麻雀が好きでたまらないという伊達氏 麻雀が好きでたまらないという伊達氏
9月16日、Mリーグの2024-25シーズンが開幕した。年々その熱気は高まっており、麻雀好きはもちろん、麻雀のルールがわからないビギナーさえもとりこにしている。

そんなMリーグで、最高スコア賞、個人MVP、4着回避率賞といった主要タイトルを毎年獲り続け、麻雀(マージャン)好きたちを震撼させるMリーガーがいる。その名は伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘[ファイト]倶楽部)。この人は誰にも止められない!【Mリーグは今が一番アツい!①】

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■自分がヘタな麻雀を打つのが許せない

――いよいよMリーグ2024-25シーズンが開幕しますね!

伊達 今は、夏休み中盤に「早く学校始まらないかな」ってワクワクしている小学生みたいな気持ちです。もちろんシーズン中はつらいと感じる時間もあるけど、それも含めて「生きてるなー!」って実感があって楽しいので。

――緊張よりも「早く打ちたい」が勝ってるんですね。

伊達 私は今年4シーズン目で、Mリーグの舞台に慣れてきたというのもありますし、徐々に麻雀の内容にも自信がついてきたからかもしれません。1年目は緊張やプレッシャーがすごくてシーズン終了後にどっと疲れてたんですが。

――麻雀の質が良くなっていると実感されているんですね。

伊達 今1年目の麻雀を見返すと......なんというか、嫌な気持ちになります(笑)。ミスもありますし、純粋に麻雀打ちとしての土台が足りてなくて。もちろん今でも反省することは多いのですが、年々自信はついてきました。

――伊達選手はデビュー以来毎年200ポイント以上プラスになっていて、個人スコアもずっと上位なので、ほとんどの試合が満足できる内容なのかと思っていました。

伊達 いえいえ、全然です! Mリーグでは1シーズン当たり25試合ほど出場していますが、満足できる試合は年に2、3回あればいいほうですね。

伊達さんが選ぶ名試合は、22-23シーズン開幕戦。初日から役満の四暗刻を成就させ、視聴者を驚かせた。大興奮する実況も注目ポイント(C)AbemaTV, Inc./(C)Mリーグ 伊達さんが選ぶ名試合は、22-23シーズン開幕戦。初日から役満の四暗刻を成就させ、視聴者を驚かせた。大興奮する実況も注目ポイント(C)AbemaTV, Inc./(C)Mリーグ
――そんなに少ないんですか! 例えば、ミスは少なかったけど負けた試合とミスが多いけど勝てた試合、どっちが気分がいいですか?

伊達 断然前者です! 私は、自分がヘタな麻雀を打つことがとにかく許せないんです。だから試合を見返して、同じミスをしないようしっかり頭に叩き込んでいます。

――そういうストイックな面が昨シーズンまでの好成績にもつながっているんですね。自分で対局を見返す以外には、強くなるためにどんなことをしているんですか?

伊達 Mリーガーになる前から「オクタゴン」という渋谷の雀荘(ジャンそう)で、麻雀が強い友人に対局を見てもらって勉強しています。

あと、昨シーズンからは、太(ふとし)くん(「赤坂ドリブンズ」所属・渡辺太選手)や堀さん(「KADOKAWAサクラナイツ」所属・堀慎吾選手)など、敵チームの選手にもガンガン麻雀の質問をするようになりましたね。話を聞いてみると、知らない着眼点がどんどん出てきますし、「やっぱりこの人たちすげえ!」ってなります。

――敵チームの選手にも聞くんですか?

伊達 ええ。もちろん人それぞれ多少は戦術を隠したりすることもあると思いますが、私も含めて基本的には麻雀の話をしたくてたまらない生き物なので、皆さん喜んで話してくれますよ。

――ほかの競技ではあまり聞かないので意外でした。

伊達 ただ、麻雀って1個学ぶとそこから10個の新しい疑問が生まれてくるんですよ。だからずっと「どれだけ勉強しても、また新しい知識が出てくるじゃん!」って思ってます。そこが麻雀の面白いところなんですけどね。

■自身のスタイルは「キメラ麻雀」

――Mリーグだからこそする対策とかもあるんですか?

伊達 Mリーグは同じ選手と何度も対局することになるので、それぞれの選手がどういう雀風(ジャンぷう・麻雀の打ち筋)なのか、どういう傾向を持っているのかは意識します。

例えば、仲が良いのであえて言っちゃいますが、渋川さん(「KADOKAWAサクラナイツ」所属・渋川難波[なんば]選手)は愚形リーチ(アガリ牌の数が少ない手配でのリーチ)が多いので、早い巡目でリーチがかかってもあまり気にせず切りたい牌を切っちゃおうとか。

でも全員がずっと同じ打ち方をしているわけではなく、どんどん変わっていくんです。Mリーグ全体の流行次第で変わることもありますし。

――打ち方に流行があるんですか?

伊達 それがあるんですよ! 初期は安全牌を抱えながら進める守備的なスタイルが主流だったんですが、昨シーズンはガンガン押す攻撃型がはやったんです。麻雀の打ち方って、それこそ昭和の時代から流行が移り変わっていってるみたいですね。

麻雀の技術的な質問になると早口になり、楽しそうに話していたのが印象的だった 麻雀の技術的な質問になると早口になり、楽しそうに話していたのが印象的だった
――では今シーズン、どんな打ち方がはやるのかも見どころですね。伊達選手も打ち方を変えるんですか?

伊達 あまり意識して変えようとはしていませんが、「これ、強いかも」と思った戦い方を試してみて、「うん、違ったな」となることはけっこうあります(笑)。

私は、基本的には押し引き(攻めと守りのバランス、タイミング)が重要だと思っていて、そこがブレなければ何してもいいかなと思っていろいろ試しています。Mリーグをしばらく見続けていただければ、そういう試行錯誤の過程を感じていただけるかもしれません。

――ちなみに伊達選手は、自分をどういう打ち方の選手だと考えていますか?

伊達 いろんな人のいいところを取ってちぎって複合させた「キメラ麻雀」だと太くんに命名されました。そのとおりだと思いますし、なんにでもなれそうな感じがカッコいいのでとても気に入ってます(笑)。

――今年も、伊達選手のキメラ麻雀を楽しみにしてます! では最後に今年の抱負を。

伊達 もちろん優勝です! 今シーズンは麻雀格闘倶楽部としてMリーグ7年目ですが、まだ優勝したことがないので、今年はとにかく優勝を目指して、チーム一丸となって頑張ります!

伊達朱里紗(Arisa DATE)
1991年生まれ、兵庫県出身。日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士。MリーグではKONAMI麻雀格闘倶楽部に所属。加入した2021-22シーズンで最高スコア賞を獲得すると、翌22-23シーズンでは個人MVPを、23-24シーズンでは4着回避率賞を獲得し、タイトルを総なめにしている