週プレ本誌の袋とじグラビアにも登場し話題になるなど、次々と世間を驚かせるIVAN

あの国民的バラエティ番組のスピリットを引き継ぎ“友達の輪”を!とスタートした『語っていいとも!』

第38回のゲストでタレント・歌手のはるな愛さんからご紹介いただいたのはモデル・タレントのIVANさん。

ファッションモデルとして男性誌を席巻、パリコレにも選ばれランウェイするなど活躍し、13年9月の『有吉大反省会』で初出演すると自ら「トランスジェンダー」であることを告白。

今ではバラエティーなどにも引っ張りだこで、昨年、性転換手術を受けると週プレ本誌の袋とじグラビアに登場し話題になるなど、次々と世間を驚かせるマルチな魅力を発揮しているがーー。(聞き手/週プレNEWS編集長・貝山弘一)

―はるな愛さんからは「ふたりでアウトレットに行った時、楽しかったね。またゆっくり温泉でも行きたいなぁ。全部大好きIVAN。I love you」とのことですが…。とりあえず、この連載はテーマがないんですよ、対談の。

IVAN へ~、テーマないんですね。スゴい…めっちゃアバウトですね。

―だから素な感じで、縁側での茶飲話か居酒屋トークのような感じで皆さんと。

IVAN なるほど! じゃあネタもなしで。何から話しますか。

―まぁ、IVANさんの場合は去年、すでに週プレ本誌に登場してもらって。しかも、なんと袋とじグラビアで!

IVAN 9月でした、それ。すごい緊張したんです。なんか、本当に結構ギリギリまで迷ってたお仕事で。体を変えて、女のコになって初めてのそういう…しかも週プレだったので考えたんですけど。カメラマンさんだったりとかシチュエーションも結構委ねてもらえたので、だからもうモデルの時を思い出してやったというか。

ここのロケ地もメンズモデルの時に行ったことがあって。メンノン(『MEN‘S NON-NO』)だったかな。けど、その時は私もメンズだし…それが女のコでまたこうやって、すごい不思議な感覚で全然違いましたね。

―それでいきなり巻頭の袋とじですから、すごい目立って。周りの反響はどうでした?

IVAN いや、私の周りはべた褒めでしたし、ほとんどの友達が買ってくれたりとかしてくれましたけど。なんかエゴサーチとかあんま普段しないけど、さすがに週プレを買ってるマニアの方がいらっしゃるので、出た後のエゴサをした時のボロクソな言われ方には結構きましたね。

―まぁ、そういうので書き込む人はネガティブなバッシングになりがちですけど。

IVAN 本当にそう。もちろん、袋とじを楽しみにしてる人たちは多いし、十人十色なんですけど。結構「え、週プレに男出すなよ」とか「需要どこにあんだよ」とか。なんか毎回この袋とじがおかずクラブちゃんだったりする人にとっては「何考えてるんだよ」って感じなのかな。私からすると「え、スゲー遅れてるな」って。

―このセンス、わかってもらえないんだ?みたいな。ショックを受けたとか傷ついたとかいうより…。

IVAN あ、全然全然! なんか、ダサ!って思って。結局、そういうフィルターでトランスジェンダーっていうのを、どうしてもまだ色眼鏡で見ないといけない、つまんないクソな人間がいるんだなって思った時にまだまだ発信していかないとなって。

「異性からも女性として見られてるって」

―まだまだ保守的というか、逆に内向きに閉じてる人たちも増えている印象があるので。だからこそ意識を変えていくチャレンジはしていかないと?

IVAN そうですね。だがら3割はそれでしたけど、7割は男のコのファンがすごい増えたかなって。インスタグラムのフォロワーとかも私の場合、8割が女のコで。今まではずっと10代から30代の女性全般だったんです。男のコは10代と50代のおじさん層で2割みたいな。

それはまぁオネエっていうのもあるし、TVのキャラクターとかもそうなんで、男のコのファンはつかないんだろうなって思ってたら、それが今、6対4なんですよ。

―週プレのグラビアがきっかけで?

