8年ぶり大刷新! 開発責任者が明かす「勝算」とは? スズキ新型クロスビーは"かっこかわいい"で大勝負!

取材・文/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾

10月2日発売! スズキの新型クロスビーがついに登場。先進機能と快適装備をギュッと詰め込んだ、注目のコンパクトSUVだ10月2日発売! スズキの新型クロスビーがついに登場。先進機能と快適装備をギュッと詰め込んだ、注目のコンパクトSUVだ

2017年の登場以来、軽SUV・ハスラーの延長線上に位置づけられてきたクロスビーが、8年ぶりの大刷新を実施。新型では、独立した〝クロスビーというブランド〟の確立を目指す。激化するコンパクトSUV市場において、スズキはどのような差異化戦略を描いたのか。開発責任者の証言と専門家の市場分析から、その狙いを読み解く。

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■ハスラーの〝呪縛〟を解いた!

2017年12月、スズキが市場に送り出した小型SUV・クロスビー。軽SUV・ハスラーのDNAを受け継ぎながら、全長3.7m台のボディに1リットル直噴ターボ+マイルドハイブリッドを搭載するなど、スズキの代名詞とも言えるジムニーのようなガチ系SUVではなく、日本市場専用の新ジャンルとして、クロスビーは独自のポジションを築いてきた。

ボディサイズは全長3760mm×全幅1670mm×全高170m。最小回転半径は4.7mボディサイズは全長3760mm×全幅1670mm×全高170m。最小回転半径は4.7m

自動車ジャーナリスト・桃田健史氏は初代クロスビーをこう振り返る。

「ハスラーでは物足りない人に向けた、走りと使い勝手のバランスが絶妙な一台。しかもコスパが抜群でした」

そして2025年10月2日、待望の大刷新を実現した。初代発売から8年、新型クロスビーは新たなステージへと踏み出す。千葉県で行なわれた報道陣向けの取材会場で、クロスビーの開発責任者・飯田 茂氏が語った。

クロスビーの開発を指揮したのは、スズキの飯田 茂氏。こだわりが光るクロスビーオリジナルグッズの展開も視野に!!クロスビーの開発を指揮したのは、スズキの飯田 茂氏。こだわりが光るクロスビーオリジナルグッズの展開も視野に!!

「先代はどうしても〝ハスラーの大きい版〟という印象が強くありました。その呪縛をどう解くかが、今回の開発のポイントでした」

新型はクロスビーらしさを土台に、次世代にふさわしい刷新を図ったという。

「今回はデザイン、安全・快適装備、パワートレインまで大きく進化させました。従来の〝かわいさ〟に加え、〝かっこよさ〟も追求しました。社内では〝かっこかわいい〟という言葉を使い、ジムニーやフロンクスとは違う、独自の存在感を目指しました」

内装も大幅アップデート。力強さと上質感を両立しつつ、ドアとインパネのつながりで広々とした印象に内装も大幅アップデート。力強さと上質感を両立しつつ、ドアとインパネのつながりで広々とした印象に

ファミリーにうれしい後席用シートバックテーブル。快適性を高める工夫が随所に光るファミリーにうれしい後席用シートバックテーブル。快適性を高める工夫が随所に光る

多彩なアレンジが可能なリヤシートに加え、使い勝手に優れたラゲッジフロアも装備多彩なアレンジが可能なリヤシートに加え、使い勝手に優れたラゲッジフロアも装備

内外装は小型SUVらしさを前面に押し出し、質感の向上にも注力。ハスラーとの差異化を意識しながら、素材や色使いで新たな表現を模索。

「もともと女性支持が高いモデルですが、今回は男性ユーザーにも響くデザインや装備を意識しました」

エンジンは1.2リットルエンジン+マイルドハイブリッドを搭載。トランスミッションはCVTエンジンは1.2リットルエンジン+マイルドハイブリッドを搭載。トランスミッションはCVT

パワートレインには、スズキの小型車・スイフトやソリオと同じ1.2リットルのマイルドハイブリッドを全車採用。低速からのトルク感と燃費性能を両立し、走りを磨き上げた。

気になる月販目標は?

「月間2000台を目標にしています。現行モデルは月1000台弱の販売実績がありますが、しっかり商品力を伝えていきたい。そしてハスラーとは一線を画した、〝クロスビーというブランド〟を確立する。そのため、デザインも独立した存在として認知されることを意識しています」

■クロスビーは〝ちょうどいいSUV〟

前出の桃田氏は新型クロスビーについてこう分析する。

「ハスラーの兄貴分というイメージから脱皮し、すべてにおいて上質になりました。ちなみに新型の価格は215万7100~250万300円です」

気になるライバルについてはどうか。

「価格でいうと、確かにトヨタのヤリスクロスやホンダのWR-Vに近いですが、この2台のライバルはスズキのフロンクスになります。クロスビーは日本市場専用車として、軽自動車のコスパを考慮しつつ、その上を狙ったオンリーワンの存在です」

つまり、激戦のコンパクトSUV市場の〝隙間〟を狙ったクルマなのだ。

「新車価格が上がり続ける今、『ちょうどいいクルマ、何かない?』と探している人にピッタリ。軽からのステップアップやセカンドカーとして、老若男女問わずフィットするはずです」

最後に桃田氏は新型クロスビーをこう総括する。

「スズキが掲げる〝10年先を見据えた技術戦略〟。その中核にあるのが〝丁度いい〟という思想。これを見事に具現化したのが新型クロスビーなのです」

果たして市場の反応はどうか。注目の一台が走り出した。

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