高木 豊氏が注目する、現役ドラフトのリストに載りそうなセ・パの6選手

取材・文/浜田哲男 写真/産経新聞社

阪神6年目、長打力を秘めた外野手の井上。競争が激しく、2025年は1軍で1試合のみの出場にとどまった阪神6年目、長打力を秘めた外野手の井上。競争が激しく、2025年は1軍で1試合のみの出場にとどまった

第4回「現役ドラフト」が12月9日に開催される。昨年の現役ドラフトでは、日本ハムから巨人に移籍した田中瑛斗が登板数を増やし(2024年3試合→25年62試合)、活躍の場を広げた。今回はどんな選手がどのチームに移籍するのか。

かつて大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)で活躍し、現在は野球解説者やYouTubeでも活動する高木 豊氏が、リストアップされそうな選手について語った。

* * *

――まずセ・リーグから、リストアップされそうな選手を挙げていただけますか?

高木 豊(以下、高木 阪神の井上広大(24歳)です。ファンからの人気が高い選手ですし、チームが手放すかどうかは少し疑問ですが、使い道が難しくなってきたなと。

今年のドラフトでは1~3位まで野手を指名していて、しかも全員が井上と同じ右バッター。ますますチャンスがなくなることも十分に考えられますから、出してあげたほうがいいかもしれません。新天地で開花しそうな気もしますしね。

もともと長打力が売りで入団しましたが、打ち方に迫力がないんです。打率が2割3、4分くらいであれば、チームメイトの森下翔太みたいに豪快に振り切ったほうが怖いじゃないですか。強く振ることができればピッチャーも警戒して、〝副産物〟でフォアボールが取れたりもするわけで。

なので、そういったきっかけを得られるチームであればいいと思います。リストアップされれば、日本ハムあたりが欲しがるかもしれません。

――ほかのチームで注目している選手は?

高木 DeNAの知野直人(26歳)は可能性がありそうです。蝦名達夫が育ってきましたし、ドラフトでも大卒や社会人の内野手を3人指名しましたよね。それを考えると、内野手で伸び悩んでいる知野がリストアップされてもおかしくないです。

DeNAはタイラー・オースティンとマイク・フォードの内野手ふたりを自由契約にしましたし、相川亮二新監督の下、来季は若返りを図るシーズンにしようとしていると思うんです。ルーキーを使わざるをえない状況にして、ゼロからチームを構築していくんじゃないかと。

そうなると、必然的に知野あたりは立場が厳しくなりますよね。リスト入りするとなれば、ユーティリティさが特長で複数ポジションを守れるので、そこを評価してくれるチームがあるかもしれません。

――ピッチャーで候補になりそうな選手はいますか?

高木 このオフ、広島が野手を大量に戦力外にしているんです。その観点から、広島は野手ではなくピッチャーをリストに入れるような気がしていて、大道温貴(26歳)は可能性があるかなと。

広島はリリーフがある程度充実していますし、ルーキーの岡本 駿も1年目から戦力になることを証明しました。そこで立場が厳しくなってくるのが大道あたりかなと。

彼本来の球威が戻ってくれば、リリーフが不足しているチームにとってはいいかもしれません。リリーフの数は多ければ多いほどいいですし、環境を変えたほうがチャンスは増すような気がします。

――では、パ・リーグもお願いできたらと思います。

高木 日本ハムの上川畑大悟(28歳)は候補になるかもしれません。今年は35試合しか出ていなくて(昨年は106試合)、シーズン途中からは1軍に上がる気配もありませんでした。

あと、チームには清宮幸太郎や水野達稀ら、左バッターが多いんです。右バッターの奈良間大己らは残しておきたいと思いますし、そう考えると上川畑が候補になってきそうです。

淺間大基の可能性もあるかなと考えましたが、同じ外野手の松本 剛がFAで巨人に移籍しましたよね。日本ハムは外野手の人材はいるのですが、代打ということを考えると、バッティングがいい淺間は残しておきたいはずです。上川畑は力が落ちたわけではないと見ていますし、環境を変えたほうが出場機会は多くなると思います。

――今年のパ・リーグは、西武の渡部聖弥選手や楽天の宗山塁選手、ロッテの西川史礁選手らルーキーが活躍した一方で、それに押し出される選手も多そうです。

高木 その観点で言うと、オリックスの茶野篤政(26歳)は可能性があると思います。ルーキーである程度の力を見せた麦谷祐介と役割が完全にかぶっていますから。オリックスが麦谷をどう見ているのかはわかりませんが、彼が今後、順調に力を発揮していければレギュラーになっていくはず。

さらに外野には、実績のある中川圭太、西川龍馬、杉本裕太郎らがいて、来田涼斗や池田陵真といった期待の若手も控えています。野口智哉も外野を守れますし、捕手の森 友哉が外野に入るケースもある。そう考えると、茶野が出場機会を得るのはなかなか難しいでしょうね。

――ほかに候補になりそうな選手はいますか?

高木 ロッテはもともと外野手の層が厚かったのですが、今年はルーキーの西川、山本大斗らが出場機会を与えられ、ある程度のアピールに成功し、来季以降ステップアップするための足がかりをつくりました。藤原恭大、髙部瑛斗、西川、山本のほか、岡大海や山口航輝、残留が決まっているグレゴリー・ポランコと層がますます厚くなりました。

そこで候補になりそうなのが、和田康士朗(26歳)です。今年はほとんど1軍にいませんでしたし、来季以降も今季経験を積んだメンバーが中心になると思うんです。藤原や髙部は足がありますし、西川も山本もそこそこ走れる。そうなると、代走も守備固めも必要性が薄くなります。

ほかのチームから見れば和田の足は魅力がありますから、リスト入りすれば人気が出ると思いますよ。そもそもずっと代走でいいわけがないですし、本人が一番、「先発で試合に出たい」と感じているはず。違うチームで打撃が開花する可能性もあるので、環境を変えたほうがチャンスが増えるかもしれません。

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