IVAN そう。これが出たことによって、ここにはオネエなんて一切書いてないし、男のコのファンがすごいインスタグラムで飛んでくるようになって。で、そっからブワーって増えて、書き込みとかダイレクトメッセージもきたり。すごいこんなに変わるもんなんだって。

―それは嬉しい話ですね! やった甲斐がというか、反響が実感できて。

IVAN ほんと嬉しかった。同性からのファンもすごく嬉しいけど、異性からも女性として見られてるっていうのを世に見せてくれたのが週プレだったので。

―この時の週プレNEWSのインタビューでは、背中に自信があるみたいな話もしてましたが(笑)。

IVAN 自信ありますね~(笑)。人間、大抵どっかに自信なくて、どっかに自信あるんで。背中はね、普通の女のコは結構荒れやすいんですけど、私はそこがたぶんメンズと一緒なんでしょうね、ツルッとしてるから綺麗なの。あはははは…なんのアピールだよ! 背中写真集でも作ろうかな~。

―背中で綺麗な女を見せるっていう、いいですね。第2弾もありですか。

IVAN でも、本当にすごいワガママ言わせてもらって、この写真ヤダとか、ここは見せたくないとか、あーだこーだ言ったわりには結構すごいやってもらえてよかったから。まぁ記念ですよね。30過ぎたし、もういいかな。

―いやいや、こっからがまた違う色気で(笑)。熊田曜子さんとか結婚して子供生まれてもまた30代半ばで復帰してますから。

IVAN 私も出しますか…ははは。でもやっぱね、つき方変わってきたから、肉の! もっと早いうちに出しておくべきだったなって。20代の頃ってスゴい自信があったから自分の体にも全てに。その自信満々の頃に出しておけば、もうすごかったんじゃないかって!(笑)

「男なのか女なのかわからなくなって…」

―なんかちょっと照れ気味というか恥ずかしげな顔ですが(笑)。男性誌のモデルを席巻してた頃はイケイケで?

IVAN そうですね。メンノンに『smart』『ポパイ』…全部制覇させてもらって。その時ってちょうど雑誌ブームだったんです。ファッション業界もそう。今と全然違うハーフモデルちゃんたちがめっちゃ活躍する場が多かったし、もう…バカみたいに仕事してた。なんか二日酔いで仕事行ってもそれがカッコいいって言われちゃう時代だったし。

―それは我々の仕事にも通じるところが(笑)。明け方まで飲んでそれで取材だインタビューだって。無茶なね。

IVAN そうそう。それを20代前半くらいで教わってしまったから。カッコいいっていうものがすごく…なんだろうな、ひねくれてるというか。カッコつけないことがカッコいいみたいな。それで出す雰囲気とか。

ギリギリで生きてるのがカッコいいって大人たちとすごい一緒に仕事してたし。今みたいにちゃんとジムとかホットヨガ行かなきゃ、肌のケアしなきゃとか全くなくて。逆に肌ボロボロにしてやろうとか、吸えないタバコめっちゃ吸ってヘビースモーカーになってみたり。そうじゃないと、その第一線で活躍してる人の一部ではいられないみたいな。

それを見てる下のコたちも憧れてくれるもんだから、どんどん破滅に向かうみたいな(笑)。そういう時代でしたね。

―まぁ昔ながらのね、アーティストとかミュージシャンとかも自分を痛ぶったり、悪ぶるのもそうだけど、そういうのも含めて人間味を出していくみたいな。

IVAN そうそう。そういうスゴい生き方とか混乱させるのがファッションみたいな。だから今思うとひねくれてたんだなって。でも、それがカッコいい時代だったから。

―若い頃はそういうものだし、若いから許されるものもね。

IVAN で、今、女のコになって全部変えて。やっぱそこの狭間に生きてた時はそのカッコよさって男のコの自分だったんだけど、女のコの自分がそれやると、ただのクソになっちゃうわけで。

