引き続き「#おうちたび」ということで、昨年の旅の続きをお届けしたいと思います。
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アイスランドの最終日を「ペ○ス博物館」で終えた私は、感慨深い気持ちでスペインのバルセロナへ帰る。今回の旅もいよいよラストナイトだ。
私の旅の仕方は基本、インとアウトの国を決めて、それ以外は現場で決めるフレキシブルなスタイル。最後は帰国便に合うように旅を調整する(うまくいかず帰国便を捨てたこともあるが)。
今回は日本からカタール経由でバルセロナにイン。そこからアンドラ公国、北スペイン(バスク地方)、ベラルーシ、アイスランドを周り、バルセロナに戻って帰国する。
さて、バルセロナに到着し友人アナの家に帰宅すると、ちょっと懐かしい。ここが本当に帰るべき家でもいいんだけどな。移住するならスペインかオーストラリアが良い。
ところで仲間が増えているじゃあないか。私がいない間にもアナのカウチサーフィン活動は続行され、彼女の家はまるでホステルのようだった。
そこにいたのはアナの友人、地元カターニャ(カタルーニャ)の美人カサンドラカスやスペイン在住イタリア人ピーター。それからコスタリカのロナウド、アルゼンチンのロメインとエドゥなど南米チームも加わって、他にも入れ替わりで数人が集まったが、基本ラテン人口が多い。
スペイン語が飛び交う中、自称"ラテンの血が流れている"私も言葉の壁で少しアウェイ感。やっぱり旅人として、もう少しスペイン語はできるようになりたい。
「マリ、おかえり! さぁ、今夜は世界の料理を作るパーティーよ! マリは日本のものをお願いね」
近所のスーパーに買い出しに行くと私は迷った。日本のもの? ここで揃うかな? 寿司だったら、米、酢、海苔、それから何種類かの具だよね。うーん、揃えるのは大変そう。炊飯器もないし鍋でご飯炊くのもみんながキッチン使うから占領できないし。
蕎麦はアリだけど、めんつゆ、うーん、具がないと地味になっちゃう? 味噌汁はみんな飲まなそうだな。やっぱたこ焼きとか独特で面白いしパーティーっぽいけど、そもそもたこ焼き機ないからなー。あ、お好み焼き......!
結局、私はお好み焼きを作ることにした。小麦粉と卵、あとは適当な野菜があれば見栄えもしそうだし、万が一ソースがなくても何かしら代用できそう! 青のりと鰹節はないけど、まいっか。私は材料をカゴに詰め込んだ。
「卵は絶対、こっちのオーガニックのほうがいいよ!」
卵はアナのおすすめにすり替えられ、家に戻ると早速みんなが料理を作り始めた。キッチンはわんさか満員だ。控えめでちびっこの日本人はそこへ割り込めず、とりあえずみんなに譲った。こうなると思っていたので、簡単なものにして良かった。
みんなの空腹がマックスを迎えるとピーターがこんなことを言い出した。
「俺とアミーゴたちは、腹が減るとジャンプで体当たりしてお互いの胃をぶつけるんだ! やってみるかい? ウノ、ドス、トレス、テンゴアンブレー(1、2、3、腹減ったー)!」
家の中で大きな大人たちがジャンプをして腹をぶつけ合う。私は吹っ飛びそうなので見守っていた。
爆笑が起こる中、まずはロナウドが作った中米コスタリカの料理が完成。トルティーヤで具材を巻いて食べる、タコスを大きくしたような食べ物だ。
具は炒めたチキンや卵とアボカドやトマトなどの野菜。サンドイッチのように手で食べられるお手軽感覚が良く、塩胡椒の味付けもシンプルで美味しい。お好みでチリなどを加えたらビールがすすむ。
それからアルゼンチンの料理は、エドゥが土台の生地から作ってくれたタルタ(キッシュ)。同国でポピュラーな料理である。
全粒粉と思われる粉をこねた生地をワインのボトルで伸ばしタルト型に敷く。そこにハムやウィンナーを入れた卵を流し込み、チーズをかけてオーブンで熱したら完成。安定の味だ。
そして私が作る日本料理の出番だが、具にはキャベツとベーコンを使用。縁日で鉄板で焼かれるお好み焼きをイメージし、最後に目玉焼きも乗せてみたが、なんだろう、スペインで作るお好み焼きは不思議と別物に仕上がっている。
「これなあに?」と聞かれ、「ジャ、ジャパニーズ・パンケーキ、かな......」と自信なさげに答えたが、ソースとマヨネーズと青のりの大事さを痛感した(もっと言えば出汁や鰹節もね!)
評判はというとまずまずであったが、この日一番みんなに喜ばれた食べ物は、明らかに誰かが買ってきたピザだった。
ところで、ずっと旅して思ったことだが、世界のどこにでもあって一番よく食べられていると感じたお手軽フードは「ケバブ」と「ピザ」だった。特にピザは神だ(私は特に好きなわけでもないが、世界ではそうなのだ)。
そして偶然だろうか、今回のコスタリカのトルティーヤ、アルゼンチンのキッシュ、私のお好み焼き、誰かが買ってきたピザなど、世界の料理は大体丸くて平たいものだった。
最後にデザートはアナの特製チョコレートケーキ。相変わらず濃厚チョコレートが激甘で鼻血が出そう。果たしてこれがスペイン料理なのかは謎であるが、スペイン人はチョコレートドリンクが好きだし、エステーリャで知り合った日本人のたか子さんも「スペイン人はとにかくチョコレートが好き」って言っていたっけ。
「マリに明日の分も取っておくから、帰国前に食べて気をつけて日本に帰ってね!」
翌日、誰もいなくなったこの部屋で食べたチョコレートケーキは思い出の味となった。
こうして、今回の旅で初訪問の4ヵ国が追加され、私は世界125ヵ国訪問を達成した。国数を増やすことだけが目的ではないけれど、これからも知らない国や場所を見てみたいし、そこに住む人や旅人と触れ合いたい。
コロナの影響で新日常になった今、今後は新しい旅の形も取り入れながら、発信を続けていきたいと思っています。
少しお休みをいただきますが、これからも応援よろしくお願い致します! 皆さんまた会いましょう!
★美しさは世界を癒す! レベルが桁違いな美女のいる国5選 ~旅人マリーシャの世界一周紀行:第285回
●旅人マリーシャ(旅人まりーしゃ)
平川真梨子。旅のコラムニスト。バックパッカー歴12年、125ヵ国訪問。地球5周分くらいの旅。コラム連載は5年間半を超える。Twitter【marysha98】 instagram【marysha9898】女子2人組ユニット「地球ワクワク探検隊」としても活動。YouTube配信や国内外各地のPR活動、旅先のお酒やお話を提供するイベント「旅するスナック」を月2回、東京・虎ノ門で開催。【https://www.youtube.com/channel/UCJnaZGs8hyfttN9Q2HtVJdg】