あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』。
前回、タレント・女優のMEGUMIさんからご紹介いただいた第41回のゲストはタレント・女優の坂下千里子さん。
08年の結婚・出産後も活動の場を広げ、情報番組のコメンテーターからキャスターまでマルチな活躍。変わらぬ若さと好奇心旺盛なバイタリティーで、最近では国際情勢番組や選挙特番にも出演。前回、政治にも興味があるという話まで伺ったがーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)
―やっぱり、そのワクワクが『これでわかった!世界のいま』みたいな番組の起用にも繋がって。好奇心キャラというか、そういう表情やリアクションも買われてのことなんでしょうね。
坂下 そうなんですかね。私が出てたら、「あ、千里子が出てるなら、俺でもわかるんじゃないか」みたいな感じで。たぶん、チャンネルを止めてもらいやすいのかもしれない。ほんと、完全に自分の興味だけで…。でも、すごい好きなんですよ、TV自体が。元々、TVっ子だから。
―すべてに興味津々というか。そこに自分も飛び込んじゃって、疑問を持ったら質問するのも結構好きですよね?
坂下 好きです好きです。だから政治家とも喋りたいんですよ。なんか、ミーハーでもどんな質問でもいいやって。
―今、ふと思いましたけど『朝まで生テレビ!』とかも出たら面白いかもですね。
坂下 あー、出てみたいけど、怖いな…。いつもずっと観てて、ちょっと興味ありますけど。
―あそこの中に放り込んだらどうなるんだろうっていう(笑)、ドキドキな…。
坂下 あはは(笑)。あたふたしてるけど、でも何か一発言わなきゃみたいな。あいつ、何を発するんだっていう、ちょっと興味はありますね。
―こんな話をしてたら、きちゃいますよ。小池(百合子)さんからも。女性候補として(笑)。
坂下 あははは(笑)。都民ファースト、行っちゃいますかね(笑)。いやいや、それは絶対ダメですよ~!
―でも、そもそも最初に『王様のブランチ』でリポーターとかやってた時も、基本は同じなんじゃないかと。新しい情報に興味や好奇心でリアクションするっていう。
坂下 だからそれも、もう今だから笑い話なんですけど、19、20歳とかでディズニーランドのロケに行ったのかな。地方から小6で1回来たかなぐらいだった人間が仕事で行けて、すーごい楽しくて、はしゃぎまくっちゃったんですよ(笑)。ホントに。うわー!ミッキー!みたいな。
―その時の回を見たような記憶が…。
坂下 だって、東京出てきて、そんなの仕事で行けるなんてありえないから、わーってはしゃぎすぎて…。その時のディレクターが駆け出しの方だったんですけど、「すごくいいのができたから、今日のV楽しみにしとけよ」って言われて、「はい!」ってスタジオに行って。ところが、放送終わったらプロデューサーに呼ばれて「なんなんだ、あのはしゃぎ方は!」みたいにすごい怒鳴られちゃって。
―お仕事なのに、素ではしゃぎすぎてどうする!って?
坂下 そう。「自分たちだけ楽しみやがって、あのVTRは最低だ!」みたいな。トップのプロデューサーにそんな怒られたらシュンってなるじゃないですか。そしたら、次の月曜日、そこの数字だけぼーんって上がってたっていうんです。
―それがすごい好評だったんですよね。それもちょっとした伝説みたいな…。
坂下 で、次の収録の時、「よかったな、あのVな」とか言われて、「なんだこの世界は!?」って思ったことをすごい覚えてます。
「『いいとも!』は夢のような番組だった」
―完璧に“業界あるある”ですよ(笑)。ドラマのエピソードでありそうな。
坂下 でも、びっくりしました。前の週、めっちゃ怒鳴られて「ちゃんとしろ! 仕事なんだから」って言われて、こっちもはしゃぎすぎた感はあったから「あ、すみませんでした」って。
―まぁ、誰しも観ていて「素で楽しんでるだろ!」ってツッコミ入ったはずですが(苦笑)。それが逆に印象的でウケてね。