だから、ちゃんと完璧に女のコとして安定するまでの間は結構TVに出ながらもいろいろあったんです。気持ちの切り替えっていうか、メディアに出てるIVANって男なのか女なのかわからなくなって。なぜかというと、オネエの扱いだから…メンズモデルの時は男のコの扱いで、その生き方がすごい心地よかったし楽だったんですよ。

―突っ張って、無茶してもカッコよく見えたけど?

IVAN そう、「男だもん」って。でもそれがオネエタレントってなった時に背負うものが変わってくるし。元々、ニューハーフになった上での芸能界入りっていうのとも違って。オネエでいじられてもなんの問題もないって人も多いけど、私とかKABA.ちゃんみたいな人はどうしても難しいんですよ。

男の時の実績とかリスペクトがある分、なんだろな…たまに男のコのことをしてみたり、でも女のコでいなきゃいけないとか。その狭間にいる自分っていうのはスゴい不安定な時期が多くて。ただ、スタジオに行って1日3本とかTVに出て、仕事をブワーってこなしてると忘れるんです。

「性同一性ってやっぱ大っきなことだから」

―どんどん走り続けて、ハイになってる時はそれでね。

IVAN そう。それが少し落ち着いてポジションができるじゃないですか。オネエタレントっていえば、ミッツさん、マツコさん、はるなさん…とかいる中にIVANもいさせてもらうんだけど、業界って新しいものが欲しいから、まだ自分の席は取られなかったとしても、やっぱ落ち着くわけですよ。

そうなってくると、考える時間がすごく増えて。そこで初めて自分の不安定さに気づくんです。それをどこでカバーしたらいいのかってなった時に、今すぐ体変えなきゃとか、ちゃんと女のコにならないと、まだ男になろうとしてる自分がいるとか。それを時間多くて感じすぎたのが去年ぐらいかなぁ。

―そんな最近の話なんですか。

IVAN 一昨年ぐらいまではバカ忙しかったんで。今はやっぱり、それなりにいい意味でお仕事もチョイスさせてもらってますし。自分の意見も聞いてもらえる環境にいるので「これやりたくない」とか、自分のブランディングもさせてもらって。

だから、今は女のコになったんだけど、体と心が一致してるはずなのに現実問題「変わったよ、僕。私、変わったよ…でも待って、落ち着いてないよ」みたいな。

ほんとオネエの仕事し始めちゃうと、(はぁ~パニック)みたいな自分がいて。ニューハーフの先輩とか、はるな愛ちゃんには結構そこのタイミングで自殺しちゃう人が多いから「気をつけなよ~」ってすごい言われてて。私、絶対大丈夫って思ったけど。

―前回、愛ちゃんと語らせてもらって、その後にちょうど『アナザーストーリーズ』って番組が「“オネエ”たちは闘った」というテーマでやってたの観たんですが。まさにそういう内容で…。

IVAN 知ってます! NHKのですよね? めっちゃ観たい、あれ! いろんな方が出てるんですよね。

―まずIKKOさんと愛ちゃんで、そのふたりが救われたというか、憧れたカルーセル麻紀さんの話が中心にあって、最後にそれとはまた違ったおすぎさんが出てきて。どの人の言葉も刺さったというか、気持ちに訴える回でした。

IVAN 私も体変える時に一番最初に読んだコラムみたいなのが全部、カルーセルさんので。それこそあの時代、モロッコで(性転換手術を)やるっていうのはもう…すごいことだったんだと思って。

―あれは凄まじいエピソードですよね。

IVAN 神様の「あなたは死ぬべき? 生きるべき?」っていうジャッジを受けた話とかもすげーなって。でも、それぐらいの覚悟がないとできないことだし。それほど性同一性ってやっぱ大っきなことだから。私はこんな性格だし、うわ~って明るくやってるけど、意外と芯に持ってるものってすごく重いというか…。

「女のコで生まれてたら土屋アンナちゃんみたいな感じ」

―カルーセルさんが、自殺していっちゃったコをどんだけ見てきたかって話をしていて。自分が今言いたいのは、完璧に女になるっていうのに囚われすぎると耐えられなくなって死んじゃう。だから自分はそういう自分を受け入れていると。

IVAN わかる!

