AbemaTVの視聴率1%程度なら、設備投資をしたとしても先行きは暗い? AbemaTVの視聴率1%程度なら、設備投資をしたとしても先行きは暗い?

人気番組にアクセスが殺到し、サーバーダウンしたことでも話題となったインターネットテレビ局「AbemaTV」。

『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が、ビジネスとしての「AbemaTV」の可能性を議論する!

* * *

ホリ 「AbemaTV」が5月7日に放送した『亀田興毅に勝ったら1000万円』っていう番組見た?

ひろ リアルタイムで見てました。でも視聴者が殺到して途中でサーバーが落ちちゃったので、その後は同時配信していたYouTubeに移って見てました。

ホリ 俺も見てたけど、この機会に「AbemaTV」のアプリをダウンロードした人は多いんじゃない?

ひろ そうですね。でも、ビジネスとしては合理性に欠けると思うんですよ。

ホリ あ、ひろゆきもそう思うんだ。ちなみになんで?

ひろ Abemaのサーバーが落ちた後のYouTubeの同時接続数が70万ちょっとだったらしいんです。この数字ってネット動画の世界ではものスゴい数ですけど、テレビの視聴率で考えると1%もいかないんですよ。

ホリ 日本の人口約1億2千万人からすると、70万人の視聴って1%以下だからね。

ひろ これって深夜番組で「視聴率測定不能」といわれるレベルの数字です。その数字の顧客を自前のインフラで維持することができなかったんですよ。んで、その対策としてサーバーの設備投資をしようとしても、結構なお金がかかるんです。サーバーって「規模を2倍にすると値段も2倍」という単純なものではなく、「規模が2倍だと値段は10倍」とかになったりしますから。

ホリ でも、AbemaTVの運営にも携わってるサイバーエージェントの藤田晋(すすむ)社長は「クラウドを使っているので月間サーバーコストは数千万円で、全体コストに対する比率は3%程度。ユーザーが増えても影響は軽微」って言っているよ。

ひろ 確かにクラウドならいくらでもサーバーを増やせますけど、自前のデータベースを増やすのはすげーお金がかかるってのを藤田さんは理解できていない気がするんですよ。今回の障害もデータベースが原因だって言ってましたし。

データベースがないと、ビジネスモデルに制限がかかる

ホリ データベースがないと、ビジネスモデルに制限がかかってしまうんだよね。

ひろ ええ。「誰がどれくらい見たのか」みたいなデータを諦めなきゃいけないですからね。

ホリ ちなみに、藤田社長によれば同時接続100万くらいでサーバーが落ちたらしい。

ひろ ってなると、同時接続100万以下のコンテンツで戦うか、設備投資をするかって話になりますよね。んで、たとえ設備投資をしたとしても、視聴率1%を維持できるかどうかってくらいなら「先行きないんじゃねー?」って思っちゃうんですよ。

ホリ だけど、データベースもクラウドにしているらしいから費用も抑えられるみたい。

★後編⇒『AbemaTV』のビジネスモデルにホリエモン×ひろゆきが疑問「YouTubeのチャンネル機能を借りて放送すれば?」

(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)

●堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中

●西村博之(にしむら・ひろゆき) 1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)