"サッカーの聖地"でイングランド撃破! 大激戦区で評価を高めたのは誰だ!? 英国遠征「最終テスト」で森保ジャパンの序列は変わったのか?

写真/週刊プレイボーイ編集部

世界に衝撃を与えたサッカー日本代表の森保監督世界に衝撃を与えたサッカー日本代表の森保監督

"サッカーの聖地"で歴史的大金星を挙げ、またしても世界に衝撃を与えた森保ジャパン。今回の英国遠征では、多くの常連組がケガで未招集の中、新戦力が台頭するなど収穫も多かったが、W杯メンバー入りサバイバルの行方はどうなるのか?

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【21歳と20歳がCF争いで猛追!】

日本時間3月29日にスコットランド(〇1-0)、4月1日にイングランド(〇1-0)と国際親善試合を行なった森保ジャパン。〝サッカーの母国〟を〝サッカーの聖地(ウェンブリー・スタジアム)〟で倒すという衝撃の大金星を飾り、2ヵ月後に迫る北中米W杯に大きく弾みをつけた。

今回の英国遠征では、長友佑都(FC東京)、遠藤 航(リバプール)、南野拓実(モナコ)、板倉 滉、冨安健洋(共にアヤックス)、久保建英(レアルソシエダ)ら常連組がケガで不参加・未招集だったが、新戦力が台頭し、チームの総合力は確実に高まった。

W杯メンバー入り争いは激しさを増すばかりだが、実は英国遠征が実質的な最終テストの場だったという。

「当初、森保 一監督は壮行試合として開催される5月31日のアイスランド戦の後に本大会登録メンバーを決める予定でしたが、先日、その時期を前倒しすると明言しました。つまり、代表活動で直接チェックするという意味では、英国遠征が最終テストの場だったわけです」

こう語るのは、日本代表の取材歴も長いスポーツライターのミムラユウスケ氏だ。では、今回の英国遠征で特に評価を高めた選手は誰なのか?

「まず名前が挙がるのは、21歳の塩貝健人(ヴォルフスブルク)と20歳の後藤啓介(シントトロイデン)のふたりでしょう。CFの枠を巡り、上田綺世(フェイエノールト)、小川航基(NEC)に続く存在として、塩貝と後藤が猛烈に追い上げています。特に塩貝に関しては森保監督の起用が非常に巧みでした」

塩貝はスコットランド戦で日本代表デビューを飾り、いきなり伊東純也(ゲンク)の決勝点をアシストするなど〝一発回答〟してみせた。

「森保監督は塩貝を当落線上メンバーが多く起用された急造の先発組ではなく、後半途中からレギュラー組と一緒に出場させました。『おまえは若いんだから自由にやれ』という最高の環境を用意され、見事に躍動。『主力組とあれだけのプレーができるなら、最後までメンバー入り争いのレースに参加させるべきだ』と誰もが思ったはずです」

塩貝は前所属のオランダ・NECでスーパーサブとして起用され、2025年の1年間でリーグの途中出場ゴール記録(11ゴール)を樹立するなど結果を残し、今冬に念願のステップアップ移籍を果たした。だが、意外にも現在は苦境に立たされているという。

「ヴォルフスブルクは残留争いの真っただ中で、今季3人目の監督が就任したばかり。守備に追われる時間が長く、攻撃の機会がなかなか巡ってこない状況です。正直、短期的にはNECに残っていたほうが評価をさらに高めることができたかもしれません。

ただ、得点以外の面でもブンデスリーガで通用するところを見せています。彼の強みはアグレッシブさですが、相手に後ろからプレッシャーを受けながらも、ブロックして落とすのがうまい。

さらに、強力な相手アタッカーをサイドバックと一緒に封じ込める場面もあり、明確なタスクを与えればやり遂げる強さがあります。一芸に秀でたスペシャリストとして、最後まで選考レースに残すべき存在であることを証明しました」

一方、ライバルの後藤はまったくタイプが違うという。スコットランド戦ではCFとして先発起用され、63分間プレーした。

「後藤は所属クラブで優勝争いと得点王争いをしており、W杯までアピール材料は十分。191cmの長身ですが、本質は『裏抜け』が得意な選手です。

空中戦は本人も課題と自覚しており、勝率は高くない。でも、育成年代ではボランチとしてプレーした経験があり、受け手のことを考えた柔らかい落としのパスセンスは抜群。足元の技術は上田以上かもしれません。『上田に次ぐ2番手CF』の座に一気に近づいてきました」

所属クラブでの状況だけでなく、プレー面でも塩貝とは正反対だ。

「塩貝は相手と競り合いながら負けずにプレーできるのが強みですが、後藤はマークを外した状態で受けるのがうまい。後藤も『(塩貝と)組んだら面白くなると思う』と話していました」

