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 40℃超えも普通になった今年の猛暑で、クルマにトラブルも2025年の夏、ニッポン列島はまさに灼熱(しゃくねつ)地獄と化している。そんな過酷な暑さの中、"夏ならではのクルマのトラブル"があるというのだ。安全に夏のカーライフを楽しむには、どうすればいいのか? 週プレ自動車班がその実態と対策に迫った!!
40℃超えも普通になった今年の猛暑で、クルマにトラブルも2025年の夏、ニッポン列島はまさに灼熱(しゃくねつ)地獄と化している。そんな過酷な暑さの中、"夏ならではのクルマのトラブル"があるというのだ。安全に夏のカーライフを楽しむには、どうすればいいのか? 週プレ自動車班がその実態と対策に迫った!!
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夏休みの行楽シーズンが本格化し、全国の道路はどこもかしこも大混雑。交通量の増加に比例して、事故や車両トラブルも急増している。
しかも、今年の夏は異常だ。8月5日、群馬県伊勢崎市では国内観測史上最高気温の41.8℃を記録!
環境省と気象庁は、過去最多となる44都府県に熱中症警戒アラートを発表。列島全体が、まさに灼熱地獄と化している。
 今夏は40℃超えの地点が激増。8月5日には群馬県伊勢崎市で41.8℃を記録し、国内の観測史上最高気温を更新した
今夏は40℃超えの地点が激増。8月5日には群馬県伊勢崎市で41.8℃を記録し、国内の観測史上最高気温を更新した
この殺人的な暑さは、人間だけでなくクルマにも容赦ナシ。高温多湿の環境は、エンジンやバッテリー、タイヤなど、クルマのあらゆる部品に負荷をかけ、故障や事故のリスクを引き上げる。
専門家筋も、「猛暑下では、車両のトラブルが通常時の数倍に跳ね上がる」と警鐘を鳴らす。
実際、炎天下に駐車した車内は瞬く間に熱波に包まれ、ハンドルやダッシュボードは焼けた鉄板状態。シートベルトの金具に不用意に触れれば、やけどを負う危険性すらある。
ある自動車誌の編集者はこう証言する。
「炎天下に車を止めて車内温度を測定したところ、わずか30分で55℃を超えました。さらに道路のアスファルトは70℃近くに達していました」
思わず「エグい!」と声が漏れる数字だ。車中泊で日本一周を達成し、その体験を基にしたマンガ『今夜は車内でおやすみなさい。』(講談社)の作者でマンガ家の小田原ドラゴン氏もうなずく。
「カーエアコンと扇風機を2台使っても、夏は暑すぎて運転どころではない。正直、もう夏場はクルマに乗らないのが正解だと思いますね」
世界を飛び回る関西出身の金髪ラリーカメラマン、山本佳吾氏も苦笑いを浮かべる。
「8月の頭やけどな、都内で自動車誌の撮影があって。もうマジで命かかっとるレベルで。スタッフのおっさんらみんな『死ぬ!』とか叫びながらクルマ動かして(笑)。ワシももう30年近くこの仕事しとるけども、こんな暑さはほんま初めてや。こないだ関西行ったときもな、高速でタイヤトラブルで止まっとるクルマめっちゃ見かけたわ」
昨年のお盆期間、JAF(日本自動車連盟)のロードサービスが四輪車の救援に出動した理由のトップ10を見ても、一般道・高速道路共に「タイヤのトラブル」は上位だ。
 2024年お盆におけるJAFロードサービスの主な出動理由(JAFの資料を基に編集部がランキングを作成)
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高速道路や渋滞時にタイヤトラブルが発生すると、大きな事故や長時間の立ち往生に直結する恐れがある。そもそもの話だが、一般に「パンク」と呼ばれるものと「バースト」は、どう違うのか。
「パンクとバーストはまったく異なります。パンクは路上のくぎなどが刺さり、空気が徐々に抜ける現象。一方、バーストは『ボン!』という破裂音とともにタイヤが破裂する、深刻なトラブルです」
そう語るのは自動車ジャーナリストの桃田健史(けんじ)氏だ。
バーストの主な原因は、タイヤの空気圧不足や劣化、過積載などの悪条件が重なった結果だ。特に危険なのが「スタンディングウェーブ現象」と呼ばれる状態だという。
「高速走行中に空気圧不足のタイヤの側面が波打つように変形する現象で、内部構造が破壊されてしまう。これがバーストにつながります」
今年の猛暑では路面温度が70℃近くになっておりタイヤ表面の温度も急激に上昇。結果としてバーストのリスクが高まっていると専門家筋は口をそろえる。
