“お値段以上”のお買い得馬で一攫千金をねらえ! (写真はイメージです) “お値段以上”のお買い得馬で一攫千金をねらえ! (写真はイメージです)

ディープインパクトをはじめとする良血馬、高額馬が幅を利かせている昨今の競馬界。

だが、時に決して良血とはいえない格安馬から思わぬ名馬が誕生するのも競馬の醍醐味だ。

走るのは「値段」じゃない! 前編に続き、安くても強い“お買い得馬”を紹介する。

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安価な“雑草馬”が、レースで高額の良血馬をゴボウ抜きにする―。これぞ競馬のロマンのひとつといえるが、歴史をひもとくと、決して珍しいことではない。

2015年の年度代表馬、モーリスは海外3勝を含むG16勝で、10億円を優に超える賞金を稼ぎ出した。そんな同馬が1歳時にセリでつけられた価格は、なんとたったの150万円。このとき育成牧場に購買され、トレーニングを積んだ後、2歳になって再度、セリに出されたが、ここでついた値段も1050万円だった。

「モーリスは父がちょっと地味なスクリーンヒーローで、母のメジロフランシスも未勝利。さらに、もともと繋養(けいよう)されていたメジロ牧場が成績不振から解散したということもあって、値を下げていた感もあります」(セリ関係者)

それが、4歳時の安田記念を皮切りに、日本と香港でビッグレースを連戦連勝するのだから競馬はわからない。

また、セレクトセールでの落札額が1260万円ながら「世界ナンバーワン」の座に就いたのが、ジャスタウェイだ。4歳秋までは重賞2着が5回という善戦マンだったが、2013年の天皇賞・秋でジェンティルドンナに4馬身差をつけ、ぶっちぎりの勝利。

翌春に挑んだG1ドバイデューティフリー(現ドバイターフ)では、世界の強豪を相手に今度は6馬身差の圧勝劇を見せ、2014年の世界ランキング1位にも輝いた。

世界一といえば、2000年に天皇賞(春・秋)、宝塚記念、ジャパンカップ、有馬記念と古馬中長距離のG1を総なめにしたテイエムオペラオー。獲得賞金総額約18億3000万円はつい最近まで世界一だった同馬だが、こちらもセリでの落札額はわずか1050万円だった。

オペラオーといえば、その最大のライバル・メイショウドトウも「安くて強い馬」の代表格だ。G1レースでオペラオーの2着に敗れること実に5回。01年の宝塚記念でようやく雪辱を果たし、生涯9億円以上を稼いだ同馬も、海外のセリでの落札額はたったの500万円だった。オペラオーとの死闘は、日本競馬史に残る「安馬対決」でもあったのだ。

11万円の馬が10億円以上稼ぐ

■クラブ馬主で100倍のリターンも

世界に目を向けるとさらなる“お買い得馬”も。

2014年にジャスタウェイやハープスター、そして2013年にはオルフェーヴルやキズナを子供扱いし、凱旋門賞連覇という快挙を達成したフランスの女傑トレヴ

1歳時のセリでは、2万2000ユーロ(約270万円)で売りに出されるも声がかからず、やむなく牧場の名義で現役生活をスタートさせると、無敗のままG1フランスオークスを勝利。するとトレードの申し出が相次ぎ、現在のカタール首長の弟ジョアン殿下に購買されることとなった。その額、なんと800万ユーロ(約10億円)!

とはいえその後、凱旋門賞を連覇するのだから、決して高い買い物ではなかったのだろう。

さらにスゴイのが、06年に日本のG1スプリンターズSを勝利した、オーストラリアのテイクオーバーターゲット。3歳になっても体質が弱く、まともにレースに使えないことから投げ売り同然の1250豪ドル(約11万円)で売られていたのを購入したのが、馬主兼調教師のジャニアック氏。ちなみにこの方、タクシー運転手でもあったというから驚きだ。

調教師とはいっても自分の馬なので、ゆっくり、根気よく体質の強化に努めたところ、デビューから破竹の7連勝でG1を制覇。さらにその後、イギリス、日本、シンガポールでG1レースに勝利し、世界を股にかけて10億円以上を稼ぎまくった。11万円の馬が、である。

ともあれ、「馬主で一攫千金(いっかくせんきん)」は一般庶民にはかなりハードルが高いが、クラブ馬主ならそれも夢ではない。例えば、ダート戦線で10億円以上を稼いだエスポワールシチーは、500口の共同馬主で1口当たり2万4000円。維持費などは別としても還元額は約204万円で100倍近いリターンだ。また、短距離G1で2勝のローレルゲレイロも1口5万円が245万円に化けた。

馬券で一攫千金もいいが、クラブ馬主で夢と賞金を同時に狙って、人生も下克上だ!

(取材・文/土屋真光)