あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』。
第49回のゲストで芸人の平成ノブシコブシ・吉村崇さんからご紹介いただいたのは芸人・タレントの渡辺直美さん。
18歳で芸能界デビュー後、“和製ビヨンセ”キャラの物真似でもブレイク、『笑っていいとも!』のレギュラーに起用され番組終了まで出演するなど人気を不動のものにすると、今やSNSでも圧倒的支持を得る女性たちのアイコンに。
ツイッター他、インスタではフォロワー数が700万超!と、そのファッションやスタイルも常に注目される存在に。今年はドラマ『カンナさーん!』で主演を務めるなど、さらに活躍、今、最も多忙なひとりだがーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)
―もう1週間ないぐらいで20代にお別れなんですよね?(※取材後の10月23日が誕生日)
直美 そうなんですよ。もうお別れです…。カウントダウンが始まってますね。
―すごく簡単なものというか気持ちばかりですけど、プレゼントを…。
直美 えぇ、マジっすか!? あらら、すいません。開けてもいいですか?
―持ってらっしゃるかなとも思ったんですけど。そういう写真がお好きなのではと。ハンス・シルヴェスターっていう有名な写真家がアフリカのある部族を撮った『ナチュラル・ファッション』という写真集なんですが。
直美 持ってないです! アフリカの民族…あぁ、こういう人が。めっちゃカワイい。
―20年くらい前にはギリシャの島に住んで、ずっと猫を撮り続けた写真集も欧米でベストセラーになって。それも僕は大好きだったんですけど。これは身の回りにある自然の葉っぱとかを普段からファッションにしている人たちを撮影したもので。
直美 へぇ! この時のためにとかじゃなくて、みんなオシャレしてるんだ。めっちゃカワイいし、色合いが本当にキレイですね。こういうの好きです!
―男性も女性もそれぞれに違って、人と同じじゃなく自分を主張してるっていう。本当に自分たちで全部アレンジして。
直美 知らなかったです。素敵な写真集をありがとうございます!
―いえいえ…。こんな感じでテーマもなく、ライブ感覚で緩~く縁側でお茶飲みながら雑談させてもらってる感じの対談なんですけど(笑)。
直美 すごいですね、それで吉村さんから。私は本当に1年目からずっとお世話になっている先輩なので。こういう時、絶対、名前が挙がるんで、離れたくても離れられない関係です(笑)。
―ははは。もうお約束で。上の先輩だと恐れ多いけど、後輩ならみたいな。
直美 でも、上の人いってほしいですよね、できればね(笑)。
―いやいや。いつも初心に返って緊張するんですけど、今回は特に久しぶりなドキドキ感でしたよ。なんかハリウッドセレブに対面する時のような…。
直美 いやいやいやいや(笑)。私のほうが本当にすごい楽しみです。どんな話が繰り広げられるのか…。
―それこそ僕は20年ちょっと前に週プレに配属されて、一番最初のインタビューがいきなりアーノルド・シュワルツェネッガーだったんですが。それに近い感覚というか。
直美 あっ、そうなんですか? えぇ!? シュワちゃん並み?(笑)
女子高生が「渡辺直美じゃない? 渡辺直美だ!」
―その時は帝国ホテルの廊下の向こうから歩いてくるのを見て『ターミネーター』の音楽が脳内で流れてましたが…今はBGMにビヨンセが(笑)。
直美 あはは(笑)。いや、ありがたいです。そう言っていただいて。でも私はセレブ意識、全くないんで。
―本当ですか?
