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『週プレ』復活シリーズ、JC『キン肉マン』54巻をおぎぬまXがレビュー!!
正義超人と悪魔超人の連合軍(ドリームリーグ)VS完璧超人始祖(パーフェクト・オリジン)による"許されざる世界樹(アンフォーギブン・ユグドラシル)"での闘いも、いよいよ後半戦に入りました!
ともに1勝1敗のイーブンで迎えた第3戦は、正義超人軍テリーマンと"完璧・陸式(パーフェクト・シックス)"ジャスティスマンが熱闘中!その闘いの意外な結末を見届けましょう!!
第53巻から続くテリーマンとジャスティスマンの闘いですが、まず何より最初にお伝えしたいのは......ジャスティスマンの〝格〟についてです。彼は初登場してから、まだアシュラマンとの一戦しかお披露目しておりません。それにも拘らず、初試合の圧倒的な勝ちっぷりから、多くの読者の中ですでに「最強格」のイメージが植つけられてしまっております。
この時点で『キン肉マン』は、54巻続いている長編マンガでして、皆さんが頭の中で考える〝最強超人ランキング〟には、主人公のキン肉マンはもちろん、シリーズボスを務めた猛者(もさ)たちがひしめき合っていることでしょう。それなのに、登場早々にランキングトップに躍り出るほどの貫禄(かんろく)......いやはや、恐ろしいの一言です!
さて、試合展開はどうでしょうか。前巻のラストで、テリーマンは伝家の宝刀スピニング・トゥホールドを抜きましたが、ジャスティスマンはトライアングルチョークで簡単に返してしまいます。それにめげず、テリーマンは「定石が通用しない相手なら、定石を外せばいい」と、ファイティングスタイルを瞬時に変更。普段は見せないジャーマンスープレックスといった力技や、ムーンサルトプレスといった空中殺法を披露します。
奇襲攻撃が立て続けにヒットし、「おっ、いけるか!?」と思ったのも束の間、やはり相手はジャスティスマンです。顔色ひとつ変えず、ジャッジメント・クラッシュでテリーマンの両腕を破壊してしまいました。先ほどの〝スピニング・トゥホールド破り〟もそうですが、ジャスティスマンが〝ほんのちょっと本気を出すだけ〟で、あらゆる必殺技は振り解かれます。そこにトンチも心理戦も必要ない。テリーマンにとっても、読者にとっても絶望的な展開です...!
ジャッジメント・クラッシュでテリーマンを石のリングに叩きつけたジャスティスマン。腹筋でゆっくりと体を起こす得意のムーブも!
両腕が使い物にならなくなったテリーマンを見て、観戦中のサンシャインも額に汗を浮かべます。静かに試合を見守る悪魔将軍に「ヤツを倒すとなると この私でも少々骨が折れるかもしれんな」と言わしめるほどです。
この圧倒的なパワーバランスは、テリーマンファンである僕も受け入れざるを得ません。というより、ジャスティスマンに勝てる超人の姿が正直想像できません...! ゲームで例えるなら、すべてのステータスがカンストしているようなチート級の強さですよ。そんな相手にどうやって勝つのでしょうか?
悪魔将軍をして「ザ・マンに最も近い男」と言わしめた超人ジャスティスマン。テリーマンも敗北必至か!?
ただでさえ、劣勢のテリーマンにさらなる災(わざわ)いが......なんと、ここまでの激戦が祟(たた)ってか、左足の義足に異変が起きてしまったのです。それを見たキン肉マンは「今の義足を作ってくれたバックランド爺は3年前に亡くなっているため、替えが効かない」と青ざめます。テリーマンにとって「義足が壊れる」ということは「超人レスラーとしての引退」と同義。ジャスティスマンという怪物を相手に、壊れつつある義足を気にしながら闘わなければならなくなりました!
テリーマンの超人生命と直結した義足に異変が...。この闘いにおけるウェイトがさらに重くなってしまう
テリーマンは義足を気にしつつも「テキサス・クローバーホールド」を仕掛けて、早い決着を狙いますが、ジャスティスマンは顔色ひとつ変えません。それどころか「膝十字固め」でさらにテリーマンを苦しめます。
その後もテリーマンの真骨頂、魂がこもった熱いナックルパートで猛攻を仕掛けますが、それでもジャスティスマンは揺るがず! お返しとばかりに「ジャッジメント・ツイスト」によって彼の左腕を完全に破壊します。
執拗にテリーマンを痛めつけるジャスティスマン。腕だけでなく心も折りにかかる!?
