「モグラ」ブームの先駆者、杉本有美さん 「モグラ」ブームの先駆者、杉本有美さん

『週刊プレイボーイ』に登場するタレント、女優、アイドルなど、各分野で活躍する女性たち。彼女たちの記念すべき「初グラビア」にフォーカスし、撮影にまつわるエピソードや当時の想いを綴る連載シリーズ、『初グラビア物語~My First Gravure Story~』

今回はファッション、グラビア両方の分野で活躍した、"モグラ"ブームの先駆者、杉本有美さんの前編。

杉本さんは、2001年、少女漫画雑誌『りぼん』の読者モデルオーディションで準グランプリを受賞しデビュー。以降、ファッション誌『ピチレモン』、『ファプリ』『JJ bis』『JJ』でそれぞれモデルを、また2006年には三愛水着イメージガールを務めるなど活躍。

『週刊ヤングサンデー』2006年21号(4月20日発売)で新人アイドル発掘企画「YS乙女学院」に参加し、29号(6月15日発売)では単独ソログラビアを撮り下ろし、グラビアデビュー。現役モデルによる初々しくも本格的な水着グラビアは読者に衝撃を与え、2週連続で表紙を飾るなどたちまち大反響を呼びました。

『週刊プレイボーイ』には2007年26号(6月11日発売)に初登場。フレッシュさに大人っぽさを加えたグラビアはまたしても話題に。以降、2010年代半ばまで『週刊プレイボーイ』ほか数々の雑誌で表紙を飾り、グラビア界で大活躍。

また女優としても、『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008~2009年)ほか数多くのドラマ、映画に出演。現在も舞台などを中心に活動中だ。

今回は杉本さんにデビューの経緯から、初グラビアに至るまでのエピソードを聞きました。


杉本有美『週刊プレイボーイ』2007年26号(撮影/矢西誠二)より 杉本有美『週刊プレイボーイ』2007年26号(撮影/矢西誠二)より

――週プレの誌面を飾ってくれた方々に、初グラビアの思い出を聞いています。最初に初グラビアに至るまでを聞きたいのですが、杉本さんは幼い頃から、目立ちたがり屋だったそうですね。

杉本 はい。幼稚園の頃から人前で踊ったり歌ったりするのが大好きな子供で、小学校でも学芸会で主役をやりたいと自分で言っていました。

関西出身なので周りからは「宝塚に入り~」と冗談でよく言われていましたけど、当時から芸能界には憧れていました。そしてそのきっかけとなったのが、雑誌『りぼん』の読者モデルオーディションです。

――それは自分から応募したんですか?

杉本 はい。姉が読んでいたのを見つけ、書類を出しました。当時「天才てれびくん」が人気で、同世代の子供がテレビに出ているのが羨ましかったんです。そうしたら、なんと準グランプリに受かって!

ただ漫画誌なのでモデルが登場するページは少ないうえ、準グラなので一年間に数回しか撮影する機会がなかったんです。

もっと出たくて、中学生になってファッション誌『ピチレモン』の専属モデルのオーディションを受けました。結果はまたも準グランプリ。合格したのは嬉しかったけど、やはり悔しくて。今度こそたくさん撮影してもらえるよう、誌面を見て懸命に研究しました。

――小中学校でモデルだなんて、学校では相当目立ったのでは?

杉本 そうですね。でも同時に嫌な目にも遭って。次第に学校生活では消極的になり、目立たないよう影を潜めていました。

――嫌な目というと......ひがまれたり、いじめにあったりとか?

杉本 まさにそうです。先輩から「調子に乗ってる」と言われたり、クラスで女子からハブられたり。いま思えばしょうもない話ですけど(笑)。

ある日、家で泣いていたら、父が気付いて。ちょうど隣の区に引っ越す予定だったのもあり、両親の勧めで転校することになりました。「学校のみんなを見返してやる」って思いは一時期、モデルをやる原動力にもなりましたね。

――ご家族は杉本さんの芸能活動をどう思われていたんですか?

杉本 私は三兄弟の末っ子なんですけど、家族全員、応援してくれました。母は昔、大手事務所からスカウトされたことがあったものの、家が厳しくて諦めたらしいんです。色々思うことはあったかと思いますが、家族は背中を押してくれましたね。

――おーっ。お母様がスカウトに。杉本さんは168センチと身長もあるし、家族全員モデル並みの、高レベルなルックスとか?

杉本有美

杉本 あははは。どうでしょうね。でも家族では私が一番背が低く、兄は193センチとみんな大きいです。家の天井は他より高いかもしれません(笑)。

――その後はさらにモデル活動を?

杉本 『ピチレモン』をやっている頃から、大人っぽい洋服のページに呼ばれることが多かったんです。それで『ピチレモン』のお姉さん誌『アネピチ』(やがて『ファプリ』に改名)に出るようになり、高校に入ってからは『JJ bis』、『JJ』のモデルになりました。

『JJ bis』は大学生の読者モデルばかりですけど、『JJ』はプロのモデルばかりで現場も緊張感がすごいんです。その上、撮影の時の衣装点数は膨大だし、ポージングもすごく厳しい。最初の頃は現場に行くのが怖くて仕方なかったです。仕事の厳しさを知りましたね。

――『JJ』モデルになった2006年は三愛水着イメージガールも務めていました。高校2年での就任は当時、史上最年少と話題となりましたよね(2011年に宮原華音が中学3年で就任)。

杉本 所属していた事務所がオーディションに応募したんですけど、幸運にも受かりました。でも三愛さんのイメージガールって、一年通して企業の顔となるし、プレッシャーがすごいんです。しかも水着のポージングは洋服と違って体のラインを見せないといけないので難しくて。

ポスターの撮影でグアムに行った時は、毎日ホテルで泣いていました。でもそういう時ってなぜか父は察してくれるんです。ホテルに戻ったらフロントにファックスが届いてて、「頑張れ!帰りを待ってるよ!」って。それに元気付けられながら、なんとか頑張りました。

杉本有美

――水着撮影自体に抵抗はなかったんですか?

