今年6月、独立リーグ・四国アイランドリーグplusの『高知ファイティングドッグス』で日本球界に復帰をした藤川球児

今年6月、独立リーグ・四国アイランドリーグplusの『高知ファイティングドッグス』で日本球界に復帰をした藤川球児。

野球解説者の橋本清氏を通じ、「週プレなら、全部話しますよ」と事の経緯、心中を吐露してくれた前回記事の独占インタビューに続き、今回はその第二弾! 自身もケガで苦しんだ最大の原因である「日本とアメリカとの違い」とは…。

* * *

橋本 コンディションは悪くないんやろ? 俺も肘の手術やったからわかるけど、休めば日に日に良くなるよ。

藤川 全然問題ないです。春に内転筋を痛めたけど、今年替えたスパイクがうまく合わなかっただけで。契約の問題もあって履き替えられないままどうしてもマウンドで滑って、スピードも144~145キロくらいしか出なかった。

そういう裏事情もありながら、でも投げるのはどこ行っても同じですからね、言い訳になるし勝負でいうと負けなんですけど。ほんま滑って軸足がマウンドの後ろいってましたから。今はコンディションはなんの不安もないです。

橋本 そもそも故障の原因はやっぱマウンドの影響が大きい? メジャー行ってみんななるし、いろいろ議論されてるけど。どう思ってるの。

藤川 ボールの違いもでしょうけど、やっぱりマウンドの使い方というか、固いんで跳ね返される感じなんですよ。日本人の投げ方だと、下半身主導でいって着地して、そこから粘って体のパワーを伝えながら腕の遠心力でしならせて投げるじゃないですか。1、2の3で着地して、そこで間があるんですけど、向こうのピッチャーはそれがなくて1、2の3ですぐ上半身の筋力の強さで投げる。

だから日本のピッチャーで爆発的なボール投げてた人でも投げ方のリスクがものすごい高いです。絶対に肘やるだろうなっていう。

橋本 ほんま多いもんね。けどそれで手術してリハビリして、日本やとすぐ結果を求められるけどな。

一番重要やったのは家族なんです

藤川 まだどうしても契約も1年とか多いですから。保存療法でいこうみたいな話にもなりますよね。それもあってメジャーは複数年契約でリスクを避ける意味もあるし。それで1年かかろうが2年かかろうがパフォーマンス戻れば場所をもらえますから。

今は日本も育成枠とかあるけど、向こうは独立リーグとか受け皿も充実してるんで。

橋本 俺もリハビリして、もう1年あったら…と今も思うことあるよ。1年間無駄飯を食ってるみたいな目で見られて肩身狭い思いしてね。

藤川 高い給料もらってとか働きもしないのにってなりますよね。だから今、自分はリハビリと思ってないですけどこういう独立リーグをうまく使えれば、ドラフトにかからなかった選手もやし、もともとプロにいたけど事情があってという選手も生かせるんじゃないかとは思いますね。

橋本 球児がこうして所属することで見る目も変わってくるやろうし。地元の活性化になって人気とか集客もやけど、選手のモチベーションも上がると思うよ。

藤川 僕からしたらプロ野球のバッターも独立リーグの選手も技術的にはそう変わらないというか一緒ですよ。ひとりずつのプライドに違いはあると思いますけど、例えば打撃だけとったらね。メジャーは大違いですけど(笑)。

橋本 まぁそれでもいきなり独立リーグとは…理由はいろいろやろけどな。

藤川 でもほんま一番重要やったのは家族なんですよ。どこで生活して、どう時間を過ごすか。本当に自分のことを必要でなければゆっくりさせてもらって、自分のペースで野球やって。それがひいては野球界全体のためになればいいなというね。

●この続き、最終回は明日配信予定。阪神への復帰はなかったのか…その背景にマスコミ不振も?を全告白!

(撮影/五十嵐和博)

●藤川球児(ふじかわ・きゅうじ)1980年生まれ、高知県出身。高知商から98年、ドラフト1位で阪神に入団。球界を代表するストッパーに。2013年にメジャー移籍、カブス~レンジャーズを経て今年6月に独立リーグの高知で日本球界復帰

インタビュアー●橋本 清(はしもと・きよし)1969年生まれ、大阪府出身。PL学園時に甲子園優勝。87年、ドラフト1位で巨人に入団。セットアッパーとして活躍するもホークス移籍後にケガで引退。現在、評論ほかで活躍