決着の時が近づいてきました。追いつめられたテリーマンは、コーナーポストを使った新技「テキサスツイスター」を繰り出します。まるでアシュラマンの「竜巻地獄」を再現したかのような技で、初めてジャスティスマンからダウンを奪うことに成功しました!
テリーマンは2発目の「テキサスツイスター」を布石にして、自身の最強必殺技である「カーフ・ブランディング(仔牛の焼印押し)」で、ジャスティスマンの顔面をマットに激突させます......が、アシュラマンの「ブラッドユニット阿修羅バスター」ですら砕けなかった硬度を誇る頭部を、破壊することはできませんでした。
そして、ついに審判のときが訪れます。ジャスティスマンは自身の奥義「ジャッジメント・ペナルティ」でテリーマンに引導を渡しました。
ジャスティスマンの必殺技の衝撃で吹き飛ぶ義足...! だが、テリーマンは技から逃れるために、自ら義足を破壊していた...!?
死んだと思われたテリーマンでしたが、「ヘイボーイ!」「せ...正義の魂を からかっちゃいけないぜ!」と皮肉な笑みを浮かべて起き上がったじゃありませんか。
ああ......ザ・テリーマンという超人は、なんて熱いんだろう!!
多種多様な超人が登場するこの作品で、テリーマンは奇抜な特殊能力も、派手な必殺技も持たない地味な存在でした。それなのに、いや...だからこそ、人は皆、テリーマンの闘志むき出しの泥くさいファイトに、心を揺さぶられずにはいられません。
そして、WEB連載から始まったこの新シリーズには、随所に旧シリーズの小ネタを拾ったり、懐かしさを感じさせる描写......いわゆるセルフオマージュがたくさん散りばめられております。連載初期中の初期、テリーマンが初登場時に口にした、今となっては貴重な名台詞を、こんな形で再び見ることができるとは...! オールドファン感動の名シーンです!
完璧始祖奥義をくらってもなお、戦闘意思を見せるテリーマンでしたが、すでに両腕も機能せず、義足も外れてしまいました。それでもテリーマンは心臓が動いている以上はジャスティスマンに抗(あらが)います。「さぁジャスティスマン...」「早く闘いの続きを...」と。
ジャスティスマンは満身創痍のテリーマンを見下ろしながら、唐突に「〝ダブル・ジョパディ〟という言葉がある」と語り始めました。ジャスティスマンいわく、「何人も同一の罪について 重ねて処罰を受けることがあってはならない」とのことです。戸惑うテリーマンに対して、ジャスティスマンは「つまり おまえはもう無罪放免」と告げて、光のダンベルを託すと、テリーマンに勝利を譲ってしまいました。
ジャスティスマンの唐突な敗北宣言! その真意とは...!?
この一戦は個人的に、『キン肉マン』史上、最もおしゃれな決着だったと僕は思います。振り返れば、ジャスティスマンという超人は、アシュラマン、テリーマンとの試合で常に完全無欠な強者として君臨し続けました。
まるでこの試合には「絶対に勝てない相手に、どうやって勝利するのか?」というテーマが隠されていたかのようにです。そんな無理難題なミッションを、なぜテリーマンはクリアすることができたのか? そのカギは、正義超人軍のマニフェストである「わかり合うための闘い」にありました。
ジャスティスマンたち完璧超人は、不死身で寿命がない永遠を生きる存在です。しかし、流れ星のように一瞬一瞬を必死に生きている正義超人もまた永遠なのかもしれない。実力は届いていなくても、ジャスティスマンはテリーマンのファイトを通して、そんな正義超人のあり方を認めたのでしょう。
完璧超人を実力のみで粛清しようとしていた悪魔超人軍が、ジャスティスマンから勝利を奪うためには、最強戦力の悪魔将軍を投入するしかなかったかもしれません。その意味では、テリーマンはこの"許されざる世界樹(アンフォーギブン・ユグドラシル)"での闘いにおいて、MVPともいえる働きをしてくれたのです!
