ほうれい線が気になって仕方ないアラフィフ編集長が最先端アンチエイジングの治療に挑戦。果たしてどこまで若返るのか?

“見た目より若い”ことは、現代の一種のステイタスかもしれない――。

“人は見た目が9割”なんてことも言われ、就活で整形手術を考える若い男性すらいる昨今、男女問わずアンチエイジングは永遠のテーマらしい。

とはいえ、男性の場合は今でも基本的にメイクもしなければ、普段から日焼け止めも使わず、紫外線を浴び放題…が一般的。その何十年のツケは顔に刻まれたシワやシミとなって、ある日突然、気になり始める。

49歳にして、ほうれい線が目立ち始めたという「週プレNEWS」貝山弘一編集長もそんなひとり。そこで、体験取材をさせてもらえるという最先端の「肌の再生医療」に自ら挑戦。美容整形や薬などとも全く異なる、自身の細胞で若返りを促す、アンチエイジングの技術とは――。

■細胞は技術者の手作業により育てられる

前回の『自分の細胞で若返る? 最先端アンチエイジング「肌の再生医療」を実体験』に続き、体験リポートの第3回では、採取した自分の皮膚から培養させた肌細胞を移植する施術がスタート。その前に、採取された皮膚の培養について説明すると…。

1回目の『ヤケドの治療から始まった! 肌の再生医療の第一人者が手がける最新アンチエイジング 』で伝えた通り、「肌の再生医療」のパイオニアである北條元治(ほうじょう・もとはる)先生が立ち上げた株式会社セルバンクだが、そこでは特定細胞加工物製造事業者として治療に必要な細胞を国に認められた専用の施設で培養している。

提携医療機関である「RDクリニック」で診断、患者から採取された皮膚は都内某所に設けられた細胞加工施設に送られる。そこで培養技術者の手により肌細胞を抽出、培養を行ない移植用の元気な細胞に育てられる。

独立した個別空調により管理された空間で、細心の注意を払いながら細胞は加工される(写真提供:株式会社セルバンク)

培養した肌細胞で治療に使わない分は凍結保管ができる。使う都度に初期の培養作業を行なわないことで、10年や20年後でも若い元気な細胞を使用できるスキームを確立(写真提供:株式会社セルバンク)

中央に薄っすらと見える肌色の物体が培養された肌細胞だ

培養された肌細胞は「RDクリニック」に送られた後、クリニック内で遠心分離器にかけられ調整、細胞を取り出して注射器に入れられる。中には細胞を立体的に保ち、定着率を良くするための薬剤も入っているそうだ。今回のような、左右のほうれい線に使うのは1ccとなっている。

注射針を合計400回も刺す……

クリニック内で遠心分離器にかけて調整し、細胞を取り出して注射器の中に入れる

注射器に入れられた貝山編集長の肌細胞。細胞を立体的に保ち、定着率を良くするための薬剤も入っている。今回使うのは1cc

■ドキュメント・オブ・肌細胞移植

というわけで、ここからいよいよ体験ライブに戻ろう。結局、今回は一番気になるという口の横のほうれい線のみ施術してもらうことに(回数、保存期間等によって料金コースが異なる)。

まずは、行程をまとめて紹介する。

1)肌に麻酔を塗る肌細胞を移植する前に麻酔クリームを塗る。麻酔の効きを促すためにラップで保護して30分間待つ

肌に麻酔を塗る

2)ほうれい線に肌細胞を移植する注射針を細かく移動させて片側で約200回、チクチクと刺しながら移植する。今回は注射だが、頬全体やデコルテなど広い部位の場合など剣山のように針がついた機械を使うこともある。

ほうれい線に肌細胞を移植する

3)保湿保護材を塗って終了およそ20分程度で終了。保湿保護材を塗って終了。

保湿保護材を塗って終了

蜂に子供を植え付けられているような感じ?

■痛い? どのくらい? 肌細胞の移植のホント

施術前に北條先生から「痛みに強いほうですか?」と聞かれ、イエスと答えた貝山編集長だが…。

北條先生「何かが入ってくる痛みを感じると思うんですが…」

編集長「蜂に子供を植え付けられているような感じがしますね」

……表現が気持ち悪い! のはおいといて(笑)、事前に施された麻酔クリームが効いているためか、痛みというよりも違和感のほうが強い様子。施術後も痛いというよりは「ぴりぴりするというか張っている感じ」だけで、翌日以降も特に支障なかったようだ。

保冷剤を使って5分程度、肌細胞を移植した患部を冷やす

ただ、本来は口の横やほうれい線は痛点が集まっている箇所。特に女性に比べて痛みに弱い男性では、大声を出して叫ぶ人もたまにいるそうなのでご注意を。麻酔が効いているとはいえ、全く問題ない様子の貝山編集長はだいぶ痛みに強いタイプのようで参考にならないが…。

編集長「刺青(いれずみ)なんかもこういう感じなんでしょうかね…」

北條先生「そうですね。ただ、あれは医療行為ではないんで麻酔は使えませんから。痛いどころじゃないと思いますよ」

編集長「確かに、麻酔してこれですから。脂汗流しながら手拭いかなんか口で噛んで、叫ぶの我慢してるのは余程なんですね。ほんと男が試されますね…」

なんて、悠長に語ってるほど。普段の業務からしてだいぶ精神的な痛みには強いのか、逆に痛みに鈍感にならざるをえないのか(苦笑)。

注射の跡は少し血がにじんでいる箇所もあったが、見た目はひげ剃りにちょっと失敗した風。移植後、少し腫れているせいか、パーンと張ってシワも目立たなくなっているが、これは一時的なものだそう。

初回の施術前が左、施術後が右。早くも効果が出ているように見えるが、これは施術直後でやや腫れているため

ちなみに、移植後の注意点は、以下の通りだ。(1)移植箇所に痛みを感じる可能性があるので、当日の運動やサウナなど体温が上がることは避ける(2)当日の飲酒は、痛みや腫れが長引く可能性があるため避ける(3)1ヵ月は移植箇所や周辺を激しくマッサージすることは避ける(部位に負担をかけない)

乾燥が気になる時は日常的に使用している化粧水などを使えるが、特に愛用品がなかったためワセリンをもらい、まめに塗るよう伝えられる。また、紫外線に当たりすぎないように気をつけるなど、基本的な肌ケアを説明され、1回目はクリニックを後にした。

次回、いよいよ施術のビフォー・アフターを公開。果たしてどのくらい若返ることができたのか?

取材協力/北條元治先生医学博士、東海大学医学部外科学形成外科学 非常勤講師、RDクリニック顧問。『医者が自分の家族だけにすすめること』(祥伝社)、『保湿とUVケアだけが美肌を作る』(青志社)、『びっくりするほどiPS細胞がわかる本』(ソフトバンク クリエイティブ)など著書も多数

「RDクリニック新宿」都内は銀座、三田、新宿の3カ所、大阪、名古屋など全国7カ所の「RDクリニック」で「肌の再生医療」を受けられる。料金システムや詳細はRDクリニックまでhttp://www.rederm.com/

(取材・文/渡邉裕美 撮影/五十嵐和博[カウンセリング、採血分]、榊智朗[皮膚採取、北條先生分])