週刊プレイボーイ本誌にも登場した紫雷イオ、木村花をはじめとした美女レスラーの台頭で盛り上がる女子プロレス界に、新たな動きが! 最大手団体のスターダムに、フリーとして活動してきた花月(かげつ)、中野たむが揃って入団することが決まった。
ふたりは前述の木村花と同じ大人気の悪役ユニット「大江戸隊」のメンバー。中野たむはアイドルから転身し、キャリア1年少々ながら電流爆破にも果敢に挑戦してきた期待の選手。一方の花月は大江戸隊リーダーで、美女揃いの今の女子プロ界において色気ゼロ(失礼!)という男前な“異色”レスラー。
フリー選手の入団は2013年の紫雷イオ以来、5年半ぶりという異例でもあり、ロッシー小川代表は「大いに期待している。今いる選手に刺激を与えてほしい」と、今後はベルト戦線に絡む可能性も示唆している。
その期待に応えてか、花月は入団直後から攻めの動きを見せており、11月4日にはフリーのセクシーレスラー・夏すみれも大江戸隊に加入! さらに女子プロレス界の台風の目となること必至!?
ということで、入団発表直後の花月に直撃。25歳にしてキャリア10年目を迎え、脂のノッている“旬な女”だが、ここまで苦節の時代を生きてきたその本音とは!
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―レスラー生活9周年記念の自主興行は、前売りで完売したそうで!
花月 ありがとうございます。それほど席数は多くなかったんですけど、フリーとしての最後の大仕事として、お客さんやいろんな方々に感謝を伝えたくて精一杯やらせてもらいました!
―フリーでの活動が3年ほど…なぜ今、団体に所属することを決意したのですか?
花月 3年間、がむしゃらにやってきたけど、フリーでできることは限界があると感じるようになったので。最初の頃は「絶対上に行ってやるんだ」という強い思いもあり、ほとんどの女子の団体に上がらせてもらって、自分なんかを使ってもらえることに感謝もあり、設営から撤収まで自分のことより優先してやるぐらい打ち込んでたんですけど…。
でも、ある時「コレって単に都合のいい選手ってだけじゃねーか」と気付いて(笑)。改めて自分が何をしたいのか考えると、フリーではなく団体に所属することでしか目指せないものがあると思ったんです。スターダムには同じ志を持った選手がいると感じたし、このリングで活躍すれば世界に羽ばたけるなと。
―確かにスターダムには世界中から外国人選手もが集まりますし、そこからアメリカのWWE入りする選手もいます。花月選手はそのリングで何をしていきたい?
花月 まずは団体所属ということで、キャリアも上から2番目になりますし、下のコの指導もしっかりやっていきたいし、団体の在り方なども押さえていきたいと思います。そうやって新しい世代を育てたいし、自分も業界を引っ張る存在になりたい。覚悟を決めて入団しましたし、私が所属することでいかにスターダムの選手のスキルが変わるか、意識が変わるかも注目していただければ!
―今、自身のユニット「大江戸隊」は、悪役なのにお客さんからの支持が高いですね。
花月 自分たちとしては悪に徹底してないというか“愛されヒール”っていうか、明るいヒールユニットを目指してます(笑)! 周りはいろいろ言うけど否定したい人はすればいいし、結局はお客さんの反応が一番なので、受け入れてもらえるならそれでいいかなと。
―ユニットの方向性は花月選手が決めているそうですね?
花月 それもあるし、みんなで話しているうちに自然に決まったりもしますよ。ただ、自分が4月からしばらく欠場していた時に考えていたことがあって。お客さんがどうやったら楽しめるのか、盛り上がれるのか考えた時に、今までやられてきたことじゃなくて誰もやってないことをやろう、復帰したら新しい体制を作ろうと思ったんです。
今、女子プロ界ってそこそこ人数もいて、シングルやタッグで活動している人は多いんですけど、ユニットとして活動しているところは少ない。だったら「ユニットといえば大江戸隊」っていうふうにしてやろうと思って。ユニット感が出せることといえばメンバー全員でできるダンスかなって、入場に取り入れてますし。
世代を丸ごと底上げしないと意味ない!
―そのダンスも定着し、木村花選手も「花月選手が復帰してから一気にいろんな人が反応してくれるようになった」と言っていたし、今、最も勢いのあるユニットでは。手応えは?
花月 でも、まだまだです! この勢いがいつ止まるのか考えると不安なので、新しいこともどんどん考えていかないと。
―ストイックですね! これまで自分の活動より所属ユニットを優先して、面倒見のいい先輩という印象もあります。
花月 ひとりじゃできないなという思いがあるので…。以前、センダイガールズにいた頃は「次世代闘争だ!」とか大きなことを言ってたんですよ。でも結局、なんの爪痕も残せなかった。失敗だと思ったし、絶望ってぐらい落ち込みました。その時、思ったのはひとりじゃダメなんだということ。自分たちの世代を丸ごと底上げしないと意味ないって気付いたんです。
だから、新しい世代を作りたいんですよ。女子プロレスといえば神取忍さん、アジャコングさん、ブル中野さんとか、ビッグネームな方々がいますよね。そういう方たちがいなくても、私以下の世代で「女子プロレスやってます」と、堂々と胸を張って言えるようにしたいんです。
―なるほど、個人より新たなジェネレーションを生み出すことが最優先と。とはいえ、キャリア10年目を迎えた一選手として「女子プロレス大賞」なんかも気になりません?
花月 正直、毎年気にはなりますよ(笑)! でも大賞を獲れるほど何かを残せたことはなかったです。10周年に向けて狙いたいですね。ただ、私は女子プロレスラーとしての「女らしさ」っていうのを問われると1%未満じゃないかと…(苦笑)。そういう弱点はありますが、それを押しのけるぐらいスゴいっていうところは見せていきたいですね。
―受賞歴こそないですが、グラウンドもアクロバティックな動きもオールマイティにこなす技術の高さは、ファンからも期待されていますよね。
花月 ありがとうございます。基礎はガッチリ教えられてますし、その部分では感謝しかないです。でも自分はまだまだですし、周りの認知がそうなのも知っています。このままだと何も面白いことはできないので、まずは選手としての格を上げたい。そのために、スターダムの最高峰である“赤いベルト”がどうしても欲しいですね。
―期待しています! では最後に、新たな場所での戦いをどんな人に観てもらいたいと?
花月 今、観てくださっている方に加えて、小さい子供たちにも見てほしいんですよね。そのために「憧れられる存在」にならないといけないと思います。そして「女子プロレスラー」が将来の夢のベスト3に入ってほしいんですよ。
(取材・文・撮影/明知真理子)
●花月(かげつ) 1992年6月24日(25歳)大阪府出身。15歳でプロレスラーを志し、2008年8月にセンダイガールズプロレスリングからデビュー。14年12月からフリーとして活動し、この11月からスターダム所属。最新情報はTwitterで【@doranyanpa】