ジャスティスマンの試合放棄にも似た敗北に、怒りが収まらないのがストロング・ザ・武道(ブドー)とサイコマンです。とうとう残すダンベルはひとつだけ、ここでサイコマンが負ければ、武道もろとも完璧超人始祖は消滅してしまいますからね...。
まるで八つ当たりをするかのように、ブロッケンJr.を古代リングに叩きつけるサイコマン。そのまま団体戦最終試合がクローズアップされます。
結末を先に言ってしまうと、わずか3話でこの試合は終了します。でも、〝未完の大器〟ブロッケンJr.には荷が重かったか......と思いきや、なんと彼はサイコマン相手に予想以上の善戦をするのです!
サイコマンの代名詞でもある"巨握の掌(て)"には、あのバッファローマンも大いに苦しめられましたが、なんとブロッケンJr.は「オレも握力だけはちょいと自信がある」と、握力勝負を仕掛け、互角の闘いを繰り広げます。
「え? ブロッケンJr.って、そんなに握力すごかったの!?」と読者が疑問を抱く前に、すかさず回想シーンが挟まり、実は超人血盟軍時代から徹底的に握力を磨いていたことが判明します。
吊るされた岩を1000個以上も握りつぶすブロッケンJr.の猛特訓。効率は無視!
その後も、新技の「ゾーリンゲンの鈍色刃(にびいろやいば)」や、「ブレーメン・サンセット」といった大技を繰り出し、さらにはサイコマンが放った完璧超人秘奥義「サンダーサーベル」すら、「ベルリンの赤い雨」で切り裂きます。
いや......す、すごすぎる! 特に「サンダーサーベル」といえば、ネプチューンマン&ビッグ・ザ・武道が使用し、これまで数々の正義超人を苦しめてきました。それをなに、しれっと単体で攻略してるんだ!? 彼の成長に驚かずにはいられません。
ですが、ブロッケンJr.の猛攻もここまで......本気になったサイコマンによって、両手を潰され、「完幻殺法スピア・ドレス」「"完幻"ファントム・キャノン」と地獄のフルコースを浴び、リングに倒れ伏してしまいました。
サイコマンがブロッケンJr.の頭を踏みつけながら、トドメをさそうとしたその瞬間――天から謎の声が響き渡り、まばゆい光と共にシルバーマンが姿を現しました...!
後光に照らされながら、キン肉族の開祖にして正義超人の生みの親・シルバーマンが降臨...!
とてつもなく、気になるところで次巻へ!
......それにしても、ブロッケンJr.対サイコマンの試合は、次に控えているスペシャルマッチのデモンストレーションといった感もありましたが、短いながらに見応えのあった隠れた名勝負です! そして、リングに降り立ったシルバーマンの実力は如何に!? 次のレビューでたっぷり語りたいと思います!
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テリーマンvsジャスティスマンのワンシーン。「ジャッジメント・ペナルティ」にかけられたテリーマンに「早く逃げろーっ」とキン肉マンが駆け寄ろうとするのですが、スタッフに「下がりなさい!」と制止されてしまいます。
このスタッフが人間のくせにめちゃくちゃ胆力があるだけかもしれませんが、僕は「キン肉マンが大人になったな」と痛感しました。若い頃のキン肉マンだったらこんな人間、「えーい、邪魔するでなーい!」とか言いながら、首ねっこ掴んでぶん投げてたと思うんですよね。いまや、キン肉星の大王となった主人公の成長を感じられるワンシーンです。
●おぎぬまX(OGINUMA X)
1988年生まれ、東京都町田市出身。漫画家、小説家。2019年第91回赤塚賞にて同賞29年ぶりとなる最高賞「入選」を獲得。21年『ジャンプSQ.』2月号より『謎尾解美の爆裂推理!!』を連載。小説家としての顔も持ち、『地下芸人』(集英社)が好評発売中。『キン肉マン』に関しては超人募集への応募超人が採用(JC67巻収録第263話)された経験も持つ筋金入りのファン。原作者として参加している『笑うネメシス―貴方だけの復讐―』が『漫画アクション』(双葉社)にて連載中。ミステリ小説シリーズ『キン肉マン 四次元殺法殺人事件』、『キン肉マン 悪魔超人熱海旅行殺人事件』が好評発売中
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