坂下 そうですよね、ホントに(笑)。でも、自分が楽しまないと伝わらないっていうポリシーでやってたのもあったんです。それを教えてくれたディレクターさんが「おまえが楽しまなかったら伝わらないから、楽しめ!」って言ってくれたおかげなんですけど。そこからブランチの3年間、ずっとそういう気持ちでやってましたから。すっごく楽しかったです。
―それが向いてたからやっぱり長続きしてるわけですし。
坂下 でも、3年でクビになってますけど(笑)。
―いやいや、それはクビっていうより、3年続けば当然、入れ替えもね(笑)。
坂下 まぁ、その時に「バッチリ、チリ脚」(エステサロンのCM出演時のキャッチフレーズ)がちょうどあって、「ここで卒業だ」っていうタイミングだったんですよね。自分でも「中学で3年、高校でも3年だから、3年経ったらやめよう」って言ってたんで。その半年前から準備をしてたんですよ。
―英会話番組も1年のはずが2年留年して、坂下さんの基本は3年サイクルと(笑)。
坂下 そう、ホント3年! 一番最長の番組で『笑っていいとも!』が6年。
―中高一貫教育じゃないですか(笑)。すごいですよ、その誰もが憧れる難関校を長期熟成で卒業したら。
坂下 ですよね。付属の大学ついてないけど(笑)。いやー、でも『いいとも!』は変な話、夢のような番組だったので。それこそ『ブランチ』が終わってすぐの4月に隔週のレギュラーで1年間やらせてもらって。そこから毎週になってった感じで。
それこそ、うちの事務所の専務が慌てましたもん。最初、「ちりちゃんに『いいとも!』から問い合わせきたよ! どうする!?」「えっ!」みたいな感じで。
―あの時代、そこに出るステイタスといったらね。でもそれこそMEGUMIさんも「ちりちゃんは抜群に面白いんです。バラエティの神だと思う」って最後に言い残してましたが。素の才能を認められていった、実はエリートだったわけですね。
坂下 えー、ちょっと…(笑)。それ、MEGUMIにもっと広めなさいって言ってくださいよ。
―「普通にデパート行くだけで、店員さんが笑い死にしそうになるんだから、あんな人いないと思う(笑)」って。
坂下 あはっ(笑)。それね、いつも言われます。菅野美穂ちゃんとも仲良しで、一時期、私とめっちゃデパート行きたがるみたいな時期があったんです。「面白いんだもん! ちりちゃんと買い物すると」って。MEGUMIがいた時もあって、3人で普通にバーゲン行ったり…。
「元々、私も女優志望で入ってますから!」
―ええっ、その3人でバーゲンって…。
坂下 行ってましたよ、お客さんとして。で、店員さんとの掛け合いで、普通にフレンドリーに喋ってると、それですごい笑ってるの! なんでかよくわかんないけど「めっちゃウケる」って。
―天然な感じの坂下さんがボケてるところが面白いんですかね?って聞いたら、「ボケてるんじゃない、全然ツッコんでますよ!」って。
坂下 そう、私、ツッコミ気質なんですよ。質問して、向こうが答えて「えっ、違うんじゃない?」ってことにツッコミ入れて。そしたら「いや、すみません」みたいな…。なんですかね? でも、基本的に買い物はひとりで行くんで、たぶんこっちも友達がいるからテンション上がってたんでしょうね。はしゃいじゃったんじゃないですか。
それで、みぽりんとか「ちりちゃん、店員さんと早く喋って、喋って」とか。どんな絡みが見たいんだよ!みたいなのはすごいありましたね(笑)。
―ちょっとしたミニコントを観るのも楽しみで一緒に行ってるみたいな(笑)。
坂下 そうそうそう。そこらへんはやっぱ女優さんは普通にいつもは買い物するじゃないですか。
―女優さんはって…やっぱり自分はバラエティ的な路線で(笑)。ちなみに、お仕事でコントをやるのはどうなんですか? 素と違って、苦手とか…。
坂下 でも、爆笑問題さんとNHKの『笑いがいちばん』っていうコント番組を、それこそ2、3年やってたんですよ。ずっとこのコントやりたいって思ったぐらい大好きで楽しかった。お客さん入れてやるんですけど、舞台が好きっていう人の感覚というか、やっとそこで初めて面白さがわかった気がして。
―基本的になんでも楽しめるというか、好奇心でやれるタイプなんですかね。
坂下 いやいや、でも元々、私も女優志望で入ってますから!(笑)
―とはいえ、きっかけはイメージガールのオーディションですよね?