「猛暑の高速走行はタイヤにとって極めて過酷な環境です。空気圧不足や劣化したタイヤは、バーストなど重大なトラブルの危険性を高めます」
では、トラブルを回避するために何をすればいいのか。
「予防の基本は空気圧の定期的なチェックです。夏休みに荷物が増えたり、ルーフキャリアにキャンプ道具を積む際は過積載にも十分注意してください」
カー用品大手のオートバックスセブンも、夏の長距離ドライブを控えるドライバーに向け、タイヤの事前点検の重要性を強く呼びかけている。同社の担当者はこう話す。
「長距離ドライブを予定している場合は、出発前に必ずタイヤの空気圧をチェックしてください。また、走行距離や使用年数に応じて、溝の減りやヒビ割れの有無も確認しましょう」
また、意外に見落とされがちなのが休憩の重要性だ。
「高速道路での休憩は、ドライバーや同乗者のためだけでなく、タイヤの温度を下げるという意味でも有効です」(桃田氏)
週プレ自動車班が高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでドライバーに聞き取り調査を実施したところ、多く寄せられたのがエアコンのトラブルに関する声だった。
具体的には、「渋滞になると、冷房の効きが悪くて涼しくならない」や「渋滞時に完全に動かなくなった」といった不満が相次いだ。
実は渋滞でクルマが止まっていると走行風がなくなり、コンデンサー(エアコンシステムにおいて非常に重要な部品)の冷却効率が低下。結果として、エアコンの冷却性能が落ちてしまうのだ。
実はこの傾向、先に紹介したオートバックスセブンの現場感覚とも合致している。担当者によれば、夏場に最も多く寄せられる相談内容は「エアコンの不具合」だという。
「冷風が出ない、カビ臭いニオイがするなど症状はさまざまですが、猛暑のドライブでエアコンの役割は重要です。実際、7月、8月は通常月の約2倍の問い合わせがあります。
また、エアコン使用によるバッテリーへの負担も増すため、シーズンごとの点検をオススメしています。また、オートバックスではタイヤやバッテリーの無料点検も行なっています」
 猛暑の渋滞時には、エアコンの効きが悪くなったり、タイヤに異常が生じるケースも。日頃からの整備・点検を忘れずに
猛暑の渋滞時には、エアコンの効きが悪くなったり、タイヤに異常が生じるケースも。日頃からの整備・点検を忘れずに
桃田氏もバッテリー上がりについて警鐘を鳴らす。
「新車でも夏場にバッテリーが上がることは十分にありえます。特に最近は短距離移動が多く、エアコンの使用頻度も高いため、バッテリーにとっては厳しい条件が重なりやすいのです」
では、どうすれば防げるのか。桃田氏はこうアドバイスする。
「少なくとも週に1度はエンジンをかけ、できれば少し長めに走らせること。これだけでもバッテリーの状態を保つ上で大きな効果があります」
夏のカーライフを快適かつ安全に楽しむためには、"動かさない日"がリスクになることも意識する必要がある。
過酷な暑さの中でのドライブで特に警戒すべきなのが、いわゆる熱中症だ。山本カメラマンはこう語る。
「ワシ、愛車で全国あちこち走り回っとるけど、高速がすいてても外気温が40℃とかザラ(笑)。こんな猛暑で日中に運転してたら熱中症になってもおかしくないと思うわ」
熱中症の原因のひとつは車内環境にある。エアコンが効いているため、喉の渇きや脱水症状に気づきにくい。加えて、周囲のガラスから容赦なく差し込む直射日光が体に大きな負担を与えるという。
小まめな水分補給や塩分の摂取に加え、忘れてはならないのが「車内全体の冷却」だと桃田氏は指摘する。
「ドライバーはつい前席の空調で直接冷気を浴びて暑さをしのぎがちですが、後席や荷室に熱気がこもったままだと、運転席にいても熱中症になる危険がある。
特にミニバンやワンボックスのように車内が広い車は要注意です。後席にもエアコンの風がきちんと届くよう調整してください。
前後で温度設定が別々にできる車種なら、走り出してしばらくは後席側のエアコンを強めにするのが効果的です」
過酷な暑さは人間だけでなく、クルマにも容赦なく襲いかかる。日頃からしっかりメンテナンスしている人はまだしも、長期間放置されたクルマは非常に危険だ。乗っていなくても、駐車中に劣化や消耗が進む部品は少なくない。
タイヤやエアコン、バッテリー、そして車内の温度管理。猛暑のドライブを安全に乗り切るためには、これらの点検と対策が不可欠だ。加えて、ドライバーだけでなく同乗者も小まめな水分補給を心がけることが重要になる。
定期的な整備と日常点検を習慣化し、潜在的な不具合を早期に発見すること。これこそがトラブルを未然に防ぐ最も効果的な方法である。