"ホリエモン"こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏による『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」。
今回はスペースX打ち上げ成功と宇宙ビジネスの今後について。前編では、堀江氏が今回のニュースで大事なのは「有人飛行の正解はカプセル型宇宙船」「打ち上げ直後の脱出用システムが秀逸」のふたつであると解説した。
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ひろ これから、ますます民間の宇宙開発企業に注目が集まりますよね。スペースXも民間企業なので、ほかの国にロケットを売ったりするんですか?
ホリ アメリカ政府が認可すればね。例えば、すでに売っている戦闘機のF-35と同じ感じ。
ひろ ロケットって軍事利用と民間利用が曖昧ですけど、堀江さんのインターステラテクノロジズのロケットを外国に売るときには、日本政府の認可が必要なんですか?
ホリ もちろん必要。「外国為替及び外国貿易法」が関係してくる。昔、ロシアがスカッドミサイルの技術を輸出して、それが第三世界に広がって政情不安をつくり出した苦い経験があるんだよ。
例えば、北朝鮮のテポドンとかノドンとかは、その派生型。だから、ロケットに使われている部品が輸出規制を受けているのさ。
ひろ 逆に言うと、堀江さんのロケット開発がせっかくうまくいっても、海外に出せずに日本政府に飼い殺しにされる可能性もあるんすね。
ホリ え?
ひろ 堀江さんのロケットを使いたいという国が出てきても、日本政府がいやがらせをして売らせないみたいなパターンはありえるのかなと。
ホリ というか、打ち上げサービスとして海外の企業に売っていくんだよ。だから、インバウンド需要だし、日本政府と一体になってセールスして、ちゃんと納税するから補助金をもらえる対象にもなる。
ひろ へー、じゃあ鹿児島・種子島(宇宙センター)の打ち上げとセットで売る感じですね。
ホリ いや、俺たちは種子島と関係ない。北海道・大樹町(たいきちょう)の打ち上げ基地でこれからもやっていくよ。
ひろ 赤道に近いほうが燃費はいいので、コストが安くなるんじゃないですか?
ホリ 実は安くならないんだよ。種子島は真南に沖縄があるので、ロケット上昇中に飛行経路を曲げる「ドッグレッグターン」をしなければいけない。
それに、これまでは静止軌道への打ち上げがメインだったけど、今はISS(国際宇宙ステーション)やLEO(地球低軌道)などの太陽同期軌道への打ち上げ需要も多い。すると、緯度が多少変わるのはあまり関係ないんだよ。
で、今のところ民間ロケットはアメリカに集中していて、「国際武器取引規則(ITAR)」規制を受ける。だから、うちはITARフリーのエリア、例えばアジアとかヨーロッパの需要を取りにいくつもり。
ひろ 需要はけっこうあるんですか?
ホリ ヨーロッパはロケット打ち上げを自国内でやるのが難しいからね。そこで、うちは中国企業との競争になるけど、中国に頼りっぱなしはいやなはずだし、入り込む余地は十分あると思っている。
ひろ そう考えると、国内でなんとかできるアメリカってやっぱ有利っすね。
ホリ とはいえ、スペースXはロサンゼルスの工場で造って、東に打ち上げるときはフロリダまで陸送しているから。その点、日本はコンパクトにまとまっているので有利。
という意味でも、ロケット事業は、日本がアメリカや中国と張りあえる数少ない産業のひとつなんだよ。うちもスペースXに早く追いつきたいね。
●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。SNS株式会社オーナー兼従業員。近著に『それでも君はどこにでも行ける』(光文社)
●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。最新刊は『なまけもの時間術 管理社会を生き抜く無敵のセオリー23』(学研プラス)