はるな愛ちゃんも前回、自分が出た『バリコレ』で男のタキシードと女性のドレスの半々な物を着た時に「これが一番しっくりくる」って思ったという話をしてくれて。男と女の両方が自分の中に同居していて、客観的にそれをプロデューサー的な感覚で見れるようになったのもいいことなんだろうなって。

IVAN 確かに。私も結構、元々の素質みたいなのがたぶんそういう考え方の人で。もし女のコで生まれてたら、本当にすごいボーイッシュな人間で土屋アンナちゃんみたいな感じだったと思うんです。女っぽくならなきゃとか、あんまりそこの葛藤がなくて。

たぶん、普通の女のコに生まれてたら「お股閉じなさいよ、あんよ開いてるわよ!」って言われるコだから(笑)。女のコでもそういう友達が多いんです。それこそ青山テルマとかE-girlsのAyaとか。根は乙女なんだけど。ローラもなんだかんだですっごい男っぽいし。ネチネチしてるコはいないんですよ、周りに。

―女のコだって、ボーイッシュというか男勝りってタイプもいるわけだし。ハッキリしてて、感情をしっかり出してね。

IVAN そうそう。それって引き寄せの方法だと思ってるから、そういうコたちが自然と集まるし。まず、人の悪口を言ってるコとか嫌いなんです。本人に言えよって思っちゃうから。そういう話されると黙っちゃうタイプ。はいはい、私は入りませんみたいな。

それがたぶん気に食わないコたちからは、はみ出し者になるけど、だったらひとりで生きていくし。でもそういうコたちが集まると、やっぱ強いですよね。

―そういう根本的なものって、元々、お父さんもハーフでお母さんはメキシコ人の方で。やっぱり外国人の血も混じってるっていうのが色濃くあったり…?

IVAN いや、でかいと思います。子供の時にそれこそオカマとかオネエってことより外人のほうがいじめはきついんで。それのほうが傷ついてはいたんですよ。なんでかっていうと、オカマちゃんは隠せても、外国人っていうのはもう隠しようがない。

顔でわかるし、お母さんでわかるし…そういう血がね、国旗を見た時にメキシコにも日本国旗にも反応する自分の純粋じゃないものが隠せなくて。だからサッカーの日本代表の試合でメキシコとの時とか行けなかったですもん。どっちも応援したいから。

―いわゆる在日の人たちが引き裂かれてるのと同じ境遇というか。でも根っこは隠せない。

IVAN そう。だから、自然と気性も外国人。ハッキリ物を言うし、好き嫌いもハッキリしてるし。ハッキリしてない人を見るとモヤモヤするし。

●続編⇒語っていいとも! 第38回ゲスト・IVAN「男のコって、突起物がなくなった瞬間にめっちゃくるから(笑)」

●IVAN(アイヴァン)1984年、2月9日生まれ、奈良県出身。父親が日本人とスペイン人のハーフ、母親がメキシコ人のクォーター。98年に沖縄アクターズスクール東京地区第1期生に選ばれ、約1年間歌やダンスのレッスンを受ける。18歳でモデル活動を開始し、2004年にはパリコレのモデルにも選ばれるなどトップモデルに。13年9月の『有吉大反省会』に初出演した際、「トランスジェンダー」であることを告白、世間を驚かせる。現在、モデル、タレント、役者として幅広く活躍中。