2年連続でセ・リーグ最下位に沈み、今季開幕前も解説者たちから〝ノーマーク〟扱いされていたヤクルト。
だが、終わってみれば、下馬評を覆(くつがえ)し、14年ぶりのリーグ優勝&日本シリーズ進出!
そんな快進撃を予想して(?)今年2月に真中満監督へのインタビュー取材を行ない、「本当に優勝が目標です!」との力強い宣言を掲載していた週プレ。そこでオフにお祝いを兼ねて再び直撃、前編では一年で感じた監督業の大変さを語ってもらったが…。
●「MVP? 数字的には山田だけど…」
―近年、他球団ファンに浸食されがちだった神宮球場ですが、シーズン終盤はヤクルトファンで埋まりました。
真中 そうだね。三塁側の外野席のほうまでウチのファンがいるって、ここ何年もなかったから。意外とヤクルトファンって多いんだなと(笑)。他球団よりも謙虚で、陰ながら応援するファンが多いんだろうね。品がいいというか(笑)。でも、来年は開幕戦からたくさんのファンが応援してくれたら嬉しいな。
―そんなヤクルトファンで埋め尽くされた10月2日の阪神戦でリーグ優勝を決めました。あの瞬間の気持ちは?
真中 達成感というか、ホッとしたというか。選手もそうだけど裏方さんがあれだけ喜ぶ光景ってなかなかないから。それに優勝フラッグを持っての記念撮影の笑顔って、つくろうと思ってもつくれない、心の底からの笑顔になるでしょ。だから、みんなのあの笑顔を見られたことで1年間の頑張りが報われた。
―選手時代には何度も優勝を経験されていますが、それとどちらが嬉しかった?
真中 優勝の喜びは一緒だけど、監督の立場だと責任もあるし、あそこまできて負けられないって思いの中での優勝だったから、そういう意味では一番嬉しかったかな。
―ズバリ、監督の考えるチームMVPは誰ですか?
真中 数字的には山田だけど、若手からベテランまで投手陣を引っ張った中村(悠平)の功績は大きい。今年は腰を据えてリードしていたし、相手を一生懸命研究していた。本当によくやってくれたよ。
―しかし、日本シリーズで対戦したソフトバンク。めちゃくちゃ強かったですね。
真中 投手も守備も打線も、総合力が素晴らしくてスキがなかった。ウチは先発がゲームをつくるしか勝ち目はなかったけど、石川(雅規、まさのり)も館山(昌平)もよくなかった。まあ、相手の重圧が先発陣にいろんな負担をかけて結果的にああなっちゃったのかな。
山田哲人の『フライデー』合コン報道に…
―では、来季への課題は?
真中 来年は研究されるし、先発ローテをウチ中心に回してくるチームだってあるだろうから、ひとりひとりが成長していかないと勝てない。あとは選手層。個々の力に頼らず、誰かが抜けてもみんなでカバーできるチームにしたい。
―選手への注目度もアップしますが、監督からオフの過ごし方へのアドバイスは?
真中 いや、プライベートは好きにしたらって思うよ。山田が『フライデー』に合コンしてるところを撮られていたけど、あれも大した内容じゃないし。
―そういえば、そこに一緒にいた上田剛史(つよし) 選手が目線入りで〝知人男性?扱いされたことが、チーム内でネタにされていたそうですが、監督はイジったりしないんですか?
真中 確かに、俺もイジって一緒に騒ぎたいタイプだけど、立場的にはそうもいかないでしょ。俺だって一応いろいろ考えてるんだよ(笑)。
―さすがです。それでは最後に今後の抱負を!
真中 毎年優勝争いができる常勝軍団をつくりたい。来季に限るならリーグを連覇して、今度こそ日本一になりたいね。それこそ「絶対に日本一!」と宣言したいところだけど…。本音で話すと、50%くらいはいけると思ってる。とにかく来季こそパ・リーグ王者を倒して、日本一になりたいね。
―再びの有言実行、期待してます!
●真中満(まなか・みつる) 1971 年生まれ、栃木県出身。92年にドラフト3位でヤクルト入団。俊足巧打の外野手として活躍し、4度の日本一に貢献。現役終盤には勝負強い打撃で"代打の神様"と称され、そのサービス精神豊かなキャラクターもファンに愛された。2008年には現役を引退、翌年からヤクルトの二軍打撃コーチ、二軍監督、一軍チーフ打撃コーチを歴任し、15年シーズンより監督を務める。
(取材・文/武松佑季(A4studio) 撮影/五十嵐和博)