【メリークリスマス丼】この時期だけの密かな楽しみ。スーパーのローストチキンで作る「メリークリスマス丼」の嬉しさが、サンタさんからのプレゼント級:パリッコ『今週のハマりめし』第218回

取材・文・撮影/パリッコ

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

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おせち料理の材料や、節分の恵方巻き、桃の節句のひなあられなど、1年のうちの限られた期間しかスーパーの売り場に並ばない食材や料理がある。クリスマスチキンはその筆頭だろう。

そんなクリスマスチキンが出回る短い間だけの、密かな楽しみがひとつある。それが、僕が勝手にそう呼んでいる「メリークリスマス丼」だ。

どういうものかを説明する前に、そもそも日本のクリスマスチキン事情について。クリスマスチキンやローストチキンといえば、祝祭感のあるごちそうというイメージの方は多いだろう。実際、お店で食べたり注文したりすればそれなりの金額がかかる。一方で、スーパーマーケットや惣菜店で販売されているローストチキンレッグは、実は想像よりはるかにお手頃だったりする。

考えてもみれば、骨つきと言えど、材料は日本で広く流通している鶏肉。一般的なもも肉が1枚数百円と考えれば、原価がそれほど高くないことも想像できる。で、ローストチキンはそれにたれをつけて焼いたもの。元も子もない言いかたをしてしまえば、"大きめの焼鳥"なわけで、リーズナブルに販売されていても不思議はない。手間をかけずにクリスマス気分を味わいたいどんな人にとっても、ありがたい商品だと言えよう。

スーパーの特設売り場スーパーの特設売り場
クリスマスイブの前日の23日、僕がふらりと寄ったスーパーにも、やはり期間限定の特設売り場ができていた。ラインナップは、国産鶏の1本入りが税込で818円、タイ産が2本入りで926円。家族用ではなく、あくまで僕が個人で密かに楽しむメリークリスマス丼用なので、お得なタイ産を選ぶ。

タイ産ローストチキンレッグタイ産ローストチキンレッグ
家で皿に取り出してみると、ものすごくでかい。家電量販店で選んだTVを家に運び込むとものすごく巨大に感じられるあの現象だ。ゆえにテンションが上がる。一度にふたつはとても食べられないので、1本をレンチンで温め、さらにせっかくなので、フライパンで軽く両面炙ってやる。

いい香り~いい香り~
あとはまぁご想像のとおりかもしれないけれど、これを家族のいない昼間、丼にのせてむさぼるように食べるというのが、僕の提唱するところのメリークリスマス丼というわけだ。

ただし、押さえておきたいポイントは一応ある。人は、白、緑、赤の3食にクリスマスを感じるものだ。食材にこだわる必要はないが、その3食は取り入れたい。そこでまずごはんの上に、家にあったレタスを数枚ちぎりのせ、マヨネーズをかける。これでもう緑と白はクリア。

あとは赤が入ればクリスマスあとは赤が入ればクリスマス
赤要素は、冷蔵庫を探してみたところ、梅干しと福神漬けを発見。上等上等。温めたチキンとともにごはんにのせて、仕上げにコショウと乾燥パセリ、ダメ押しのマヨネーズをあしらえば、はい完成。

メリークリスマス!メリークリスマス!
ぱっと見は何料理かわからないが、これが僕のメリークリスマス丼。遠目でぼんやりと眺めれば、どこからか鈴の音が聞こえてきはしないだろうか?

いざ、スパークリングワインがわりの焼酎ハイボールとともに、いただきます。

1年ぶり!1年ぶり!
さっそくチキンにがぶりとかぶりつく。口いっぱいに広がるしっとりぷりぷりな鶏の旨味と、甘めで香ばしいたれの味。かなりの幸福度だ。ちなみにこの豪華な豪華なチキンが、1本たったの463円。クリスマス前後には、このどんぶりを食べなくてどうするという話だ。

幸せなひと口幸せなひと口
すかさずごはんもほおばる。言ってみれば焼鳥丼なので、そりゃあうまいに決まってる。レタスのしゃきしゃきや福神漬けのアクセント、マヨが加えるコクもいいし、梅干しも箸休めにばっちりだ。

メリークリスマス丼のお楽しみは後半にもある。ざっくりと半分くらい食べたところで、チキンの骨についている身をていねいにこそいで外し、ごはんの上に散りばめる。そこに容赦なく追いマヨ、さらに刻みねぎ、七味をふりかけてやれば、正直クリスマス要素は消え去ってしまうものの、みんな大好き和風照りマヨチキン丼がそこに登場するのだ。

和風照りマヨチキン丼和風照りマヨチキン丼

どうせ誰も見ていないんだし、恥も外聞もない。思いっきりがつがつとかっこんでやろう。恍惚の時間がそこに待っていることは、疑いようのない事実だ。

ひたすらに味わい、今年も大満足でごちそうさまでした。嬉しいのは、それでもまだチキンがひとつ残っていること。当然これは今夜の晩酌のつまみにするわけで、今からそのパーティータイムが待ち遠しくてしかたない。

このタイプのローストチキンは、25日の数日前からスーパーに並ぶようになることが多い。当然、賞味期限の迫ったものは、他の食品と同様に割引きされることもある。閉店間際などは特に狙い目だ。クリスマスにも関わらず忙しい仕事を終え、夜遅くの帰路に半額ローストチキンに出会ったとすれば、それこそがあなたにとっての、サンタクロースからのクリスマスプレゼントで間違いない。

ちなみにこの記事の公開予定日は2025年12月26日の昼ごろ。可能である方は、早めに地元のスーパーをチェックしてみてほしい。もしかしたら、前日に売れ残った最後のチキンが、あなたに見つけてもらえるのを待っているかもしれない。

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  • パリッコ

    パリッコ

    ぱりっこ

    1978年東京生まれ。酒場ライター、漫画家、イラストレーター。
    著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。2022年には、長崎県にある波佐見焼の窯元「中善」のブランド「zen to」から、オリジナルの磁器製酒器「#mixcup」も発売した。
    公式X【@paricco】

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