「誰が気にしてる?」呂布カルマが見出す「新語・流行語大賞」の唯一の意義

撮影/田中智久

『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ
ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『日本語ラップブーム』について語った。

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★今週のひと言「『新語・流行語大賞』と共に振り返る2025年」

今年も「2025年 新語・流行語大賞」の季節がやって来た。

そんなもん誰が気にしてるのか毎年不思議なのだが、さまざまなメディアでも一応触れられているところを見ると、良くも悪くもそれなりに世間の興味を引いてはいるようだ。

俺はというと、言葉で飯を食ってる者の端くれとしてやはり無視はできない。

このコラムが世に出る頃には大賞が決まっているだろうから、今のうちに予想しとくか。

う~~ん......「日本人ファースト」ないのかぁ......。「存立危機事態」もないな......。

じゃあ、「国宝(観た)」にしとくか。

ノミネートの中では明るい話題寄りだし、実際に俺自身も映画館で『国宝』を見てからしばらくは会う人会う人に「『国宝』見ました?」と話題にしまくった覚えがある。

確かこのコラムでも書いたような。

これは今年に限った話ではないが、家族でそろって同じテレビ番組を見て、どんな世代でも共通の話題はテレビでって時代じゃなくなって、皆がバラバラに細分化された趣味を追っている現代において、文化的な流行語は極めて生まれづらいのではないだろうか。

趣味嗜好(しこう)によらない政治や経済、気候、災害、そして選択肢が比較的少ない子供の趣味、そのへんしか共通点は生まれづらい。

今年も俺が子育てしてなかったら知らなかっただろう語句が散見される。

あれ? ノミネートのリストを見たら、「トゥントゥントゥンサーフール」がないじゃん。

「トララレロトラララ」は?「ボンバルディロクロコディロ」は?

子育てしてる親としては、この奇怪な呪文をイヤっちゅうぐらい子供から聞かされたけどな。

そういえば今年は野球、相撲関係の語句もないな。

大谷(翔平)さんは今年も変わらず異次元の活躍を続けているし、彼だけでなくドジャースの日本人選手がそれぞれに大活躍したのに。

相撲も新横綱誕生やら話題はあったよな。

俺は野球も相撲も見ないので、例年ノミネートされた関連語句がマジで初耳みたいなこともあったんだが。

それを抜きにしても、選者の偏りを感じたもんだが。今年はなしか。

内部に改革でも起こったんか?

その年にブレイクしたお笑い芸人のネタ(フレーズ)も入ってないな。これは地上波で放送されるネタ番組が減少していることに起因しているのだろうか。

そんな中でも「ひょうろく」やダイアン津田の「長袖をください」がノミネートされているのは『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の影響力がいまだに強いことを物語るのだろう。

ヒップホップ的には何かあったっけ?

2024年はとにかく1年を通して、beef(アーティスト同士の揉め事、ケンカ)が多かったが、そう思うと今年は割と平和だったのでは。

残念ながら、亡くなってしまったアーティストはいるけど。

あ、NENEとちゃんみながあったな。でも、あれもbeefにまで発展する前に鎮火したか。

とまぁ、年末にノミネート語句を眺めながら1年の振り返りとするにはいいが、逆に言うと、それぐらいの価値しかなくなった感のある「新語・流行語大賞」。

来年はもういいかな。

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