みなさん今年も残りあと少しですね。旅をおあずけされた旅人マリーシャです。わん。
今年も1年早かった! 世界の料理を作りながら擬似旅を楽しんでいたらあっという間でした。そのおかげかリアルな世界旅はできずとも不思議とつらくなく、むしろ違った形での旅の発見ができて、それはそれで楽しくありました。
さて、年末はみなさんお待ちかね(?)の旅のプレイバック編、第1弾は「奇岩」です!
旅をしていると毎日のように絶景を目にしますが、その中でも私は岩フェチなところがあり、巨大な岩山やオレンジ色の岩肌、個性的な形の奇岩などに遭遇するとキュンキュンしてしまいます。
岩はカラッとドライで、自然系絶景の中でもジメジメした感じがないところが好き。そして青い空とのコントラストがバッチリ!
それではさっそくいってみましょう。レッツ・ロック!
■アタカマ砂漠の「石の木(アルボル・デ・ピエドラ)」(ボリビア)
ボリビアのウユニ塩湖を目指すため、チリのアタカマ砂漠の拠点地を出発すると、標高4000m超えの高山地帯にあるのはまるで木のような形をした孤立した岩層。
スペイン語で「アルボル・デ・ピエドラ」という名で、「石の木」や「木の岩」という意味を持ちます。何千年もの間、風に削られ木のような形になったそうですが、強風にも動じない姿に意思の強さを感じます。石だけに。
南米の旅と言えばウユニやマチュピチュが有名ですが、実際に旅をしてみると私はこういう脇役たちの方が印象に残っていたりします。ところでこの岩、マイタケに似てるって声も。つい天ぷらが頭をよぎってしまうのは私だけ?
■秘境ザ・ウェーブの「ハンバーガー岩」(アメリカ)
「ザ・ウェーブ」は2003年、とある写真家によって偶然発見されたユタ州とアリゾナ州の州境に位置する流線模様の砂岩。
旅人たちの訪問でだいぶメジャーにはなりましたが、自然保護のため人数制限があり、1日に計20人(オンライン抽選で10人、現地のビンゴ抽選で10人)しか入場できないことから実際に訪れるにはハードルが高く、未だ"秘境中の秘境"と言っても過言ではないでしょう。
そしてメインの流線砂岩はもちろんかなりの絶景ですが、脇役たちもなかなか個性的です。特に私のお気に入りはハンバーガーの形をした岩。周りの岩となぜか質感が微妙に異なり、まるでどこかのファストフード屋が宣伝のため人工的に置いたのではないかというほどハンバーガーっぽい。
秘境においてこのキュートさはとても微笑ましいです。特に名称はないですが、そのうちビッグマックあたりの名前で呼ばれ始めるんではないかと私はソワソワしている。
そして周りにもメロンパンや甘食に似た岩があり、一帯は岩のパン屋状態! お腹が減って幻覚でも見ているのかと思いました。
■風の谷カタジュタの「たくさんの頭」(オーストラリア)
オーストラリアの岩といえば巨大な一枚岩アボリジニの言葉でウルルと呼ばれるエアーズロック。「地球のヘソ」とも言われていますが、そこにあるのはヘソだけじゃありません。近隣にはアボリジニの言葉でカタジュタ(オルガ岩群)と呼ばれる「たくさんの頭」という意味を持つ巨石群が存在します。
カタジュタは20km以上に広がる36の巨大岩から成っており、ここもまたアボリジニの聖地。エアーズロックは2019年ついに登頂禁止となってしまいましたが(麓散策は可)、カタジュタは「風の谷」や「ワルパ渓谷」などのトレッキングコースがあり岩の上を歩くことが可能です。
岩の隙間を通り抜ける風を全身で受けると、まるで大地の息吹を感じるような神秘的な気持ちになります。岩は見るのもいいですが、巨大なその上を歩くのもまた人間のちっぽけさを感じて不思議な感覚。巨人の頭を歩いているとでもいいましょうか。ちなみに、残念ながらジブリ映画のモデルではないそうです。
■カッパドキアの奇岩群「妖精の煙突」(トルコ)
トルコのカッパドキアにあるギョレメ国立公園は「妖精の煙突(ペリバジャ)」と呼ばれる奇岩で有名です。街中は煙突やキノコのような岩がニョキニョキと生えておりファンタジーの世界に紛れ込んだかのよう。
中でもデヴレント渓谷にある「スリーシスターズ」と言われる3本並んだ岩は、しめじのような形で印象的。
カッパドキアではなんと言っても「気球に乗ってどこまでも♪」がオススメで、朝になると奇岩の絶景もさることながらたくさんの気球が空を彩ります。ただ気球は風に左右されるので、私の時は不時着して(?)首をバキっとやりましたが。キノコの傘のように首がポロっともげるかと思いました。
■ブライスキャニオン国立公園の「雷神の鎚」(アメリカ)
アメリカには60以上の国立公園がありますが、「ブライスキャニオン国立公園」は「土柱」と呼ばれる独特な奇岩が特徴。標高が高いこの地では、雨風などの自然の浸食や隆起によって作られた「フィン(一枚岩の断崖)」や「フードゥー(尖塔)」で埋め尽くされています。
目下に広がる景色の広大さと珍しい奇岩は迫力満点で、中でもひときわ目立つのが「雷神の鎚」と呼ばれるフゥードゥーです。
言われてみると、まさに北欧神話に登場する神、トールの持つ武器を天に突き上げているかのよう。ネーミングセンスが良いなと思いました。また鉄分を含んだ赤い岩は、まさに私の好きな青い空とのコントラストでその美しさに脱帽。実際は雪が降るほど寒くて脱帽できませんでしたが。
さて、今回は岩フェチの自分の好みに完全に振りきっちゃいましたが、「岩あんまり興味ないんだけど......」なんて言わへんでね! おあとがよろしいようで。
★第314回「ブルーハンターが出会った世界の"青い絶景"5選」
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。2014年より『旅人マリーシャの世界一周紀行』を連載。Twitter【marysha98】 Instagram【marysha9898】 YouTube【https://www.youtube.com/channel/UCe2ihHJ1MXHEZgpdmglzWew】