最低でもプレーオフには行きたいと語る髙田氏

まさに救世主だ。「ジャパネットたかた」の創業者である髙田 明(たかた・あきら)氏(68歳)が4月25日、深刻な経営危機が表面化していたJリーグ(J2)のV(ヴイ)・ファーレン長崎の社長に就任。

すると、チームを取り巻く雰囲気は一変し、すぐさま成績も上向きに--。誰もが知る経営のプロは、愛する地元のクラブをどう導いてゆくのか!? 前編記事に続き、長崎へ飛んで直撃インタビュー!

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―現在、チームは好調ですが、昇格すれば初のJ1です。

髙田 ここ(長崎)に浦和レッズとか鹿島アントラーズが来ることを想像するだけでワクワクしますよね。毎試合満員御礼になるかもしれないとか考えただけで楽しいじゃないですか(笑)。今も横浜FCのカズ(三浦知良)さんが来るだけで観客動員が増えますからね。ただ、まずはJ2でしっかり戦うことです。焦っても仕方ないですし、段階を追わないと、こればかりはどうにもなりません。

―同じく企業(楽天)が全株式を持つJ1のヴィッセル神戸は、年俸約6億円で元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキを獲得しました。大物外国人選手の獲得プランはありますか?

髙田 そこはお金もかかることですし、しっかり関係各位と相談しながらやっていきます。今季はスペイン人FWのファンマ選手が多くのゴールを決めてくれていますが、そういう選手の存在は日本人選手にも刺激になりますし、考えないといけないことです。ただ、大物といっても、どこまでの大物かっていうのもありますけどね(苦笑)。

J1に行くことは、選手にとってもキャリアを積んでいくことになります。V・ファーレン、V・ファーレンと言いながらも、選手の夢も一緒につくっていかないと、チームとして結果を出すのは難しいと考えています。だから選手の想いとかサポーターの想いなどを総合的に考え、どういう取り組みがいいのかを模索していきたいです。

―やる以上は、最終的にはJ1での優勝が目標?

髙田 そこまで言ったら「バカたれ」と言われそうですが(笑)、J1優勝を遠い夢というのもちょっと寂しい。どんなに高い目標でも、抱くことで励みになりますし、願いとして持ちたいですよね。ふり返れば、私がジャパネットで自社スタジオを建設し、テレビショッピングを始めたときも反対の声は多かったんです。でも、できない理由を考えて、できないと決めてしまったらそれで終わり。できる理由を考えたほうが面白いじゃないですか。せっかくなら頂点を目指したいです。

―チームに対して、今季これくらいはやってほしいということなどはありますか?

髙田 最低でも(6位以内のJ1昇格)プレーオフには行きたいですね。順位表を見れば、上位にはJ1経験のあるチームがズラリと並んでいますが、胸を借りるつもりで頑張ってほしいです。V・ファーレンも過去2回プレーオフに出ていますが、負けるとビールもおいしくない。勝って選手と勝利の美酒を味わえる日が来れば最高ですね。

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かつてジャパネットは長崎で着実に足場を固め、日本を代表する企業に成長を遂げていった。V・ファーレンもそれに倣(なら)えるか。まずはJ2の舞台から。長崎旋風に期待したい。

(取材・文/栗原正夫 撮影/竹藤光市)

●髙田 明(たかた・あきら)1948年生まれ、長崎県出身。大阪経済大学卒業。74年に父が経営するカメラ店へ入社。86年に「株式会社たかた」(現・ジャパネットたかた)を設立し、社長に就任。15年1月に退任した