【10人以上が候補! 大激戦のシャドー】

CF以外にも注目を集めるポジションがシャドーだ。第2次森保体制でシャドーの絶対的レギュラーだった南野と久保が、英国遠征では共にケガで不在。

そのため、誰がこのポジションで起用されるか注目されていた中、森保監督はスコットランド戦の前日会見に出席し、シャドーの候補として、三笘 薫(ブライトン)、伊東、鈴木唯人(フライブルク)、藤田譲瑠チマ(ザンクトパウリ)、佐野航大(NEC)、町野修斗(ボルシアMG)、塩貝、後藤の8人の名前を列挙した。

「今回、三笘をシャドーとして明確にカウントしました。これによって左WBの枠がひとつ空くわけです。ただ、中村敬斗(スタッド・ランス)や前田大然(セルティック)のほかにも伊東や鈴木淳之介(コペンハーゲン)を置くこともできるので、左WBを単純に追加するというよりも、CFをもう1枚増やすなど選考の幅が広がりそうです」

絶対的なレギュラー格の主力組ではなく、〝チャレンジ組〟とも言える当落線上のメンバーが多く起用されたスコットランド戦において、シャドーで先発したのは鈴木唯人と佐野航大だ。

「このふたりに関しては明暗が分かれました。鈴木唯人は今季移籍1年目ながら、所属クラブをEL8強に導くなどレギュラーとして活躍しており、英国遠征でも序列を上げた印象です。

一方、佐野航大はスコットランド戦でアピールしきれませんでした。所属クラブでは1列下がったボランチで前を向いてプレーしていますが、シャドーでは逆にゴールに背を向けた状態でボールを受ける場面が多く、本来の持ち味を発揮できなかった。シャドーの序列でいえば、現時点では鈴木唯人よりも下でしょう」

さらに、ミムラ氏が「本大会メンバーに必要なキャラクター」と推すシャドーの選手が町野だ。イングランド戦の後半36分に投入され、ゴール前で体を張って守備をするなど歴史的勝利に貢献した。

「試合終盤、モーガン・ロジャーズ(アストン・ビラ)がCKのこぼれ球をシュートしましたが、町野が体を張ったおかげで枠外に。その瞬間、町野がガッツポーズをして周りに選手が集まってきました。

前回カタールW杯でコスタリカに負けた翌日の練習でも、大きな声を出して〝お通夜〟状態の空気を変えたのが町野でした。そういうキャラクターはチームに必要不可欠だと思います」

【守田選外はなぜ? 大激戦のボランチ】

そして、シャドー同様に大激戦なのがボランチだ。イングランド戦では、現時点でのファーストチョイスである鎌田大地(クリスタルパレス)と佐野海舟(マインツ)が先発したが、〝チャレンジ〟要素の強かったスコットランド戦では田中 碧(リーズ)と藤田が先発で起用された。

「今季の藤田は攻守両面ですさまじい成長を遂げています。所属クラブでは、攻撃時はシャドー、守備時は5-4-1の右MFをこなし、インターセプト数、敵陣でボールを奪い返した数がブンデスリーガ全選手でトップを記録。タックル数も佐野海舟に次ぐ2位と結果を残しています。

チームは残留争いをしており、リーグで最も守備的な戦い方ですが、カウンターのときには藤田がサイドに流れ、相手をドリブルでかわしてカウンターの起点になっています。日本代表でも名波浩コーチからそうやって相手をかわすプレーを期待されていると本人が語っていました」

一方、リーズで苦戦が報じられる田中はどうか?

「昨季はもう少し攻撃的なサッカーだったので、田中も結果を残せていましたが、現在はアンカーにもCBを置く守備的な3バックへ変更。フィジカルをゴリ押しするスタイルになり、同じポジションにも強力なライバルがいるため、田中は出番を減らしています。

ただ、プレミアリーグでプレーしており、日本人の中ではフィジカルも強く、得点を決める能力もあるので、ケガをしない限りはW杯メンバー入りするでしょう」

ボランチには、キャプテンの遠藤も控えている。現在、ケガで戦線離脱しているが、本大会までには復帰できる見通しだという。鎌田、佐野海舟、田中、藤田と盤石の陣容だが、今季CLでベスト8まで勝ち進む実力者、守田英正(スポルティング)の復帰の目はないのだろうか?

「すでに1年も日本代表から離れていますが、私は本大会へ連れていくべきだと思います。田中と藤田が先発したスコットランド戦の前半はアイデア不足による停滞感がありましたが、守田ならDFラインに下りたり、サイドに流れたりして攻撃の糸口を見つけて打開してくれそうです」

欧州最高峰のCLでベスト8入りしているにもかかわらず、守田の序列が下がった背景には、森保監督の選考基準が色濃く反映されている。

「森保監督はボランチに圧倒的なフィジカルを求めている節があります。守田はピッチ上の監督になれる頭脳を持ち、アジア杯でも伊藤洋輝(バイエルン)を生かす戦術的な気配りを見せた。本来なら絶対に外せない選手だと私は思いますが、フィジカルを重視するのであれば、選考漏れの可能性が高いでしょう」

W杯メンバー発表まで残りわずか。英国遠征での「最終テスト」を経て、今後は所属クラブでのアピール合戦が続いていく。

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