ウーバーイーツの新報酬システム「フラットレート」はどのくらい稼げるのか?【チャリンコ爆走配達日誌】

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

ウーバーイーツで新しく始まった新制度「フラットレート」について紹介しますウーバーイーツで新しく始まった新制度「フラットレート」について紹介します

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第123回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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9月9日、ウーバーイーツの東京エリアで「フラットレート」という新報酬制度がスタートしました。

フラットレート開始のお知らせ画面フラットレート開始のお知らせ画面

これは配達稼働中の報酬を時給で計算するというもの。配達依頼を受けて店に商品を取りに行き、注文者に商品を届ける。これらにかかった時間で報酬が決まります。例えば、時給2000円のフラットレートで注文を受けてから商品を届けるまでに30分かかった場合、1000円がもらえます。

ただし、時給計算ではありますが時給制ではないので、時給2000円のフラットレートでも配達依頼が1件も入らなければ収入はゼロとなります。

また、フラットレートは2時間58分までという時間制限があります。制限人数もあるようなので、事前に予約を入れないとフラットレート方式で報酬を得ることができません。さらにフラットレート中に配達依頼を2回断ると、フラットレートモードが強制終了。通常の報酬体系に戻ります。

他にも、適用されるのは1日1回(稼働時間2時間58分)まで。フラットレートを事前予約していても、いつでもキャンセルすることが可能。当日、雨が降って配達するのが面倒になったらキャンセルしてもOK。フラットレートで配達している最中でも通常の報酬体系の方が稼げるなと判断したら、配達後にフラットレートモードを解除してもOKなど、細かいルールがいろいろあります。

フラットレートの報酬画面1フラットレートの報酬画面1

フラットレートの報酬画面2フラットレートの報酬画面2

これまで、東京エリアのウーバーイーツの配達員は、配達の距離や時間、配達依頼数と配達員の数から報酬を計算する(計算式は非公表)システムで報酬が決まっていましたが、これからは従来の報酬計算方式かフラットレート、どちらかの報酬体系を選べるようになりました。

そこで、フラットレートはどれだけ稼げるのか、従来の計算方式で稼ぐ方がいいのか。都内で試してみました。

最初に試したのは9月15日。フラットレートが始まってまだ1週間なのと、3連休の最終日ということで、11時から13時58分のランチタイムに時給2000円計算という、自転車配達員にとってはいい条件のフラットレートが出ていたので前日に予約。10時30分に配達員用アプリを立ち上げました。

通常の配達画面通常の配達画面

中央区日本橋の店からの2件928円の配達中に11時を超え、フラットレートタイムがスタート。しばらくすると、「推定+20分」というフラットレートの配達依頼がありました。

フラットレートの配達画面フラットレートの配達画面

このあとも「推定+〇分」というフラットレートの配達依頼が途切れずに続き、配達を終えたのは港区赤坂で12時15分。収入を確認する画面を見ると「1時間32分 ¥3181」となっていました。

10時45分ごろに受けた2件928円(予想配達時間35分)の依頼も時給2000円計算となったこともあり、大きな収入となりました。

その後、ほぼ途切れることなく配達が続き、新宿区の飯田橋駅付近で13時58分を超え、14時30分過ぎに配達が終了。フラットレートの時間内に受けた依頼は時給2000円で計算されたため、3時間40分ほど配達をしてチップ込みで8132円を稼ぐことができました。

次に試したのは9月18日。この日は予想最高気温が33度で雨も降る可能性があったため、フラットレートの時給は2200円。しかも1件100円の雨クエストがついていました。

前回同様10時30分からスタート。途中で「推定+〇分」の依頼が来たら時給2200円に跳ね上がると踏んで、予想配達時間35分の681円の依頼を受けるも「推定+〇分」の依頼は来ず。11時10分ぐらいになり「推定+〇分」のフラットレート案件が届きました。

この日は港区の新橋を中心に、霞ヶ関、田町、勝どきといったエリアへ運ぶ配達が中心。霞ヶ関の巨大なオフィスビル、田町、勝どきのタワーマンションは、どこも建物の中に入ってから出てくるまで時間のかかるところばかりです。

従来の配達の場合、こういった時間のかかるところでは「配達調整金」というものが加算されるのですが(計算方法は非公表)、調整金は100円前後。なので、配達員にとって出入りに時間のかかる建物は「稼ぐには効率の悪い場所」となります。

ですが、こちらは時給2200円で動いている身。3件同時配達の1件目や2件目に大きな建物が来た場合、建物に入ってから出るまでのすべての時間が時給2200円で計算されます。湾岸エリアには入館手続きが面倒な上、配達員が使えるエレベーターが1基しかないため、入ってから出てくるまで20分以上かかるマンションがあるのですが、そこへの配達依頼が来た時は思わず「よっしゃ!」と言ってしまいました。

この日はフラットレート終了までに13回配達。クエストもあったので4時間で1万138円稼ぐことができました。

ただ配達後、ウーバーから「配達の所要時間や走行距離を意図的に延長したとみられる行為が複数確認されました」などという文言が書かれた警告が届きました。

ウーバーイーツからの警告文の画面ウーバーイーツからの警告文の画面

私はマンションのルールに従って運んでいただけなのですが......。

フラットレートを使って2日間配達して感じたのは、自転車の場合は通常の配達より稼げるなということ。また、従来の報酬体系は配達数をこなさないと一定の額を稼ぐことができませんが、フラットレートは時間で決められるので、イライラしたり狭い道なのにスピードを出して走り抜けるなんてことはせず、落ち着いた気持ちで自転車を漕ぐことができました。

フラットレートの報酬画面3フラットレートの報酬画面3

最近は時給1600円ほどのフラットレートが多いので、稼ぎ的には従来の報酬体系との差はなくなってきていますが、従来の配達よりプレッシャーを感じることなく配達できるので、この制度を続けていっていただけたらありがたいです。

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  • 渡辺雅史

    渡辺雅史

    わたなべ・まさし

    フリーライターとして雑誌や書籍への執筆をするほか、ラジオ番組やテレビの番組の構成作家としても活躍。趣味は鉄道に乗ること。国内の全鉄道路線に乗車したほか、世界20の国・地域の鉄道に乗車。

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