坂下 そうそう、アルペンの。もう、ど田舎の娘だったんですよ。いきなり審査員の方に「女性で誰が好きですか?」って聞かれたんですけど、「えー、誰やろ?」と思って。私のちょうど前のコが「西田ひかるさんです」って答えてて、「いつも太陽のようにキラキラ笑顔を振りまいて、周りのみんなを明るくするからです」って。100点の答えじゃないですか!
―100点ですねぇ(笑)。そこで自分は…。
坂下 「すげーな、この人!」と思って。いきなり次、私にきて「えー! 中山美穂さんです!」って言ったんですよ。その時、みぽりんしか頭に浮かばなくて。で、理由はなんですか?って聞かれて「歌も歌ってはって、お芝居もしてはるからです」みたいな(笑)。
―京都弁で(笑)。正直、ど素人まんまな返しを?
坂下 地方大会で大阪だったんです。京都弁で咄嗟に言ったら、そのアルペンの方が大爆笑してて。それが通って、この世界入れて「あ、女優さんっていう職業もあるな」って思ったんですよね。
「好きだった人に彼女がいるのを知らないで…」
―なんなんですか、その行き当たりばったりな(笑)。そもそもオーディションを受けた動機とかあるはずでしょう?
坂下 動機はですね、あの…フラれた人を見返そうと思って(笑)。
―そんな単純な…。
坂下 単純ですけど、それがもう大変なんですよ! 宇治の花火大会が8月10日にあるんですけど、その前に自分の好きだった人に彼女がいるのを知らないで告白しちゃったら「もう俺、彼女できちゃった」って。「えー、いないって言ってたじゃん」って言ったら、バレンタインの時に私が修学旅行でいなかった間に、違う女のコからチョコもらって付き合うことになったって。
お土産とチョコを帰って来て持ってったら、もうフラれちゃったんですよ! で、宇治の花火大会ってカップルばっかり来るわけです。こそこそ付き合ってたコたちが、そこでお披露目会みたいになって…。
―アメリカの卒業プロムみたいな(笑)、それまでにカップル作っとかなきゃいけないっていう。
坂下 ホント、それで「えー!」みたいな。で、こんな日に私は宇治にいれないと思って。こんな大恥…女同士で浴衣着てキャッキャ行ける年齢でもない。中学生だと女子だけで行ったりとかするんだけど、でも高2でこの8月10日に…。
―それでオーディションに? 逃げるは恥だが役に立つ、というか(笑)。
坂下 そうそう! そのオーディション日が8月10日だったの! もう、宇治にいない理由はこれしかないと。それを雑誌の『non・no』かな、「シンデレラは君だ」っていう広告で見て、「これだー!」と思って応募したんです。
―すごい運命の分かれ道ですね~。ヤケになってオーディション、「ヤケオーディション」だ(笑)。
坂下 そうそう。ヤケオーディションですよ。それがもうきっかけ。その8月10日に宇治にいたくないっていう理由だけで。
―そこで、その彼と付き合ってたら、今の坂下千里子はいなかった…。
坂下 そう、いない! だから、あの先輩には感謝してまーす(笑)。あの時はめっちゃ落ち込みましたけどね、マジで。卒業してからもずっと、デビューして東京出てきてからも2年ぐらい引きずって好きでしたから。
で、東京でしかダウンタウンの『ガキの使いやあらへんで』をやってなかったんですよ。先輩がダウンタウン大好きだったから、それを毎回VHSのビデオに録って、送ってあげてました。ストーカーみたいに2、3年、ずーっと(笑)。でも、関西でも深夜にやり始めて「あー、もう送んなくていいんだ」って。
―それっきり? 切ないイイ思い出じゃないですか。でも、有名になって、ちゃんと見返せた感じですね。
坂下 えー、見返せてないですよ。それから音沙汰1回もないし、連絡してないもん。
●続編⇒語っていいとも! 第41回ゲスト・坂下千里子「完全に隠してますから…脱いだら、みんな引いちゃいます(笑)」
●坂下千里子 1976年4月19日生まれ、京都府県出身。1994年、『第2回 アルペンTVCMイメージガール・オーディション』でグランプリとなり芸能界デビュー。その後、『王様のブランチ』にブランチリポーター(ブラン娘)として出演。以後、バラエティ番組に多数出演し活躍の場を広げている。2015年4月からは『これでわかった!世界のいま』にキャスターとしてレギュラー出演中。私生活では2008年に結婚、現在は二児の母としての顔も持つ。
(撮影/塔下智士)