平成の小学生に大人気! 「習字バッグ」コレクション【山下メロの平成レトロ遺産:085】

撮影/榊 智朗

レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏レトロ遺産を掘り返す山下メロ氏

記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。

さて、平成男子を夢中にさせたのがドラゴンです。『ドラゴンクエスト』など剣と魔法のRPGの重要シンボルでしたし、ヤンキー向けの財布やエチケットブラシにもドラゴンが描かれ、「剣に巻きついた竜のキーホルダー」もお土産として人気でした。

ドラゴンの習字バッグ2種。上は有名な「スパイラルドラゴン」シリーズドラゴンの習字バッグ2種。上は有名な「スパイラルドラゴン」シリーズ

そんなドラゴンが、習字セットのバッグになったのが平成です。中身は文鎮や硯、墨汁など重たいものだらけ。重いバッグが憂鬱な習字の授業がある日も、自分の好きな世界観でデザインされていれば楽しい登下校となるのです。

かつての習字セットは硬い箱型に持ち手がついたもので、黒か赤またはピンクといったステレオタイプな色しかありませんでした。

90年代半ばには柄のものや色の種類が増え、柔らかいバッグタイプが主流になりました。そして裁縫セットのように、習字バッグにもキャラクターイラストなどが使用されるようになっていったのです。

PIKOの習字バッグ。マークの部分がホログラムになっているPIKOの習字バッグ。マークの部分がホログラムになっている

女子に人気のHappy&Sweet。ハートや星、水玉模様にレースという仕様女子に人気のHappy&Sweet。ハートや星、水玉模様にレースという仕様

例えば、子供服も展開していたサーフ系ブランド「PIKO」の習字バッグもありました。一見地味なようで、実際はマークがホログラムの派手仕様です。さらには四つ葉のクローバーなど、女子に人気のキラキラした習字バッグも、学校で注文できるラインナップに増えていきました。

2000年代の終わり頃になると、もともと裁縫セットのデザインとして人気だったドラゴンのイラストが習字バッグにも登場し、こちらも小学生男児の心をつかみました。しかし、中学生、高校生と長く使う可能性があるため、子供っぽいドラゴンを選んだことを後悔する人も多かったと聞きます。

かつて筆者は小学生時代、姉からのお下がりの赤い習字バッグを使っていました。さすがに男子でそれだとイジメられるため、墨汁で黒く塗り、さも黒いバッグのふりをして使用していたのです。しかし剥げていってしまうという切なさがありました。そんな思い出からすると、とてもうらやましい限りです。

★山下メロの【平成レトロ】博物館は毎週水曜日更新!★

  • 山下メロ

    山下メロ

    やました・めろ

    1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。

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