直美 本当です。あのー、どうしていいかわかんない時があります。例えば「キャー」とか言われてるのも、どうしていいかわかんないです。舞台上だったら「イエーイ」みたいな感じでいけるんですけど。
普段、町歩いてて女子高生とかに「渡辺直美じゃない? 渡辺直美だよ! キャー!」ってなると、どうしていいかわかんないんですよね。「あ、ありがとうございまーす」みたいな。
―それ以前に、今はもう迂闊(うかつ)に外歩けないじゃないですか。
直美 そうですね。この間、綾部(祐二、ピース)さんがもうニューヨーク行くって日のランチに一緒に参加させてもらったんですよ。綾部さんはずっと原宿に住んでて、原宿のことはなんでも知ってるみたいな、「原宿は俺の庭だ」っていうぐらい(笑)。で、竹下通りあるじゃないですか。
―はい。まさか、あんなトンデモないところを…。
直美 あの、すんごい人がいっぱいいる…あそこを途中まで行ったところで右に曲がった、奥のほうにあるんですよ、お店が。道も狭いので車でも行けないし。だから私、本当に竹下通りを久々にひとりで歩いて。
―その絵はスゴいですね!(笑) モーゼが海渡った時みたいになりませんでした?
直美 いやいや(苦笑)。もう、みんなバーって集まって、めっちゃ怖くて。
―意外と東京だと有名人を見てもスルーしてくれますけど。竹下通りは地方のコたちも多いし、直美さんが歩いてたらそりゃ大変でしょうね。ちなみに、プライベートだったら化粧とかも変えて、すっぴんのほうが逆にバレないとか?
直美 その時はすっぴんだったんですよ! 仕事じゃなかったので。とにかく頭下げて、もうずうっと顔隠した状態で…でも帰りにバレたんですよ。下向いてるんですけど、やっぱりその…格好と見た目で。
女子高生が「渡辺直美じゃない? 渡辺直美だ!」とか、めっちゃ大きい声で。興奮してるから、全員がざーってこっち来て、もう私はとにかくすごいスピードで。もしここで捕まったら、もう帰れないって思って(笑)。
―その光景もスゴいですよ! 写メ撮られてインスタに上げられてたら(苦笑)。もうプライベートもハリウッドセレブ並みにボディガードとかつけないとダメですね。
直美 いやいや(笑)。よしもとは野放しなので…。でもメイクしてる完璧な状態だったら、別にいくらでも撮られていいんですけど。「すっぴんでニキビ面の私を撮られたくない!」っていうのもあって、ばーって走ったんですけど。
まぁ、そうやって人だかりができたりするのも「あ、私のこと、みんな知ってんだなぁ」みたいな。
「渡辺直美が1位? なんでだよ!」って…
―それはもうね、なんといってもインスタのフォロワーが730万ですから。今日、最新のを確認してきましたが(笑)。
直美 そうですね。でもちょっとわかんないです、そういう実感が。特に『カンナさーん!』ってドラマをずっと山奥で撮影して…。
―え、あれってそんな山奥なんですか?
直美 山奥っていうか緑山スタジオなんですけど(笑)。あれ、ほとんど山じゃないですか、緑の山ですから。で、そこにこもって撮っている時も、スタッフさんとか家族みたいになるじゃないですか。3ヵ月、4ヵ月、もうみっちり一緒にいるんで。
だから久々にドラマ終わって、外に出ると「わーっ」とか言われるのが「私って芸能人なんだ」って思うんですよね。だから、本当にセレブっていう認識もないんですよ。
―確かに芸能人の方でよく言いますけど、ピンとこないものなんですか? SNSのそういう人気とか反響も。
直美 そうですね。やっぱり、とりあえずフォローしておこうって人が多いんだと思うんですよ。で、持論ですけど、私にコアなファンは本当にいなくて。10割で考えると、1割めちゃくちゃ好き、1割めちゃくちゃ嫌い、で、8割は別にどうでもいいってファン層でできてるんです、私は。
―カルトなギャグ漫画みたいな存在ですか?(笑)
