでなく中国もフェイスブックへの「プロパガンダ広告攻勢」を強めているというのに…。

かつてザッカーバーグCEO は“Move fast and breakthings”(素早く行動し破壊せよ)というモットーを掲げました。しかし、メンローパークの無邪気な価値観を全世界に無節操に広めることが、言論の自由がなく、様々な紛争を抱えた地域の人々のために本当になっているのか。もう一度考え直す時が来ているのではないかと思います。

Morley Robertson(モーリー・ロバートソン)国際ジャーナリスト、ミュージシャン。1963年生まれ、米ニューヨーク出身。『スッキリ』(日本テレビ)、『報道ランナー』(関西テレビ)、『教えて!NEWSライブ 正義のミカタ』(朝日放送)、『ザ・ニュースマスターズTOKYO』(文化放送)、『けやき坂アベニュー』(AbemaTV)などレギュラー・準レギュラー出演多数。2年半に及ぶ本連載を大幅に加筆・再編集した新刊『挑発的ニッポン革命論煽動の時代を生き抜け』(小社刊)が好評発売中!!