
山下メロやました・めろ
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、平成に流行した飲み物というものは大量にあるのですが、中でも90年代には「飲めなくても、カッコつけて部屋に飾っていたパッケージ」としての飲み物がありました。それが輸入ビールの「バドワイザー」です。
〝KING OF BEERS〟のキャッチコピーで知られるバドワイザー(以下、バド)は、アメリカのアンハイザー・ブッシュ社が1876年から生産しているビールのブランド。1978年から日本でも販売されるようになりました。赤いカラーリングを使用したデザインが印象的で、90年代初頭の輸入ビールのトレンドを牽引したといわれています。
特に平成初期の頃には、パッケージの柄を使ったワンピース「バドスーツ」に身を包んだ「バドガール」がCMやキャンペーンに登場し、そのイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
そして、当時の中学生は悪ぶるアイテムとして、飲めない缶ビールを部屋に飾ったりしていました。自宅の冷蔵庫にあるお父さんのビールなら無料で使えるものの、日本のビールでは恥ずかしいと思い、わざわざバドやハイネケンを買ったりしていたのです。
プラスチック、金属からガラスまでさまざまな灰皿があった。リボンロゴのものも
ラークやマールボロなどたばこ銘柄の筒状ゴミ箱が、昭和からの若者部屋の定番アイテムだったように、20歳未満禁止の酒やたばこの関連アイテムを部屋に置くのは不良ぶるのに最適で、バドもそのひとつでした。そのためいろいろなバドのロゴ入りアイテムが販売されたのです。
たばこ銘柄ではおなじみだったカセットテープケースですが、バドだとCDを収納する缶ケースもありました。灰皿やライターにバドのロゴが入ったものなど、喫煙に関するアイテムも多く存在しました。
当時の中学生が憧れたバドのロゴは、太めのアルファベット書体から、現在では細い筆記体に変わってしまいました。しかし今もバドは買えますので、あの頃の雰囲気を懐かしんでみましょう。
1981年生まれ、広島県出身、埼玉県加須市育ち。平成が終わる前に「平成レトロ」を提唱し、『マツコの知らない世界』ほかメディア出演多数。著書に『平成レトロの世界』『ファンシー絵みやげ大百科』がある。