
山下メロ
やました・めろ
山下メロの記事一覧
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、平成レトロのプロダクトデザインで一番重要なのがスケルトンです。スケルトンは骨格の意味。腕時計の文字盤や裏ぶたを透明素材にすることで、骨格と内部構造を見ることができました。それが、だんだんと外側が透明で中が見えるデザインの総称になっていったのです。
腕時計のようにコンパクトな本体内部にギアなどの極小パーツが緻密に配置され、動作している様子は、見ているだけで娯楽になるほど魅力的でした。
もともと子供向け商品では長く定番だったスケルトンですが、1998年発売の初代iMacのヒットで大人向けでも流行しました。その中から今回はフィルムカメラのスケルトンを紹介します。
フィルムカメラは本体の裏側のふたを開いてフィルムをセットする構造で、フィルムを感光させないように使用中はふたを開けるのは厳禁です。それほど光に敏感なフィルムカメラに、意外にもスケルトンモデルが存在しました。
フィルムカメラは本体が小さくなり、便利な機能が増え、いろいろな機構が内部に詰め込まれているためスケルトンにする価値があったのです。
では、どうやってフィルムが感光しないようにしているのかといえば、フィルムを覆うふたを不透明の素材にしていました。ほかにも撮影に支障が出ないよう配慮して、スケルトンを実現しているようです。ただし、そういった実用性のない、単に構造を見ていただくための店頭ディスプレー用の非売品モデルも存在しました。
パープルスケルトンのHAPPY POPはフィルム装着済みで発売
子供向けカメラの「マイクリスタル」など、あえてパーツをカラフルにして、ポップな雰囲気かつ機構をわかりやすくしたものもありました。ほかにはポラロイドカメラにも昭和末期発売のスケルトンモデルが存在します。スケルトンブームの頃は、いろいろなカラーのスケルトンカメラが登場しました。
平成レトロブームの今こそスケルトンカメラが来ます!