盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の新連載!「僕の『キングオブコント2025』の楽しみ方」

撮影/梅田幸太

R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎による連載コラムが週刊プレイボーイでスタート! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」。

第2回は今年の『キングオブコント』をどのように楽しんだかの話です。

* * *

皆さんこんにちは、濱田祐太郎です。今回は、1011日に決勝が行なわれた『キングオブコント2025』(TBS)の話をしようと思います。

目の見えない僕が普段、コントをどんなふうに楽しんでいるのかを紹介しますね。

ただ、当日の生放送は後半しかチェックできなかったんですよ。

というのも、芸人たちが熱い戦いを繰り広げている中、僕は一般の人とそばを食べに行ってまして。そりゃ夜6時半から番組スタートなら、そういうこともあるでしょう。

これが朝6時半からスタートならね。僕も部屋で、朝の日課の、鶏胸肉を両脇に挟んで「女王様どこでもいいから揉ませてください」と叫びながらスクワットをしている途中ですから、決勝も最初からチェックできたんですけどね。

どんなモーニングルーティンやねん。冗談ですよ。今の話で本当なのはスクワットをしていることだけです。

その上、そばを食べた後は百貨店でやっていた「栗きんとんフェア」に行きまして。「どんなフェアやねん」て心惹かれちゃったんですよ。

「お正月でもないのに? それも、栗きんとんだけでフェア? めっちゃ攻めるやん」と思いました。

そしたら岐阜県の中津川という所の名物が栗きんとんらしくて、岐阜県のお店の商品がたくさんありました。

中でも「七福」ってお店の栗きんとんを試食させてもらったら、それがものすごくおいしくて、即決で箱買いしちゃいましたよ。

もちろん頭の中で「もう『キングオブコント』始まってるなあ」とは思ってたんですけど、栗きんとんのおいしさに「まあいいか」ってなりました。

それで家に帰ってテレビをつけたら決勝はもう後半戦。ファイナルステージに進んだ3組が火花を散らしていました。

3組に共通する感想としては「皆、声の出し方がうますぎる」です。

レインボーは、序盤のグラビア女子と謎の金持ちの落ち着いたやりとりから、だんだんとヒートアップ。そのときの声のボリュームの上げていき方が絶妙でした。

や団さんの「口の悪い居酒屋」のネタは、ツッコミのお客さん役(本間キッド)が最初から熱量高めの声でした。

例えば、コンビがこういうタイプのネタをやると、聞いていてくどく感じることが多いんですけど、や団さんはそんなことなかった。

トリオならではのセリフ配分や店長役(ロングサイズ伊藤)のキャラで、うまく中和してましたね。

ツッコミの声のボリュームは最初から最後まで強めなんですけど、不自然な感じはありませんでした。

ロングコートダディはふたりともよく声が通る。「ここで笑いを取る!」ってセリフは声のボリュームの強弱で際立たせていて、すごく丁寧な印象を受けました。

まあ面白さについては何かを言う必要はないでしょう。決勝に残った人、全員が面白いことは間違いないんですから。

少し悲しいのが自分がお笑い芸人になってから、漫才にしろコントにしろ、声を出して笑うってことがほとんどなくなっちゃったことですね。

それは面白くないってわけじゃなく、「この言葉のセンスすごいな」とか「この方法で笑わせるんや」なんて考えが先に来て、笑うことが後回しになるんですよね。

あ、でもネタ以外のことではめっちゃ笑ってますよ。笑い方を忘れた悲しいモンスターじゃないですからね。

そんなこんなで、これが僕の今年の『キングオブコント』の楽しみ方でした。

 ●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう) 
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5

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