「もしあなたのパソコンが誰かに隅々までチェックされるとしたらどうしますか?」
パソコンの中身を見られるなんて、浮気チェックでくらいしか聞いたことないけれど(コワイ? 笑)、実は旅中にもあるんだそうな――。
次に私が向かう国、ウズベキスタンの入国はかなり厳しいと旅人の間では有名だった。「スマホは出しただけで没収! 常備薬をロシア語で説明できないと没収! 所持金は外貨まで細かく申告しないと没収!」。そしてとどめが、コレ!
「カメラやハードディスクの中身は隅々まで全てチェーック!!」
えええ! それはちょっとイヤだ~! 幸い(?)私は人に見られて困るような画像や動画は持ち合わせていないが、とはいえ、知らない人にいろいろ見られるのは気持ちの良いものではない。それに、膨大な量のデータを隅々まで見るにはどえらい時間がかかってしまうだろう。
国境で足止めを喰らうのは勘弁なので、私はあらかじめデータを必要最小限の量に整理した。ちなみに旅人男子が大事にしている“秘蔵映像”なんかは引っかかるので、わざわざクラウドに移しておくんだとか。消そうよ(笑)!
さて、スマホもしまって、薬もロシア語に訳して、所持金も細かく数えた準備万端の私は、カザフスタンからウズベキスタン国境へ向かった。
イミグレはチェックの厳しさからか、現地人でごった返していた。強靭なおばちゃんたちにギュウギュウ押され、横入りも当たり前。「何ここ、インド~!?」って感じで揉みくちゃにされた。ロシア語の入国申告書はまるで入試の筆記テストのように難解だったけれど、なんとか空欄を埋めて提出。
そしていよいよ荷物チェックの時!…と緊張したものの、結局、何も見られずすんなり入国できてしまった。あんなに事前準備も万端にしたのになんだか拍子抜け~(秘蔵映像を持ってないと見抜かれた?・笑)。
無駄にイケメンのタクシードライバー
そこへすかさず襲い掛かるのは、タクシー勧誘の嵐。
「ツーリストはおまえしかいない! 覚悟しろ!」とあっという間に囲まれてしまい、オフシーズンの足元を見られた金額10米ドルを提示される。
「高すぎるから乗らない!」(日本に比べたら安すぎるけど・笑)と言っているのに、タクシーの男たちは勝手に私の取り合いでケンカを始めてしまった。
「もう、私のことはほっといて!」とその場を逃げたが、しつこくついてくる男に根負けした私は、国境越えに疲れていたこともあってついに車に乗ってしまった。
「ああ、マズった。勢いでひとりで車に乗ってしまった。コワイ…」
タクシードライバーは無駄にイケメンだったが、全然嬉しくない。ほんの少し英語ができる彼は、日本人の有名人の名前をいくらか知っていた。「テニスのニシコリ、サッカーのシンジ…、シンジアベ」って、それシンゾーアベと混ざってませんか?
それから映画『WASABI』の話を始めた。フランス映画だけれども舞台は日本だし、広末涼子のかわいさが中央アジアまで伝わっていると思うと、微塵(みじん)も関係のない私も日本女子として胸を張りたくなる。
そして北野武を意識したのか、彼は「マイネームイズ、タケシ」とつまらない冗談を言っていたが、本当の名前はデルシャという名前の27歳の男だった。最近、赤ちゃんが生まれて9ヵ月らしい。
「子供を育てるために私のようなツーリストを見つけて荒稼ぎ…仕方ないか」
ウズベキスタンの首都タシュケントに入ると、彼は「あれがテレビ塔だよ」と教えてくれたり、警察を見つけるとこう言った。「彼らはキューカンバー(キュウリ)って呼ばれてるんだ。ほら、制服が緑色だろ?」
残念ながら、ウズベキスタンにもまた腐敗警察というのは存在するらしく(もちろん、一部だと思うけど!)、市民からそんな風に呼ばれてしまっているようだ。そして、彼はせっかちな運転で目的地に着くとサクっと10ドルを取り上げて去っていった。
大金でマネーベルトがパンパンに!?
こうしてタシュケントの街に到着し、いよいよウズベキスタンの旅が始まるわけだが、ここで重要事項がもうひとつ!
「闇両替」だ。ウズベキスタンの通貨スムは公定レートと闇レートが倍ほど違うので、闇両替が旅人の常識であった。
アルゼンチンで経験はあったが、両替商とレートを交渉したり、カモられないように神経を使ったり、何かと気が重い。ウズベキスタンの旅の中で一番やりたくないと思っていた作業だった。
しかしなんと、レボリューション! 2017年9月から、ついに公定レートと闇レートが同じになったんだとか! これは相当ありがたい!
早速、余ったカザフスタンのお金4520テンゲを両替すると108500ウズベキスタンスムになった。日本円にして、たった1500円程度だったが結構な札束になった! 少額通貨が流通しているため、1000スム札の束で渡されたからである。さらに、10米ドル両替すると80000スムになり、もう私のマネーベルトはパンパンで大金を隠しきれなくなっていた。
大した金額ではないとわかっていても、札束の厚みが増えるほどお金持ちになったような気分♪ OK!バブリ~!
私は分厚い札束をお腹に隠し、これにてやっとやっと旅のスタート地点に立ったのだった。ウズベキスタンの旅、楽しみでウズウズする~!
【This week’s BLUE】 イスラム教徒の多いウズベキスタンであるが、街中にはロシア正教の教会もあった。 ★旅人マリーシャの世界一周紀行:第173回「疑惑の美人局!? “青の都”で詐欺師とデート、ショックで人間不信に…」
●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】