陶芸工房の有名なギジュドゥヴァンで伝統刺繍スザニを購入 陶芸工房の有名なギジュドゥヴァンで伝統刺繍スザニを購入

ここはウズベキスタンの古都ブハラという、イスラム文化の中心地として繁栄した街。

地元の人も認めるウズベク顔をひっさげやってきた私(前回参照)は、ウズベク街歩きにもちょっと自信がついてきて、夜道をひとりでお散歩。

よさげなお店で夕飯でも食べようかと思ったけれど、結局、見つけたのはケバブ屋さん。お店のアルバイトのウズベク女子は珍しく写真OKだったので、隣に並んでセルフィー撮って、自分のウズベク顔と比較してみた。

 どう? 私はウズベク顔? どう? 私はウズベク顔?

 ブハラの街の中心にある、人々の社交場ラビハウズ(池) ブハラの街の中心にある、人々の社交場ラビハウズ(池)

宿へ戻ると、シーズンオフにしてはたくさんの旅人が夕飯を囲んでいた。宿泊客の何人かは割と長く滞在しているようで、その理由は“中央アジアの北朝鮮”と言われる隣国、独裁国家の「トルクメニスタン」へのビザ待ちだという。

その国には「地獄の門」と呼ばれる地球にポッカリ穴のあいたガスクレーターがあり、私もすごく行ってみたかった。しかし、高額なツアーやガイド同行が条件であったり、個人で入るにはイランかアゼルバイジャンに抜ける通過ビザ取得が必要だったりとハードルが高かった。

そんな中、なんと珍しい。逆にトルクメニスタンから来たユリックさんという旅人がいたので、思わずミーハー気分で話しかけてしまった。

「アナタは他の国へ旅できるのに、他の国の人はアナタの国になかなか遊びに行けないっていうのは残念ね!」

あれ、ちょっとイヤミのようなセリフになってしまったかしら、心配。ユリックさんは中央アジアを周遊する旅人であったが、自分の国が独特なことは自覚しており苦笑していた。

トルクメニスタンを簡単に旅できないのは彼のせいではないが、ビザが下りずにしびれを切らしているオーストラリア人やドイツ人などのプレッシャーを感じていたかもしれない。彼は他の旅人とあまり接触せずに、いつもひとりでサササっと観光に出かけていた。

 真ん中がトルクメニスタン人のユリックさん 真ん中がトルクメニスタン人のユリックさん

 夕飯にプロフを作っていた宿のパパ 夕飯にプロフを作っていた宿のパパ

考古学を勉強中の日本人女子学生

そして珍しいのはトルクメニスタン人だけではなく、なんと中央アジアの旅で初めての日本人女子の旅人に出逢った。

「おおお、日本人女子! オフシーズンだというのにYouは何しにウズベクへ?

自分のことは棚に上げそんな質問をぶつけると、彼女はユメちゃんという名前で考古学を勉強している早稲田卒女子であった。元々がバックパッカーというタイプではなく、旧ソ連の歴史や遺跡などに興味あるが故、ここへ来ているというワケだ。(考古学者ってこんな風に出会えたりするんだ。漫画『ジョジョの奇妙な冒険』を思い出した…)

それに比べ、好奇心ばかりでフラフラと地球を放浪している旅人の私はなんだか劣等生な気もするが、学歴は違えど、女子は女子。ウズベキスタンの「伝統刺繍スザニ」の話で盛り上がり、翌日、一緒にショッピングへ出かけることにした。

ブハラの旧市街は遺跡が残る歴史地区で世界遺産にも登録されている。かつて関所の役割をしていたタキという丸屋根のバザールには、名物の手作りハサミや陶器、スパイス店などウズベキスタンらしいお土産物屋さんが並んでいた。

 旧市街にあるウルグベク・メドレセ。1418年に創設され現存する中で中央アジア最古の神学校 旧市街にあるウルグベク・メドレセ。1418年に創設され現存する中で中央アジア最古の神学校

 コウノトリをモチーフにした手作りハサミも有名だけど、刃物は飛行機内に持ち込めないからお土産にするの難しいな~ コウノトリをモチーフにした手作りハサミも有名だけど、刃物は飛行機内に持ち込めないからお土産にするの難しいな~

 乾燥させた生姜をパウダー状に砕いているスパイス屋 乾燥させた生姜をパウダー状に砕いているスパイス屋

そして、お目当てのスザニ屋に行くと、そこではガムを噛みながらスマホをいじっている姉と、ペラペラの日本語で一生懸命な接客をする妹がいた。

JICAの支援する「日本人材開発センター(通称:日本センター)」で日本語を勉強しているのだそう。彼女はその日本語を駆使しスザニ刺繍の柄の意味について、「ザクロは子宝、太陽の花や生活の木は金運や家庭繁栄、アーモンドや唐辛子は魔除(よ)けです」と説明してくれた。

