「野菜くらぶ」の従業員(後列中央が本文に登場する竹之内光昭取締役)。農業未経験の新規就農者への懇切丁寧な育成方法には定評がある 「野菜くらぶ」の従業員(後列中央が本文に登場する竹之内光昭取締役)。農業未経験の新規就農者への懇切丁寧な育成方法には定評がある

日本には大儲けはなくとも社員を大切にしながら、誠実に商売を続ける会社が多数ある!ってなわけで、知られざる優良企業の「ホワイト秘話」を紹介しよう。

“社長メシ”で業績をV字回復させた木材販売会社「コメを売る前にゴミを拾う」経営姿勢で安定受注を得る米屋に続き、今回は群馬県・昭和村で見つけた野菜くらぶ

4つの生産地(群馬、静岡、青森、岡山)の78人の生産者が提携して「安全な作物を、いかに安定して売るか」に特化して実践する会社だ。

「例えば、群馬での真夏のレタスは質が落ちる。そのときは北の青森で栽培し、出荷する。また、群馬では冬に栽培できなくても、温暖な静岡ならば通年出荷ができます」(竹之内光昭取締役)

こんな戦略で、野菜くらぶは、生協や大手外食企業との通年取引を可能にした。ひとり当たりの平均年間売り上げは約3千万円にも達するという。

同社で見逃せないのは、既存の農家の生活向上に加え、新規就農希望者への惜しみない積極支援をしているという点だ。

「若い人が農業をやる。それは顧客から見れば、今後、数十年も安定出荷が期待できることを意味します。僕たちは、新規就農したい人を研修生として社員待遇で社会保険にも加入、月13万6千円を支給し、最長2年間受け入れています」(竹之内氏)

研修後、野菜くらぶの一員として就農すれば、初年度から売上4千万円以上も可能だという。日本の農業を救うのは、この会社かもしれない。

(取材・文/樫田秀樹)