男子バスケの新リーグが豪華開幕! ※写真と本文は関係ありません

9月22日、東京・代々木第一体育館での「Bリーグ」開幕戦、アルバルク東京vs琉球ゴールデンキングスのチケットは、プラチナボックス席20万円、ベンチ横7万円などの高額席があったにもかかわらず完売。さらに地上波で、しかもゴールデンタイムに生中継。これはブームの予感がビンビンする!

ということで、このタイミングを逃さず知ったかぶりしたいキミに、Bリーグの要点を紹介しよう!

●Bリーグ誕生の経緯は?

これまで日本には、企業チームとプロチームが混在する「NBL」(ナショナルバスケットボールリーグ)と、プロチームのみで構成される「bjリーグ」という、ふたつのリーグが存在していた。

しかし、FIBA(国際バスケットボール連盟)から、「2リーグ並存状態は好ましくない。統一するまで国際大会の出場資格を停止する」と、JBA(日本バスケットボール協会)が制裁を受けてしまう。そのとき、立ち上がったのが川淵三郎JBA前会長(現JBAエグゼクティブアドバイザー)だ。川淵氏がその豪腕をいかんなく発揮し、誕生したのがBリーグである。

リーグの目標として「世界に通用する選手やチームを輩出」に加え、「エンターテインメント性の追求」も掲げ、ソフトバンクと4年125億円ともいわれる大型契約を締結。公式戦全試合のライブ配信を行なうなど、後方の“盛り上げ体制”も万全なのだ。

●リーグ戦の形式は?

Bリーグは1部の「B1」(18チーム)、2部の「B2」(18チーム)という2部構成(Bリーグ入りを目指す「B3」9チームも存在)。1年ごとに入れ替え(昇格・降格)が行なわれる。

B1は6クラブずつ3地区に分けられ、来年5月まで続くレギュラーシーズンは、各クラブが同地区のクラブと36試合、他地区のクラブと24試合、合計60試合を戦う。そのレギュラーシーズンの結果を受け、上位8チームで「チャンピオンシップ」を行なってシーズン王者を決定する。

また、残留プレーオフも実施。あるB1チームの関係者は「もしB2に降格したら死活問題…」と早くも戦々恐々。チャンピオンシップ同様、残留争いが白熱すること必至だ。

ちなみに、B1、B2ともに外国籍選手2名、帰化選手1名、合計3名の“外国人”選手登録が可能。ひとつのクオーターで2名までの外国籍選手を同時にプレーさせられるが、外国籍選手2名、帰化選手1名の3人が同時にはコートに立てない。

また「1試合の外国籍選手出場は合計6クオーターまで」という制限があり、各チームがクオーターごとに出場する外国籍選手の人数を「1-2-1-2」「2-1-2-1」などと試合前に申請することになっている。

リーグのレベル、勢力図は?

●リーグのレベルは?

気になるリーグのレベルは、どの程度なのだろう? 46歳にしていまだ現役、日本バスケの“レジェンド”折茂(おりも)武彦(レバンガ北海道)に聞いた。

「当然、NBAやヨーロッパのリーグと比べられるレベルではありません。ただし、日本人選手の中にもポイントガードやシューティングガードといったアウトサイドのポジションには外国人選手に引けをとらない、いい選手がいますよ。日本代表の比江島慎(ひえじま・まこと、シーホース三河)、辻直人(川崎ブレイブサンダース)といった選手のプレーはぜひ見てほしいですね」

●リーグの勢力図は?

ふたつのリーグがあった時代は「観客動員数が多いのがbjリーグ」で「実力が上なのがNBL」といわれていた。Bリーグになっても、旧NBL勢のほうが強いのか?

旧bjリーグ勢の秋田ノーザンハピネッツに所属し、日本代表経験もある田口成浩(しげひろ)はこう答える。

「代表に参加すると、やはり日本人選手のレベルはNBL出身選手のほうが高い。ただ、差は少しずつ縮められるし、バスケの勝敗は個人能力だけで決まるわけではないので」

また、同じく旧bjリーグ勢である新潟アルビレックスBBの人気選手、佐藤公威(きみたけ)は「渡り合える」とキッパリ。

「NBLでプレーしていた日本人選手のほとんどが、国内の大学で最もレベルの高い関東1部リーグ各チームのエース級です。一方、僕は短大(新潟工業短大)出身で、bjリーグ初年度(2005年)のドラフト4巡目で指名された選手でしかない。でも、誰が相手でも劣るとは思わないし、僕のような経歴の選手が活躍することが、将来プロになりたいバスケ少年の希望になると思っています」

そして実は、旧NBLのクラブか旧bjリーグのクラブか以上に、上位と下位を分けそうなのがチーム運営費だ。あるチームの関係者が囁(ささや)く。

「Bリーグはサラリーキャップがありません。結果、リーグ元年ということもあり、どのチームも好成績を残したいので有力選手の獲得に走り、現在、選手の年俸がインフレを起こしています。私が知るだけでも、B1各クラブの年間運営費は2億円弱から6億円強とかなり幅がある。チーム間の戦力差はかなり大きいと言わざるをえません」

もちろん、フタを開けてみなければわからないが、識者や関係者の話を総合すると、今季は川崎ブレイブサンダースやシーホース三河といった昨季のNBL上位チーム、さらに、旧NBLの栃木ブレックスや千葉ジェッツといった比較的資金が豊富なチームによる上位争いが濃厚のよう。

残りの旧NBL勢と、昨季のbjリーグで人気実力ともに上位だった琉球ゴールデンキングス、富山グラウジーズ、秋田ノーザンハピネッツといったチームが第2集団を形成しそうだ。

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(取材・文/水野光博)