直美 そうなんですよ。だから、町歩いてたら「渡辺直美じゃん!」ってテンション上がるし、写真撮れるんだったら撮りましょう、「撮ってください!」っていうのが8割で。じゃあ、いざ何かやるってなった時に、まぁ興味があったら来るくらいが1割。アイドルの人みたいなものではないので、それで上手くいってたわけですよ(笑)。
まぁ、いたらテンション上がる、TV出てたら観るくらいの…どっちつかずの人たちが、インスタで1位になったことによって「は?」みたいな。その8割の中だと「渡辺直美が1位? なんでだよ!」って、アンチに変わったりとかもあったんです。
―芸人が何様だよ?的な悪意の妬(ねた)みも…。
直美 そうそう。何様?ってなっちゃうんですよ。ただ生きてるだけなのに(笑)。調子乗ってるって言われたりとかして、それが最初はちょっと大変でした。だからプレッシャーがすっごいありますね。
―そうでしょうね。目立てば、当然それだけやり玉にもね。
直美 そうなんですよ。渡辺直美を使っておけば、お客さんもついてくるだろう、みたいな仕事もあったりとかして。でも全然、私、熱狂的なファンは少ないから。
例えば、ライブをやりますって言ったら来るんですよ。年齢層も男も女も関係なしにすごいチケット買ってくれるし。それが、写真集とか出しますってなったら別に売れないし。
「モロ出てますよ、おっぱいとか(笑)」
―そうなんですか?
直美 そうなんですよ。昔、本を出したことが1回あって。6年くらい前に。そういう握手会とかやりますよね。その時は200人限定で、みんな想像してたのは、若い女のコが来る感じだったんですけど。ほんと180人くらい男のおじさんが…客層が全然違うんですよ(笑)。ライブやると若いコ集まるけど、本買ってまで別に握手したくないみたいな。
―まぁ6年前ですから…今やったら、もうインスタ女子とかが殺到しそうな。この『ナチュラル・ファッション』みたいな感じで新たに写真集出しますか?
直美 モロ出てますよ、おっぱいとか(笑)。
―あははは。そこは衣装で隠してね(笑)。
直美 まぁだから、自分が超人気あるって1回も思ったこともないですし。ファンに追われて大変みたいに思ったこともないので。調子に乗る理由がないっていうか。
―逆に戒めてるというか、調子乗ったらアカンっていう自省も?
直美 例えば、インスタで1位になりました…「だから何?」みたいな感じの人もいるじゃないですか。賞レースとかそういうもので1位になったら調子に乗ると思うんですけど。「よっしゃー!」みたいな(笑)。
そういうもので結果残したら調子乗るのかなぁとは思います。乗りたいですけどね。でもなんか、自分のやりたいことがすごい別にあるので、
―これだけ認知されて、ドラマに主演してもまだまだ?
直美 主演ドラマをやったとしても、結果を100%残さないとちょっと納得できないというか。「あぁ、もうちょいこの演技こうすればよかったなぁ」とか「もっと滑舌の練習しておけばなぁ」とか。全部が初めてだったりする部分もあったので、そういう後悔と共に「よし! 次、何に向かって走って行こう」ってことも考えているので。
―どんどん先を見て、目標や夢にどん欲な自分がいると。
直美 はい。なので、ドラマ終わった後も「本当に(視聴率)2桁キープできなくてすいません」みたいな。
―でも、うちの集英社の原作漫画で雑誌連載時(『YOU』)から人気でしたが、時間が経ってドラマ化になったのはやっぱり直美さんありきだなと。
直美 なんか、作家の先生が「直美さんだったら」っていう風に言ってくださったみたいで。すごい現場も超楽しくて、スタッフさんとかも下ネタしか出てこないんですよ。ほんとヒドいんですけど、それがすごい楽しかった(笑)。
演者の人たちもほんと楽しいし、いい感じにクールで。その雰囲気がすごいドラマに反映されていたので「もっと視聴率取りたかったなぁ」っていうのは、もちろん本音ですけど。
