"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏による『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」。
今回のテーマは外務省が発行する「次世代パスポート」。レーザー印字により紙幣並みの偽造防止策を取るという。前編で両氏は、「レーザーで印字された特殊な文字の読み取り機がある国、つまり日本以外では特に役に立たない」「パスポートを偽造して悪いことをたくらんでいる人は、日本以外の偽造しやすい国のパスポートを選択する」など、偽造対策の意味に疑問を投げかけた。
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ホリ まあ、たとえ日本のパスポートを偽造されたとしても、使用する本人が日本人に見えないと疑われるのは普通だよね。だから、「そこまでして偽造パスポートを作るの?」って話は本当にそう思うんだわ。
ひろ えぇ。だから、今回の新しいパスポートの「偽造しにくいこと」って部分が、誰のメリットなのかよくわからないんですよね。
ホリ まあ、本人確認という意味では、バイオメトリクス(生体認証)とかの技術を取り入れたほうがいいとは思うんだけど、それこそ真贋(しんがん)が読み取れる機器がなければ意味がない。
だから、偽造対策よりも、日本に入国するときには顔認証ゲートが用意されていたりする感じで、もっと入国とかが便利になる方向に力を入れたほうがいいはずなんだよ。
ひろ 顔認証は、すげー便利ですよね。すでに導入されている指紋認証はうまくいかなかったりすると時間がかかるんですけど、それに比べるとだいぶ便利だと思います。まあ、日本が得するためのセキュリティ強化って、逆に言えば顔認証くらいで十分な気がするんですけど。
ホリ やっぱ、レーザー印字はいらないよな(笑)。
ひろ と思います(笑)。なので、偽造防止強化が行なわれている背景は、「いつか来る将来を見据えて」という大義名分と、業者にうまいこと営業されたくらいしか思いつかないという......。
ホリ あー。確かに、業者のプレゼンに乗っちゃった感じはあるよね。もう考えられることって、それくらいしかない。
ひろ この新しいパスポートで、偽造対策にお金を使ってもしょうがないし、そもそも現状でも日本人が日本に入国するときにパスポートを偽造したってニュースはあんまり聞かないっすからね。免許証を偽造したというニュースはよく聞きますけど。
ホリ 確かに。
ひろ そんなことをするなら、顔認証の仕組みを海外に売るとかやったほうが、日本が得すると思うんですけど。
ホリ あとはクラウド化してパスポートを持ち歩かなくてもいいようにしてほしい。ぶっちゃけ、パスポートって偽造よりも盗難や紛失のリスクのほうが大きいからね。
だから、スマホに入れられるようにするとか、そっち側にリソースを使ってほしい。でも、結局、他国で読み取りができなきゃ意味がない部分はあるけどね。
ひろ って考えると、やっぱり新しいパスポートの偽造防止強化は力を入れるところが間違っているって以外の答えはなさそうですねえ......。
ホリ だね。
●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。『これからを稼ごう 仮想通貨と未来のお金の話』(徳間書店)が発売中
●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『働き方 完全無双』(大和書房)