杉本 モデルの仕事としてやっていたので特に抵抗はなかったです。それに旅行で、よく海やプールに出かけていたので水着にも慣れていましたし。

――その後、『週刊ヤングサンデー』2006年21号(4月20日発売)で新人アイドル発掘企画「YS乙女学院」に参加。1ページの中で制服姿、水着姿を2~3カットずつ披露します。

杉本 これも事務所が応募したんです。だからあまり内容を理解せずに出た覚えがあります(笑)。

――三愛さんの広告、ファッション誌以外で水着姿を見せるのはこの時が初めてですよね。それこそ緊張などは?

杉本 あまりしなかった気がします。制服は当時、女子高生だったので抵抗なかったし、むしろ普段着ているのと違うデザインだったので嬉しくて。あと水着が三愛さんのだったんです。それもあってモデルの意識でポージングしていましたね。

――その「YS乙女学園」での反応がよく、29号(6月15日発売)に単独の撮り下ろしが掲載されました。これが杉本さんの初グラビア。古民家で白いビキニやキャミソールを着て笑顔を浮かべたり、畳の上で横たわったり。実に初々しい5ページです。

杉本 この時は緊張したのを覚えていますね。ポージングがモデルのとまるで違うんですよ。体育座りしたり、床に手をついたり......そのポーズがすごく恥ずかしくて(笑)。

あとはメイク。それまでは結構ガッツリしていたんですけど、この時はナチュラルメイクでほぼすっぴんなんです。スタッフさん方はみんな、可愛いって言ってくださるから「グラビアって、こういうものなのかな」って納得しましたけど、正直に言うと不安でした。

――出来上がった誌面は見ました?

杉本 確か親が雑誌を買ってきてくれて見た気がします。とても可愛く撮ってくださったなって。撮影は正直、よく分からないまま、あっという間に終わった印象なんですけど、グラビアって洋服ではなく私自身を撮ってくれるものじゃないですか。それが新鮮で。他の仕事では味わえない面白さを見つけた感じがしました。

――その後、『ヤングサンデー』で数度にわたって表紙・巻頭となり、2週にわたり表紙を飾るなど高い人気を博しました。『週刊プレイボーイ』には2007年26号(6月11日発売)に初登場します。

杉本 ヤングサンデーさんの初グラビアの頃にファーストイメージDVDを出したんですけど、そのロケ地であるタイの空港で、週プレさんの撮影チームと遭遇したんです。そこでマネージャーと一緒に編集さんに挨拶をさせていただきました。それから、約一年越しに撮影が決まりました。

――この時のグラビアは7ページ。シックな洋館を舞台に、白や紺、など水着を着た姿をちょっと大人っぽく撮り下ろしています。『ヤングサンデー』で何度も撮影されていたから、もうグラビア撮影には慣れていましたか?

杉本 いや、そこまでは(笑)。私、じつは結構な人見知りなんですよ。初めてご一緒する方達ばかりだったので、緊張しましたね。それになんと言っても衣装に驚いちゃって。

杉本有美『週刊プレイボーイ』2007年26号(撮影/矢西誠二)より 杉本有美『週刊プレイボーイ』2007年26号(撮影/矢西誠二)より

――衣装ですか? 

杉本 はい。この撮影で初めて海外の水着を着たんですけど、「え?こんなに水着の面積が小さいんだ」って(笑)。あと、カメラマンさんが「可愛い!可愛い!」って連発しながら撮る方で、そういうタイプの方はいなかったからそれにもビックリしちゃって(笑)。

最低限の笑顔しか出せなかった気がしますけど、それでもこの時が『ヤングサンデー』さん以外で初となるグラビア撮影。なんだかすごくワクワクしました。

★後編⇒レジェンド・杉本有美が語るグラビアへの想い「"モグラブーム"、あと数年早く来てくれていたらなって(笑)」【初グラビア物語

杉本有美

■杉本有美(SUGIMOTO YUMI)
1989年4月1日生まれ 大阪府出身 
身長168cm B84 W58 H85
オフィシャルTwitter【@Sgmt_Yumi】
オフィシャルInstagram【@sugimotoyumi_official】
<出演情報>
●大森カンパニープロデュースvol,43.44 大森博生誕60年&芝居道35年記念公演 第1弾・更地祭~更地連続上演~「更地18」
2023年6月16日(金)~25日(日) 下北沢ザ・スズナリ
出演:田中真弓、山口良一、竹内都子、天宮良、大森ヒロシ、佐久間哲、三宅祐輔、杉本有美、依里、黒田篤臣
【https://www.omoricompany.com/】
●Photo Exhibition Kazuhiro Sekine
2023.6/14(水)~6/18(日) 渋谷・ギャラリー・ルデコ
過去に撮影した杉本さんの写真が数点展示されます。
【www.anthology-st.com】

杉本有美デジタル写真集『密室』撮影/西田幸樹 価格/1,320円(税込) 杉本有美デジタル写真集『密室』撮影/西田幸樹 価格/1,320円(税込)

☆杉本有美のグラジャパ!プロフィール

『初グラビア物語~My First Gravure Story~』
【週プレ プラス!】+コラムと『週プレNEWS』にて毎週水曜配信
https://www.grajapa.shueisha.co.jp/plus
*『週プレ プラス!』(30日間、税込1500円/初回&クレジットカード決済限定 30日間無料)は『グラジャパ!』で加入できるグラビアに特化したサブスクリプションメニューです。