「フォロワー1千万人は今、目指していて…」
―でも、いきなり初主演で満足したらってとこもあるじゃないですか。それこそ調子に乗っちゃってね。
直美 そうですよね。だから1回も満足したことはないですね。もちろん、全部の仕事に集中して、持ってる力を100%出してるんですけど、自分の100%とみんなが求めてる100%が違った場合の、この差ってあるじゃないですか。
「もっとこういう風に、もっとここまでできたなぁ」ってあるので。「いやー今日は私のおかげでみんなできちゃったねー!」みたいなのは1回も思ったことないですね(笑)。
―主演をやる役者さんだと、俺様感もないとやってられないみたいな人もいるでしょうけど。
直美 そうですね。だから主演に向いてないんですよ、気持ちが(笑)。責任感のないポジションのほうがいいと思いますね。
主演の人って大変だなって思うことが、ミスってもミスってないって思わなきゃというか。1コ1コ気にしてたら大変じゃないですか。気にしなくて、自分が先頭走るくらいの「みんなついて来いよ」って人が主演になるんじゃないですかね。
―それで視聴率も何も自分の責任で抱え込むくらいのね。それですごい覚えてるのが『東京ラブストーリー』で鈴木保奈美さんが初めて月9で主演した時なんですが。インタビューで当時、共演の織田裕二さんも江口洋介さんも若手でまだそこまで売れてなくて「私がやんなきゃ!」と逆に根性据わったという話を読んで。大物はそれくらいじゃなきゃと。
直美 やっぱり、かましてやるっていう想いが強い人じゃないと無理ですよね。「皆さん、どうぞどうぞ」だと主演向きじゃないのかなって。でも、どの現場も行くんで、相手役の演者さんによって空気感も違うって、なんか楽しかったし。すごい勉強になりました。「辛い」は1回もなかったですね。
―それを経験した積み重ねですよね。役者さんでも料理人でも、終わりがないじゃないですか。もっと美味しいものができるんじゃないか、もっと違うものが見えるんじゃないかとか。アスリートもそうですけど、みんなイチローかよ!っていう(笑)。
直美 それ本当に思います。でも、お寿司屋さんでも「美味しい!」って言われれば言われるほどやり甲斐が出てきて、うちらもウケればウケるほどやり甲斐が出てくるじゃないですか。アスリートの人たちが大変なのは、結果でたぶん満足するんだと思うんですよ。「メダル取る!」とか「スコアを常に出さなきゃ!」とか。だからすごく大変だと思いますね。
本当のゴールしかないっていうか。うちらはその過程で幸せっていうものを回収できるんですけど、アスリートの人って本番で結果出すのが全てじゃないですか。
―逆に言えば、そういう数字が出れば、わかりやすい基準であり励みにはなりますよね。それが芸人さんだと賞を獲るとか、視聴率持ってるとかなんでしょうけど。そういう意味では、直美さんには730万というフォロワー数がありますよ(笑)。
直美 でも、海外でいったら1千万人、1億人ってフォロワーがいる人もいるので、全然。なので、いけるなら、とりあえず1千万人は今、目指していて。国内だとツイッターとかでも多かったりするので、そこは超えたのかなぁという気はしますけど。でももっと集めれたらいいなぁって。
●この続きは次週! 第49回ゲスト・渡辺直美「今、“インスタ映え”って、一番嫌いな言葉で…」
(撮影/首藤幹夫)
●渡辺直美(わたなべ・なおみ) 1987年10月23日、台湾生まれ。東京NSC12期生。18歳で芸能界デビュー、08年には『笑っていいとも!』のアシスタント「いいとも少女隊」の一員に。卒業後も月曜レギュラーとして復帰。現在、インスタグラムのフォロワーは日本一の730万人超。アパレルブランド「PUNYUS(プニュズ)」のプロデュース、今年7月には連続ドラマ『カンナさーん!』で主演を務めるなど多方面で活躍、支持を得る。