しかし「いくらがいいですか? 安くします」と言われても、相場がわからないままでの買物は難しく、何度も言われるとちょっと圧を感じてしまうのが我ら日本人。

そういう日本人の特性も教えてあげたらいいのにと思ったりなんかして…(笑)。

 ブハラのスザニ屋さん。「日本センター」で日本語を勉強している姉妹 ブハラのスザニ屋さん。「日本センター」で日本語を勉強している姉妹

高級スザニは本当にハンドメイド…?

それから、ブハラから46キロ郊外にある街ギジュドゥヴァンには、独特なスザニや陶器が無料で見学できる工房があるというので、足を延ばした。

乗り合いタクシーに乗る時は、ここは旅人の出番。私がしっかりリードしようと思ったけれど、ユメちゃん、なかなか堂々としていて値段交渉時の毅然とした態度はドライバーに負けていない(笑)。

一軒家のような工房に着くと、職人気質の無口な男が陶芸を作っており、ぶっきらぼうに素材や作り方について説明してくれた。

 ギジュドゥヴァンで代々陶芸を営んできた、陶芸家アブドゥッロ・ナルズラエフ(6代目)の工房 ギジュドゥヴァンで代々陶芸を営んできた、陶芸家アブドゥッロ・ナルズラエフ(6代目)の工房

 陶器制作中。職人気質で営業にはぶっきらぼうの様子のアブドゥッロの息子 陶器制作中。職人気質で営業にはぶっきらぼうの様子のアブドゥッロの息子

また、彼の母親が作るスザニは自然の素材と染料を使った優しい色合いで、日本人にも受け入れやすいデザインだった。全てハンドメイドの刺繍は、その辺のお土産物屋で売ってるものに比べ、はるかにクオリティーが高く、もちろんお値段もしたが、私たちは少しオマケをしてもらい購入。

ちなみに、スザニはウズベキスタンの「嫁入り道具」であるが、私にはまだ使い途がなさそうなので祖母へのお土産にしよう(子宝のザクロをあげても仕方ないけど…)

 素朴な絵柄と鮮やかな色合いが魅力的な陶器 素朴な絵柄と鮮やかな色合いが魅力的な陶器

 お土産に選んだザクロのスザニ お土産に選んだザクロのスザニ

すっかりスザニに狂った女子ふたりは、ブハラに帰ってからも勢いは止まらない。元々、この地域の文化に惚れているユメちゃんはスザニへの愛情も深く、150米ドルほどの高級なものに清水寺の舞台から降りることを決意。

 熱心な営業にユメちゃん、スザニを物色中 熱心な営業にユメちゃん、スザニを物色中

 青は高級スザニ。手前2つはギジュドゥヴァンのスザニ 青は高級スザニ。手前2つはギジュドゥヴァンのスザニ

そんな時だった、「スザニの中にはハンドメイドではなくミシンで大量生産したものがある」という旅人情報に、「ホーリーシット(マジかよ)!」--私たちの時が止まった。ユメちゃんのスザニはクオリティーが高すぎるゆえ、もしかしたら…とふたりに不安がよぎった。

宿のママに目利きをしてもらうと「きっと本物だと思うわ!」と言ってもらえたので信じることにしよう。楽しい夢の買物タイムだったのに、最後に妙な情報に踊らされ、全くやれやれだぜ!

 宿のママの私物のスザニのジャケット試着。なんか中国人っぽくなる私 宿のママの私物のスザニのジャケット試着。なんか中国人っぽくなる私

【This week’s BLUE】 ふたつの青いドームを持つミル・アラブ・メドレセ

 ふたつの青いドームを持つミル・アラブ・メドレセ ふたつの青いドームを持つミル・アラブ・メドレセ

★旅人マリーシャの世界一周紀行:第176回「奇跡の大発見! 高学歴日本人が古代遺跡で見つけた恥ずかしいものとは!?」

●旅人マリーシャ 平川真梨子。9月8日生まれ。東京出身。レースクイーンやダンサーなどの経験を経て、SサイズモデルとしてTVやwebなどで活動中。スカパーFOXテレビにてH.I.S.のCMに出演中! バックパックを背負う小さな世界旅行者。オフィシャルブログもチェック! http://ameblo.jp/marysha/ Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】