【焼さんま&さんま弁当】信頼のスーパー「ライフ」の惣菜とお弁当で、2025年の豊漁を祝したさんまづくし晩酌を堪能!:パリッコ『今週のハマりめし』第206回

取材・文・撮影/パリッコ

ある日、あるとき、ある場所で食べた食事が、その日の気分や体調にあまりにもぴたりとハマることが、ごくまれにある。

それは、飲み食いが好きな僕にとって大げさでなく無上の喜びだし、ベストな選択ができたことに対し、「自分って天才?」と、心密かに脳内でガッツポーズをとってしまう瞬間でもある。

そんな"ハマりメシ"を求め、今日もメシを食い、酒を飲むのです。

* * *

今年はさんまが豊漁で、しかも例年よりもサイズが大きく脂がのり"奇跡のさんま"とさえ言われているらしい。ニュース記事やTV番組のみならず、飲み友達がSNSに「今年のさんまはうまい!」などというコメントとともに写真をアップしているのも頻繁に目にするから、きっと本当なのだろう。近年不漁と高騰ばかりが話題になっていたさんまだから、大変嬉しいことだ。

入った酒場でさんまメニューをプッシュしていることも多く、僕も何度か刺身で食べたが、確かにそれらはうっとりする美味しさだった。

大阪「赤のれん」で食べたさんま刺し大阪「赤のれん」で食べたさんま刺し
当然のことながら最近は、スーパーでも丸々としたさんまがよく売られている。僕の観測範囲で言えば、平均は1尾200円ほどだろうか。

が、家で焼き魚をするハードルはそれなりにあり、しかもそれが、グリルにぎりぎり収まるかというサイズのさんまならなおさらだ。食べたいけど、またこんどにするか。なんて、なかなか家でさんまを堪能する機会はやってこないのだった。

しかし、さんまの旬はまさに今! というかむしろ、刻一刻と去り過ぎようとしている。どうにかこの、いまだ満たしきれてはいないさんま欲を満たしておかないと、なんとなく時間だけが過ぎ、後悔を残してしまう気がする。あぁ、2025年の奇跡のさんま、もっと堪能しておけばよかったな......と。

そんな折、日々立ち寄っているスーパーの「ライフ」で僕の目に留まったのが、あるお弁当だった。ずばり「秋を愉しむさんまご飯」。

「秋を愉しむさんまご飯」「秋を愉しむさんまご飯」
楕円形の弁当箱の約半分がごはんゾーンとなっており、その上をぜいたくにさんまの切り身が覆う。残り半分がおかずスペースで、なんと牡蠣フライやまいたけの天ぷらといった大物級まで入っている。これは確かに、楽しむではなくて"愉しむ"と表記したくなってしまう開発担当者さんの気持ちもわかる、愉しげな弁当だ。

反射的に買いものカゴに入れた。今日こいつでさんま欲を満たしきってやろう。いや待てよ。せっかくのさんま晩酌ならば、ここは派手にいきたい。他にもさんまのおかずはないかな? と見つけた「北海道さんま塩焼き」も購入。すでにこんがりと焼いてあって話が早いし、どう考えても自分が焼くより美しい仕上がりだ。

さぁ、帰ってさんま晩酌だ!

焼きさんまを焼きなおす焼きさんまを焼きなおす
焼きさんまは当然冷えているので、薄く油を塗ったフライパンでほんのり焼きなおしてやる。これでもう焼きたてと変わらないだろう。

焼きあがり焼きあがり
焼きあがったら、なくてはならない大根おろしに七味と醤油。それから、最近よく晩酌時のチューハイにたらしている瓶のかぼす果汁も用意した。

続いてすみやかに弁当をレンチンしたら、いざさんま晩酌開始。

これは豪華これは豪華
ちなみにさんまの塩焼きが税込で321円、弁当が645円、手間を考えれば申し訳ないくらいに安い。しかも近年は、かつては100円台くらいで買えた僕の最愛の缶詰「さんま蒲焼」が、300円近くもする高級品になっている。本当に、スーパーマーケットの企業努力には頭が下がる。

いただきますいただきます
おともは、缶のデザインに「秋の味できました」と書かれていた金麦。ビールや発泡酒の細かい味の違いなど飲んでいるうちになんでもよくなってしまうタイプだからこそ、そう断言してもらえると、あぁ、秋の味だと悦に入れてありがたい。それを毎年この時期にしか使わないお月見グラスに注いで、ぐびり。

秋ですね秋ですね

さてさんま。まずは塩焼きからいこう。骨に沿って箸で皮目にぱりぱりぱりと切れ目を入れてゆく。最後までいったら身を上下に開く。いちばんのごちそうであるワタのあたりにたっぷりの大根おろしをのせて、もろともぱくり。あ?、この苦味、香ばしさ、そしてふわりとした身のえも言えぬ味わい深さ。しつこく味わったら、そこにビール。これぞまさしく、久しく忘れていた焼きさんまの喜びだ。

秋の至福秋の至福
続いては弁当。4切れのったさんまの身のひとつをおずおずと持ち上げ、かじってみると......はは、これまた幸せの味。和風の甘辛味が染み込んだ身がふっくらジューシーで、骨もついているようだけどまったく気にならないほど柔らかい。印象的なのは、しょうがが強めに利かせてあることで、その盤石の相性にしばし言葉を失う。

さらに嬉しいのはその下のごはんだ。さんまの旨味と甘辛味がよく染み、これだけでもつまみになる。やっぱりライフの弁当のクオリティ、半端じゃないな。

値段が2、3倍してもおかしくないうまさ値段が2、3倍してもおかしくないうまさ
さらに畏怖すら感じるのがサイドのおかず。もはやじゅうぶん満足しているのに、小松菜のおひたし、きんぴらごぼう、大根の桜漬けがサイドを固め、そしてメイン級のおかず、牡蠣フライとまいたけ天が控えているのだ。牡蠣フライにはたっぷりのソース、まいたけ天には醤油をかけて、それぞれがぶり。今日のテーマはさんまを楽しみつくすことだから、ちょっと浮気をしているような後ろめたさを感じつつもごはんで追いかけると、もはや笑うしかない圧倒的な美味しさだ。

これで脇役これで脇役
ひたすら無心であっちをつっつきこっちをつっつき、最後は放心状態でごちそうさま。

今日ふと思いつき、さんま晩酌を実行して良かった。だって、今年の僕は、思うぞんぶん奇跡のさんまを堪能しつくした、後悔はないと、はっきり断言できるから。

スーパーのお弁当と惣菜で大げさすぎますかね? いやでも、僕にとっては本気で大満足の一食だったので!

【『パリッコ連載 今週のハマりメシ』は毎週金曜日更新!】

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