西田凌佑(プロボクシング・前IBF世界バンタム級王者/六島ボクシングジム所属)×中川絵美里「もう一度、中谷選手と闘いたい」

取材/中川絵美里 撮影/熊谷 貫 文・構成/高橋史門

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スポーツキャスター・中川絵美里が西田凌佑を直撃!スポーツキャスター・中川絵美里が西田凌佑を直撃!

敗北を喫したが、不屈の闘志で人々の心をとらえた拳闘家がいる。6月にWBC・IBF世界バンタム級王者統一戦に臨んだ、西田凌佑である。一度は引退も考えた希代の技巧派は今再び王座を目指し始動。あの日の死闘の裏側、そして今後についてスポーツキャスター・中川絵美里が聞いた。

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■中谷選手との一戦は初めて自分から懇願

中川 6月8日に行なわれたWBC世界バンタム級王者の中谷潤人選手との王座統一戦は、まさに死闘でした。西田選手は善戦するも6回終了TKO負け、しかも右肩脱臼というケガにも見舞われましたが、今はいかがですか?

西田 7月19日に自分が所属している六島ボクシングジムで開いた会見の後からジムワークを始めて、サンドバッグを打ったり、マスボクシングや対人練習をやったりして、今はおかげさまでだいぶ良くなりました。

右肩のほうは、三角筋損傷というケガで2ヵ月は安静が必要と言われたのですが、手術するほどではなかったので、そこはホッとしましたね。

中川 2024年5月に西田選手はエマヌエル・ロドリゲス選手(プエルトリコ)を破ってIBF世界バンタム級の王座を奪取。その後、何度かの防衛戦や2階級制覇を目指すといった選択肢もあったはずだと思うのですが、なぜ中谷選手との統一戦を熱望されたのでしょうか?

西田 プロに入って、ずっと目標にしてきた世界チャンピオンになって......。自分としては次の目標がないと頑張れないんです。常に強い相手へ挑戦したい気持ちがずっとあったので、同じバンタム級で一番評価の高い中谷選手と対戦したくて、うちの会長に直訴しました。

中川 六島ボクシングジム会長の枝川 孝さんはインタビューで「初めて、西田が自分からこの選手と闘いたいって言ってきた」とコメントしていたのが印象的でした。

西田 周囲の期待とプレッシャーがある中でKO勝ちを収めて観客の求める試合内容をきっちりできること、それに無敗であるのが中谷選手の強み。なので、ぜひ拳を交えてみたいと思いました。

中川 それだけ強い思いがあったわけですから、相当準備をされたのでしょうね。

西田 トレーナーの武市(晃輔)さんが考案した、ランニングマシンを使いながらサンドバッグやミットを打つというメニューなどをこなしていました。

それと、中谷選手はバンタム級の中では割と長身でサウスポー(左利き)という、日本人選手にはなかなかいないタイプですから、スパーリングパートナーには米国や豪州のサウスポーの世界ランカーを呼んでもらって練習していました。

中川 まさに"仮想中谷"というわけだったんですね。

西田 ええ、そのとおりです。

  • 高橋史門

    高橋史門

    たかはし・しもん

    エディター&ライター。1972年、福島県生まれ。日本大学在学中に、『思想の科学』にてコラムを書きはじめる。卒業後、『Boon』(祥伝社)や『relax』、『POPEYE』(マガジンハウス)などでエディター兼スタイリストとして活動。1990年代のヴィンテージブームを手掛ける。2003年より、『週刊プレイボーイ』や『週刊ヤングジャンプ』のグラビア編集、サッカー専門誌のライターに。現在は、編集記者のかたわら、タレントの育成や俳優の仕事も展開中。主な著作に『松井大輔 D-VISIONS』(集英社)、『井関かおりSTYLE BOOK~5年先まで役立つ着まわし~』(エムオンエンタテインメント※企画・プロデュース)などがある。

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